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フェデラー 新戦術誕生の秘話

テニスのグランドスラムである全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)は5日、男子シングルス3回戦が行われ、第2シードのR・フェデラー(スイス)が第29シードのP・コールシュライバー(ドイツ)を6-3, 6-4, 6-4のストレートで下し、今大会6度目の優勝へ向けて4回戦へ駒を進めた。

>>全米オープン対戦表<<

フェデラーは今大会前に出場していたシンシナティ・マスターズで優勝した時に、新たな戦術を披露していた。

それはサービスライン近くに立ち、ハーフボレーのようなブロックリターンをしてネットを取るというものだった。そしてそれは今ではSABR(sneak attack by Roger:ロジャーによる秘かな攻撃)と呼ばれ、次の試合でもそれを行うか迷っているかも知れないと憶測が飛んでいる。

フェデラーは「そんなことはない。常に何かに挑戦している。でも次の対戦相手は、もしかしたらそれをするにふさわしい相手ではないかもしれない。」と語っていた。

それはそうかもしれない。なぜなら、次に対戦するのは、208cmの長身から繰り出すサービスが武器のJ・イズナー(アメリカ)だからだ。

「その新しい戦術は、そんな選手相手にはあまり出来ない。」と語るフェデラーは、相手のセカンドサービスでそれを多用していたが、ボールがバウンドした直後にハーフボレーのように行ってネットにつめており、斬新な戦術ではあるもののリスクも高いものだった。

「これまでの戦い方で、ビッグサーバーとは良い試合が出来てきた。それを思うと新しい戦術をどうするか考えなければならない。加えて正直なところ、その戦術が試合のターニング・ポイントになるとも思えない。それよりまずは、自分のサービスをしっかりキープすることを考える必要がある。」とフェデラーは素直な今の気持ちを述べていた。

フェデラーは今大会の勝ち上がりでは好調なプレーを続けている。3試合で相手に与えたのはわずか20ゲームで、まだ1セットも落としていない。そして自身のサービスでは2度しかブレークされていない。そのいずれもこの日のコールシュライバーに奪われたものだった。

グランドスラム最多優勝の17度を誇るフェデラーは、そのうち5度がこのフラッシング・メドーで獲得しており、2004年から2008年に5連覇を果たしていた。そしてこの日の勝利で今大会は15年連続での4回戦進出となった。

フェデラーはこれまでの試合では短時間で勝利を上げていたために、奥さんと2組の双子の子供達と一緒にニューヨークの街を観光する時間が持てていた。4日にはミュージカルの「ハミルトン」を観賞していた。

この日のコールシュライバーとの対戦がこれまでのフェデラーにとっての最長試合だった。しかしそれでもその試合は、1時間半を越える程度だった。

そしてその試合では、フェデラーは新しい戦術を数回試していた。1度はボールがアウトになり、もう1度はボールがネットにあたり相手コートにこぼれてフェデラーのポイントとなっていた。

コールシュライバーは試合後、「全体を通して彼(フェデラー)は、特別凄かったとは感じなかった。彼はいつも通り攻撃的なプレーをしていた。でも、新しい戦術は今日の試合ではあまり見られなかった。」と試合の印象を語っていた。コールシュライバーはこれでフェデラーとは10連敗となった。

フェデラーがその新しいリターンをしたのは、先月出場したシンシナティ・マスターズでの練習の時だった。その時はB・ペール(フランス)と練習していたフェデラー。ペールは体調が悪くフェデラーは時差ボケ状態で、簡単に練習を終わらせたかった。

「あの時にリターンを早くしようと試みたんだ。そして数本のウィナーが取れた。みんな不思議がっていたよ。彼(ペール)も笑っていたし、自分も笑った。コーチのS・ルティも笑っていたんだ。」フェデラーはその時を思い出していた。

「次の練習でも同じリターンをしてみたんだ。同じような効果があるか試したくて。そしてその次の練習でもしてみたら、いつも上手く行ったんだ。するとコーチが“じゃあ、それを試合でやってみては?”と言うから自分は“本当に?”と驚いたよ。」と、その戦術が生まれた経緯を明かしていた。

フェデラーが次に対戦するイズナーは、今大会はこれまでの3年間3回戦で敗退していた。そして偶然にもそれは全てコールシュライバーからの敗戦だった。

5日に行われた3回戦でイズナーはJ・ヴェセリ(チェコ共和国)と対戦したが、イズナーがセットカウント2ー0とリードしたところでヴェセリが首の痛みを訴え棄権を申し入れての勝利だった。

イズナーは7日に行われるフェデラーとの4回戦で、フェデラーの新しい戦術について問われると「そのことをあまり考えたことはない。どうなるかは分からない。試合までまだ48時間あるからこれから考えてみるよ。」と語っていた。

イズナーはこれまでフェデラーとは1勝4敗の成績で2007年の同大会で敗れている。直近では2012年のロンドン五輪で対戦しており、その時もフェデラーに軍配が上がっていた。

ヴェセリはこれで、今年の全米オープンで試合中に棄権した16人目の選手となった。男子で14人、女子で2人。これはグランドスラムがオープン化した1968年以降の最多記録となっている。

(STATS - AP)

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(2015年9月6日14時43分)

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