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【コラム】無冠の王者が手にすべきタイトル◇第5弾 2012激闘シリーズ その8

本日も2012年のテニス界「激闘シリーズ」最終章をお届けします。今回は全米オープン男子決勝のA・マレー(英国)とN・ジョコビッチ(セルビア)の試合です。

今年、両者は全米オープンを迎えるまでに4度対戦していた。全豪オープンとソニー・エリクソン・オープン男子はジョコビッチ、バークレイズ・ドバイ・デューティフリー・テニス選手権とロンドンオリンピックはマレーがそれぞれ勝利し、互いに2勝2敗。

決勝戦前、ジョコビッチは「アンディは本気でタイトルを狙ってくるだろうね。でも、僕も勝ちたいから同じ気持ちを持っているよ。」

対するマレーは「決勝は信じられないくらいタフな試合になると思うよ。彼(ジョコビッチ)はハードコートが得意な選手だからね。でも、僕はグランドスラムで優勝したいんだ。」

加えて「今年のウィンブルドン決勝で負けてから、余計に勝ちたいという想いが強くなった。今度こそ優勝する。」と、意気込みを語っていた。

《「マレー、初タイトル獲得ならず」過去記事はこちら》

大会2連覇を目指すジョコビッチとグランドスラム初優勝を狙うマレーは、全米オープンで壮絶な決勝戦をすることとなる。

【第1セット】
第1セット、両者2ブレークを奪い合い、タイブレークヘ突入する。タイブレークでは我慢のラリー戦が続くも、このセットで6度目となるセットポイントをものにしたマレーが雄叫びをあげ、1時間27分でこのセットを先取する。

【第2セット】
第1セットを奪ったことにより勢いに乗ったマレーは、第2ゲームと第4ゲームでブレークに成功、ゲームカウント4-0とリードを広げる。

サービング・フォー・ザ・セットのゲームではジョコビッチにブレークを許すも、第12ゲームでマレーが粘りのあるプレーをみせブレークに成功し、セットカウント2-0と四大大会初優勝まであち1セットと迫る。

【第3セット・第4セット】
あとがなくなったディフェンディングチャンピオンのジョコビッチは、第2ゲームで最後鮮やかなバックハンドのドロップボレーを決めると息を吹き返し、第3セット・第4セットでマレーに1度もブレークを許さず、セットカウント2-2とし、勝負の行方は第5セットへ突入する。

【第5セット】
マレーとしては2セットアップから2セットオールに追い付かれ嫌な流れだったが、ジョコビッチの強烈なフォアハンドに対しバックハンドのスライスで返球し粘ると、最後凡ミスを犯したジョコビッチにより、マレーが第1ゲームでブレークする好スタートを切る。

あとはサービスゲームをキープするだけというプレッシャーがかかるマレーだったが、決して弱気にならず、ゲームと取る度に叫んで自分自身を奮い立たせた。

グランドスラム初タイトルが徐々に近づくマレーは、ジョコビッチのミスなどが重なり、第3ゲームもブレーク、ゲームカウント3-0とさらにリードを広げる。

その後、ジョコビッチにブレークバックされるも、第7ゲームでもブレークしゲームカウント5-2と、これをキープすると優勝というサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップのゲームを迎える。

そして、遂にサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップ・ポイントを手にしたマレーは、最後ジョコビッチのリターンがアウトし、4時間54分で悲願のグランドスラム初優勝が決まった。その瞬間マレーは、コートにしゃがみ込み、信じられないという表情をみせた。

5度目のグランドスラム決勝で、タイトルを手にすることができたマレーは「ノヴァークは本当に、本当に強い。最後の最後まで諦めずに戦ってくる。どうやってこの勝利を手にしたのかわからないよ。」

大会連覇を逃したジョコビッチは「アンディのグランドスラムでの初優勝を祝福したい。彼はチャンピオンに相応しい。全てを出し尽くしたよ。誇りに思える素晴らしい試合だった。」と、優勝のマレーを称えた。

マレーのこの優勝には多くの偶然が重なった。今年からコーチとして招いた元世界ランク1位のI・レンドル(アメリカ)も、グランドスラム5回目の決勝戦で初優勝を飾り、そのレンドルがM・ビランデル(スウェーデン)と行った1988年の今大会決勝戦に記録された最長試合は、マレーとジョコビッチの試合と同じ4時間54分だった。

《「マレー、コーチのレンドルについて語る」過去記事はこちら》

今シーズンのマレーは、ウィンブルドンでR・フェデラー(スイス)に敗れ準優勝に終わるも、ロンドンオリンピックのシングルスで金メダル・ミックスダブルスで銀メダル、さらに全米オープンで念願の四大大会タイトル獲得。2013年は今年以上の結果を残せるかに期待がかかる。

【明日12月19日(水)は、今年飛躍した伊藤竜馬(日本)を特集します】

○過去のコラムはコチラ○

【激闘シリーズ】
《「王者ジョコビッチの意地◇第5弾 2012激闘シリーズ その1」はこちら》

《「錦織、2セットダウンからの生還◇第5弾 2012激闘シリーズ その2」はこちら》

《「4度の絶体絶命を振り切った王者◇第5弾 2012激闘シリーズ その3」はこちら》

《「5度目の正直は「あと1歩」が遠かった◇第5弾 2012激闘シリーズ その4」はこちら》

《「「40時間くらい」と思わせるフルセットマッチ◇第5弾 2012激闘シリーズ その5」はこちら》

《「「王者の椅子を譲る時、そして運命を分けた1ポイント◇第5弾 2012激闘シリーズ その6」はこちら》

《「「土壇場からのアンビリーバブル◇第5弾 2012激闘シリーズ その7」はこちら》

【新星選手シリーズ】
《「フェデラーを脅かし、クレイステルスを破った若手達◇第4弾 2012新星選手シリーズ その1」はこちら》

《「ナダルを打ちのめした恐ろしい男◇第4弾 2012新星選手シリーズ その2」はこちら》

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【フェデラーシリーズ】
《「フェデラー、王者奪還なるか◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その1」はこちら》

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《「フェデラー「グランドスラムで優勝したくらいの感情」◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その3」はこちら》

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【引退選手シリーズ】
《「貴公子フェレーロ、やっと手にしたビッグタイトル◇第2弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》

《「完璧主義者のフェレーロ、最後は涙のフィナーレ◇第2弾 2012引退シリーズ その2」はこちら》

《「ロディック、ギルバートと手を組み栄冠◇第1弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》

《「ロディックに「フェデラー」という壁が立ちはだかる◇第1弾 2012引退シリーズ その2」はこちら》

《「フェデラー最大の被害者となったロディック「自分がどう感じるかが重要」◇第1弾 2012引退シリーズ その3」はこちら》

(2012年12月18日16時59分)

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