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今年、テニス界で新たな旋風を巻き起こした選手達がいました。今日と明日の2日間で、今年に入り世界に名を広めた選手達をご紹介します。
【デヴィド・ゴファン】
世界ランク2位のR・フェデラー(スイス)は全仏オープン4回戦で思わぬ苦戦を強いられた。そのフェデラーに善戦したのが、彗星のごとく現れたD・ゴファン(ベルギー)だった。
ゴファンは今年世界ランクを174位からスタートさせ、下部大会であるチャレンジャー大会に出場しながら着実に力をつけてきた。
全仏オープンでは予選3回戦で敗退したが、ラッキールーザーで本戦出場を決めた。1回戦は、当時世界ランク27位だったR・シュティエパネック(チェコ共和国)に6-2, 4-6, 2-6, 6-4, 6-2の大激闘の末に、2回戦もA・クレマン(フランス)に3-6, 7-6(2), 0-6, 6-2, 6-1のフルセット、3回戦はL・クボット(ポーランド)にストレートでそれぞれ勝利し、フェデラーとの4回戦進出を決める。
この試合、当時世界ランク109位のゴファンはフェデラーと互角のラリー戦を展開する。そして、鮮やかなカウンターショットを決めるなどでブレークに成功したゴファンは、最後フォアハンドのウィナーで決め、第1セットを先取する。
第2セットでもゴファンの勢いは衰えず、フォア・バックともに強力なショットを次々と繰り出し、スザンヌ・ランラン・コートの観客を盛り上げる。しかし、第11ゲームでフェデラーにこの試合初めてブレークされ、このセットを落としてしまう。
以降はフェデラーに試合の主導権を握られ、2時間54分で4回戦敗退となった。
試合後、子供の頃にフェデラーのポスターを自分の部屋に飾っていたという21歳のゴファンは「信じられない1週間だった。ここでロジャーと対戦できたのは、オマケのようなもの。」と、ここまでの快進撃を振り返った。
第4セットの第10ゲーム、コートを縦横無尽に駆け回り、最後は見事なタッチでボレーを決めたゴファンは、人差し指を突き上げ、観客席にお辞儀をして大歓声に応えていた。この時のことについては「スタジアムが燃え上がったようだった。」と、例えた。
ゴファンについてフェデラーは「彼はボールタッチと読みに素晴らしいポテンシャルを持っている。驚かされたよ。」と、称賛した。
《「全仏オープン フェデラーvs ゴファン戦」はこちら》
その後、ゴファンはウィンブルドン3回戦、ウィンストン・セーラム・オープンとバレンシア・オープンではベスト8へ進出するなどで、世界ランクを46位まで上げ、今シーズンは飛躍した年となった。
【ローラ・ロブソン】
元世界ランク1位のK・クレイステルス(ベルギー)は、今年の全米オープンを最後に現役生活に幕を下ろすと発表。全米オープンでは2005年、2009年、2010年で3度の優勝を果たしていた。
迎えた全米オープン、1回戦でV・デュバル(アメリカ)に51分の快勝、難なく2回戦へ駒を進めた。だが、次の2回戦がクレイステルスの現役最後の試合だとは誰も予想できなかっただろう。
クレイステルスの2回戦の相手はL・ロブソン(英国)。今年のロンドンオリンピックでロブソンは、A・マレー(英国)とのミックスダブルスで銀メダルを獲得していた。
クレイステルスとロブソンの2回戦、第1セットは第4ゲームでクレイステルスが先にブレークし、ゲームカウント5-3とサービング・フォー・ザ・セットを迎える。しかし、ロブソンにブレークバックを許し、タイブレークへと持ち込まれる。
タイブレークでは4-4まで互いにポイントを奪い合うも、その後ロブソンの鋭いリターンなどか決まり、第1セットはロブソンが先取する。
第2セットに入ると、第1セット同様第4ゲームでブレークに成功するクレイステルス。だが、第5ゲームでロブソンの強烈なショットに押され、すぐさまブレークバックを許してしまい、ゲームカウント2-2となる。
以降は互いにサービスキープを続けるも、ゲームカウント5-5の第11ゲームでロブソンがスマッシュのミスを犯したことにより、30-40とクレイステルスにブレークチャンスを与えてしまう。このポイントで、力んだクレイステルスのリターンがアウトし、結局このゲームはロブソンがサービスキープ。
迎えた第12ゲーム、クレイステルスのサービスゲームで15-40とロブソンはマッチポイントを握る。このチャンスをクレイステルスにドライブボレーとサービスエースでしのがれ、第2セットもタイブレークへ突入。
タイブレークでは1ポイント目でバックハンドのダウンザラインを決められ、クレイステルスに試合の流れが傾くかと思われたが、ロブソンはカウンターショットなどを決め、7-6 (7-4), 7-6 (7-5)の2時間6分でクレイステルスの現役生活に終止符を打った。その瞬間ロブソンは天を仰ぎネットへ歩み寄ると、クレイステルスと抱き合った。
「話し合いをして色々なことを考えて、引退を決めてからは幸せな日々だった。この1年半から2年間は、数々のアップダウンがあったけど、色んな感情もあった中で、こうしてここまで来たことには満足しているの。こうしてやってこれた自分に対して誇りに思う。だから今は幸せな気持ちでいるの。」とクレイステルスは、後悔のないことを明かした。
《「全米オープン クレイステルス vs ロブソン戦」はこちら》
勝利したロブソンは、3回戦で2011年全仏女王で全米オープンの前哨戦であるW&Sオープン女子で優勝していたN・リー(中国)に勝利し、グランドスラム初となる4回戦進出を果たした。4回戦は前年度覇者のS・ストザー(オーストラリア)に敗れるも、その後の広州国際女子オープンではツアー初の決勝進出を果たした。さらに昨シーズン131位で終えていた世界ランキングを、今年は53位と大きくジャンプアップさせてシーズンを終了させた。
今回特集した21歳のゴファンと18歳のロブソンの若手二人は、2013年シーズンで今年のようにトップ選手達を脅かす存在となれるのか。ポテンシャルの高い二人の今後にも注目です。
【続きは明日12月8日(土)】
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《「フェデラー、王者奪還なるか◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その1」はこちら》
《「フェデラーに神が降りる◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その2」はこちら》
《「フェデラー「グランドスラムで優勝したくらいの感情」◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その3」はこちら》
《「フェデラー、勢い止められずタイトル逃す◇第3弾 2012フェデラーシリーズ その4」はこちら》
《「貴公子フェレーロ、やっと手にしたビッグタイトル◇第2弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》
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《「ロディック、ギルバートと手を組み栄冠◇第1弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》
《「ロディックに「フェデラー」という壁が立ちはだかる◇第1弾 2012引退シリーズ その2」はこちら》
《「フェデラー最大の被害者となったロディック「自分がどう感じるかが重要」◇第1弾 2012引退シリーズ その3」はこちら》
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