男子テニスの上位8選手によって争われる今季の最終戦、バークレイズATPワールドツアー・ファイナルズ(イギリス/ ロンドン、賞金総額650万ドル)は9日、グループBの予選ラウンドロビンが行われ、大会第4シードの
錦織圭(日本)が第5シードの
A・マレー(英国)を6-4, 6-4のストレートで下し、今大会のデビュー戦を勝利で飾った。
今季ここまで4大会で優勝を果たし、全米オープンでは自身初となるグランドスラムで準優勝を飾り、ランキングも自己最高位の5位にまで上昇させた錦織は、地元の声援を力に勝利を目指したマレーから初勝利を飾るなど、特に精神的な成長を見せた今シーズンを象徴するようなプレーを披露した。
「彼(錦織)が技術やショットなどで特に変わったとは思わなかった。ただ、かなり自信を高めてプレーをしていた。そのことから、更にチャンスを掴めるようになっていたし、以前よりかなり攻撃的にプレーをして来た。」とマレーは錦織への印象を語っていた。
アジア人男子としてこの最終戦へ初出場を果たした24歳の錦織がブレークするきっかけとして一番変わったところは、特にトップ選手との対戦へ向けての姿勢だと言われている。それは、元全仏オープン覇者で現在錦織のコーチをしている
M・チャン(アメリカ)氏の影響が大きい。
その小柄な体ながら世界のトップで活躍していたチャン氏は、同じような体型の錦織だからこそ有効なアドバイスを与えられている。その結果、今季はここまでトップ10選手から10勝を飾り、特に全米オープンでは
M・ラオニチ(カナダ)、
S・ワウリンカ(スイス)、
N・ジョコビッチ(セルビア)を下して決勝進出を決めていた。
「プロになってからもずっと、特にトップ選手には多くの尊敬の気持ちを持っていました。初めて
R・フェデラー(スイス)と対戦した時は、その気持ちが大きすぎて何も出来ませんでした。実際、勝ちにいくことが出来ませんでした。アイドルと試合が出来るだけで嬉しかったのです。それが1つの問題でもありました。」と錦織も自身の変化についてコメントしていた。
プロデビューしてから度重なる怪我に泣かされた経験を持つ錦織はその克服についても語っていた。
「よりジムで費やす時間を増やしていますし、オフシーズンも以前より多く練習に励んでいます。ツアーに回っている間でさえも、なるべくリハビリやトレーニングをするようにしています。」
錦織が予選を戦うグループBは、錦織、マレーの他、フェデラー、ラオニチがおり、一方のグループAよりタフだと言われている。
そして迎えた初戦のマレーとの対戦では、かなり緊張して試合に臨んでいた事を明かしている。
「スタジアムもかなり大きかったので、なるべく周りを見ないようにしていました。とても多くの観客が詰め掛けてくれていたからです。第2セットになって、より自信を持ってプレーする事が出来ました。そしてプレーもどんどん安定してきました。」と、試合を振り返り、大会会場の印象も加えていた。
今回、デビュー戦を勝利で飾った錦織は、2試合目にフェデラーと対戦する。
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