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錦織圭は今後どうなる?課題と光

錦織圭
錦織圭(2025年)
画像提供: ゲッティイメージズ
今月、男子テニスで世界ランク284位の錦織圭は約2ヵ月ぶりに実戦に復帰し5試合を戦った。この5試合を振り返り、錦織の今後について考える。

>>【動画】錦織圭 19歳若手有望株とフルセットの熱戦!試合映像<<

36歳の錦織は肩や腰の負傷に悩まされ、昨年は6月以降2大会の出場に留まると、今季は1月のワークデイ キャンベラ国際(オーストラリア/キャンベラ、ハード、ATPチャレンジャー)に出場するも、1回戦を負傷により途中棄権した。

その後はエントリーした大会の欠場が続いていた錦織だが、今月行われたティオンヴィル・オープン(フランス/ティオンヴィル、ハード、ATPチャレンジャー)で約2ヵ月ぶりに実戦復帰を果たすと、同大会では予選2試合を勝ち抜き本戦入り。本戦では2回戦に進出した。

そして、今週のチャレンジャー・シェルブール・ラ・マンシュ(フランス/シェルブール、室内ハード、ATPチャレンジャー)にも出場し、2週連続で大会に臨んだが、本戦からの参戦となった同大会では1回戦で敗れた。

復帰後5試合に出場した錦織。もちろん、復帰直後で動きに不安を残しながらのプレーだったため、万全な状態ではなかったが、その中でもやはりストローク力は今回対戦した選手たちよりも多くの場面で優位に立っていた。

錦織は昨年11月に約3ヵ月ぶりの実戦として臨んだ横浜慶應チャレンジャー国際テニストーナメント 2025 supported by 三田興産(日本/横浜、ハード、ATPチャレンジャー)で、調子を戻すためにあえてじっくりプレーしたところ「やっぱり自分のテニスを心がけないと、なんとなく歯車がちょっとずつ合わなくなってきて、動きも悪くなって、自分のしたいことができなくなってきます。それで変なミスも出てくるみたいな感じになっちゃったので、やっぱり攻める意識というのは常に調子が良いか悪いか関係なく持っておかないといけないなというのは、なんとなく再認識しました」と話していた。

このこともあり、今回の復帰において錦織は強みであるベースラインから下がらず速いテンポで相手を左右に揺さぶるストローク戦を展開。勝利した最初の3試合では、ストローク戦で相手がこの錦織のプレーについてこれない場面が多かった。

一方、錦織のテンポの速いプレースタイルは相手を圧倒できる反面、ボールを上手く返球されてしまうと、自らにも鋭いボールが早いタイミングで返ってきてしまう諸刃の剣のような一面もある。

4試合目で敗れた19歳で元ジュニア世界ランク1位の若手有望株N・ブドコフ ケア(ノルウェー)は世界ランク150位で、今回対戦した中で最も世界ランキングが高かった。

ブドコフ ケアは序盤こそ錦織のプレーに押されていたが、徐々にプレーに適応。試合終盤では最初の3試合では決まっていたボールがカウンターで返され、錦織がポイントを奪われる場面があった。

やはり世界ランキングトップ100前後、さらにそれよりも上位の選手たちは錦織のプレーについてくるだけの力がある。連戦の疲れと身体の状態も相まって目には見えない球威の低下があったことは考えられるが、ブドコフ ケアにはカウンターを決められる形で打ち負けた。

今後、ツアーレベルの選手たちに錦織が再び勝利を重ねるには、身体の動きと試合勘を戻し、この返ってきたボールをさらにもう一度返球してポイントを決める、もしくはポイントを組み立て直す力が必要になってくるだろう。

そして2大会目の初戦で敗れたタブールは、1大会目の本戦1回戦で勝利した相手だったが、この試合ではタブールが前週よりも攻撃的に、より短いポイントを奪っていった。

特にサービスゲームでは、前週からサービスの質を向上させ、リターンの名手として知られる錦織に力を発揮させず、ショートポイントを重ねた。

前述の通り、この試合でもラリーになれば錦織が有利になる場面が多かったが、そういったポイントよりもタブールの短いポイントの方が多かった。また、2週連続での試合ということも影響してか、ダブルフォルトなど錦織の細かいミスも前週よりも多くなり、結果的にこの試合には敗れた。

しかし、ここまでを総合すると、あとは身体がついてくれば、ストローク力で上位選手に再び太刀打ちできるだけの光が見えた。

次にサービスに関してだが、錦織は肩や腰に不安がある以上、負担の少ない形でのプレーとなるのは致し方ない。スピードもツアーレベルの選手たちよりは基本的には遅くなる。

しかし、サービスのスピードが速くなくともトップで戦える選手はいる。つまり、球種やコース、プレースメントでサービス時のポイント獲得率を確保するのが最も重要となる。

この面では錦織に課題が残った。これは数字が悪かったという課題ではなく、試合が進むにつれ数字が落ちていったという問題だ。

5試合全てで、第1セットにおけるサービス時のポイント獲得率はむしろかなり良かった。

ファーストサービス時のポイント獲得率は5試合でおよそ70パーセントから90パーセントで、最もよかったのが1試合目の91パーセント、最も低くても4試合目の73パーセントだった。セカンドサービス時のポイント獲得率は5試合でおよそ60パーセントから80パーセントで、最もよかったのが4試合目の78パーセント、最も低くても2、3試合目の63パーセントと良好なスタッツだった。

しかし、第2セットになると、4試合目のファーストサービス時のスタッツを除き、全ての数字が10パーセントから最大で30パーセントほど数字が落ちている。

2試合目と3試合目と4試合目はファイナルセットを戦ったが、3試合目こそギアを上げることに成功し第1セットよりも良い数字を記録したが、2試合目と4試合目のサービス時のポイント獲得率は第1セットを下回るスタッツだった。

試合後半にかけてギアを上げることができる錦織が、勝利した試合も含め、試合後半にこれらの数字を落としていることから、サービスの出力は試合後半になるにつれて落ちていると言わざるを得ない。

実際、試合が後半になるにつれてサービスが甘く入る場面があり、そしてこれは試合を重ねるごとに多く見受けられた。

試合が進むにつれてサービスの出力が落ちるのは、やはり肩や腰の状態が万全ではないからだろう。トップ選手になればなるほど甘くなったサービスを逃してはくれない。

この現状を考えると、錦織が再びトップ選手たちと渡り合うには、ストローク戦においても、サービスにおいても、やはり身体の状態を良くすることが一番の鍵となる。

この5試合で見て取れたのは、身体の状態を良くすることが復活に向けた最大の課題であるということと、身体の状態さえ良くなればテニスのクオリティではまだまだトップに戻れるという確信という名の光だった。


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