テニスのグランドスラムであるウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝)は27日、男子シングルス2回戦が行われ、第12シードの
錦織圭(日本)が世界ランク84位の
L・マイェール(アルゼンチン)を7-6 (7-5), 6-4, 6-2のストレートで下すシードの貫録を見せつけ、2年連続の3回戦進出を決めた。世界ランク11位の錦織は、1995年にベスト8進出を果たした
松岡修造(日本)以来18年ぶりの日本人男子8強入りを狙う。
この試合、錦織は5本のダブルフォルトを犯すも、ファーストサーブが入った時に72パーセントの確率でポイントを獲得、さらに29本のウィナーを放ち、2時間22分で2回戦突破を決めた。
試合後、錦織は「今日も内容は良かったですね。なるべくベースラインから下がらないように意識していた。今日は様子見もあり、第1セットはタイブレークへもつれた。(マイェールの)サーブは良かった。フラットでワイドにくるので、珍しいサーブだった。」と、コメント。
リターンゲームで錦織は、44パーセントの確率でポイントを獲得、さらにマイェールのサービスゲームを12度のブレークチャンスから5度のブレークに成功した。
リターンのポジションを変えていた事については「(マイェールは)ダブルフォルトが多かったので、前に入ってみたりして、なるべくプレッシャーをかけた。」と、錦織。
加えて「スライスでしのいで、ストローク戦に持ち込めた。今大会はバックハンドの調子も良い。サーブも調子は良いので、このまま行きたいですね。」と、確かな手応えを感じていた。
ウィンブルドンで初のベスト16進出をかけて錦織は、3回戦で第23シードの
A・セッピ(イタリア)と対戦する。セッピは2回戦で33歳のベテラン
M・ロドラ(フランス)から第1セットを先取した時点で、ロドラの途中棄権申し入れにより、思わぬ形で3回戦進出となった。
錦織とセッピは、2011年のスイス・インドアで対戦しており、その時は錦織が6-3, 7-6 (7-4)のストレートで勝利している。
セッピについて、錦織は「彼(セッピ)は芝でいい成績を残している。彼の良さはストロークがとても良くて、フォアもバックも弱点がない。」と、話した。
世界ランク28位のセッピは、これまで3度のツアー優勝を飾っており、今年1月に自己最高となる18位を記録している。セッピのウィンブルドン自己最高成績は、2008・2009年の3回戦進出である。
シード勢が順当に勝ち進んだ場合、錦織は4回戦で第8シードの
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)、準々決勝で第4シードの
D・フェレール(スペイン)と対戦する可能性がある。
今後については「この調子でどんどんいきたいですし、これからはシードの選手と当たるので、よりタフな試合になると思う。今日みたいなプレーを心掛けたいと思います。」と、意気込みを語った。
錦織のウィンブルドンでの自己最高成績は昨年の3回戦進出で、その時はデル=ポトロにストレートで敗れた。
その他の日本勢では42歳の
クルム伊達公子(日本)がウィンブルドンで1996年以来17年ぶりの2回戦突破と同時に、1968年のオープン化以降最年長となる3回戦進出を決めた。予選から勝ち上がった
添田豪(日本)は第9シードの
R・ガスケ(フランス)と対戦し、セットカウント1-3で敗れ2回戦敗退となった。
また、今年のウィンブルドンは上位シード勢が早期敗退する波乱が続出しており、大会7度の優勝を誇る第3シードの
R・フェデラー(スイス)は2回戦、第5シードの
R・ナダル(スペイン)は初戦で敗れる大波乱に見舞われた。フェデラーがグランドスラムでベスト8を前に敗れるのは2004年の全仏オープン以来、ナダルのグランドスラム初戦敗退は2001年にプロ転向して以来キャリア初の事だった。
さらに、今年は棄権を申し入れる選手も続出しており、ナダルを破る大金星を飾った
S・ダルシス(ベルギー)、第10シードの
M・チリッチ(クロアチア)は2回戦を前に棄権申し入れた。さらに第16シードの
P・コールシュライバー(ドイツ)と
G・ペラ(アルゼンチン)は1回戦、第6シードの
JW・ツォンガ(フランス)、第18シードのJ・アイズナー、
R・シュティエパネック(チェコ共和国)、ロドラは2回戦で試合途中に棄権申し入れている。
【錦織圭 ウィンブルドン戦歴】
<2012年>
・1回戦 勝利
M・ククシュキン(カザフスタン) 7-5, 6-3, 6-4
・2回戦 勝利
F・セラ(フランス) 6-3, 7-5, 6-2
・3回戦 敗退 J・M・デル=ポトロ 3-6, 6-7 (3-7), 1-6
<2011年>
・1回戦 敗退
L・ヒューイット(オーストラリア) 1-6, 6-7 (4-7), 7-6 (9-7), 3-6
<2010年>
・1回戦 敗退 R・ナダル 2-6, 4-6, 4-6
<2008年>
・1回戦 敗退
M・ジケル(フランス) 6-4, 5-7, 途中棄権
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