|
これでラウンドロビン12連勝となったフェデラー |
画像提供:Getty/AFLO |
(中国、上海)
ATPツアー最終戦マスターズカップ(賞金総額445万USドル、インドア)5日目の木曜日、レッド・グループ予選最後の2試合が行われた。
王者R・フェデラー(スイス)はG・コリア(アルゼンチン)との試合で、食い下がるコリアを振り切り、6-0,1-6, 6-2のフルセットで勝利を収め、自己の連勝記録を34に伸ばすと同時に、今季の勝ち星も80に伸ばした。またツアー最終戦予選ラウンドではこれまで3回の出場で12勝負けなしとした。
この試合、フェデラーが第1セットを一方的に先取したところで、コリアがタイムアウトを要求し、痛めていた足のテープを巻き代え、試合を棄権するかに見えた。しかしコリアは第1セットに浴びせられたブーイングに憤慨するかのようにコートに戻ると、まるで人が変わったかのようなプレーをみせ、フェデラーから第2セットを奪い返した。
コリアは「第2セットでももちろん痛みはあったが、相手と観客の皆さんに敬意をはらうべく、痛みを押してプレーに集中したんだ。それにこの試合が今シーズン最後の試合だったし、どうしても戦い抜きたかったんだ。でも、もう忘れるよ。」と、すでに予選敗退が決まっていた彼は、苦しい状態にも関わらず試合を続けた真意を伝えた。
第3セットも、第5ゲームまでは両者サービス・キープが続くという緊迫した展開で試合は進んだが、そこでまたコリアの痛みが悪化し、自身のダブルフォルトでブレークを許すとフェデラーが4-2とリードを奪った。その後フェデラーが2ゲームを連取し、最後はコリアのこの日9回目のダブルフォルトで試合に終止符が打たれた。
この試合では、フェデラーも決して完璧なプレーとは言えず、彼らしからぬ33個ものミスを犯していた。「何もかも完璧とはなかなか行かないものだ。この試合では幸い体力を浪費することだけはなかったけど、やっぱり第2セットでもっと良いプレーを見せることができなかったのは、後悔しているよ。」と、フェデラーはこの日の試合を振り返っていた。
今大会、すでに準決勝進出を決めていたフェデラーは、今季の成績を80勝3敗とし、R・ナダル(スペイン)の勝ち数を抜き、今季ATPツアーでの最高勝ち数を記録した。オープン化以来の最高シングルス勝率の82勝3敗を1984年に記録したJ・マッケンロー(アメリカ)に並ぶには、あと2試合に勝利、つまり今大会で優勝する必要がある。フェデラーの最後の敗戦は、6月3日の全仏オープン準決勝での敗退で、その対戦相手だったナダルは、怪我のため今大会欠場を表明している。
|
マドリッドでの借りを返したナルバンディアン |
画像提供:Getty/AFLO |
フェデラー戦に先駆けて行われたこの日の第1試合では、D・ナルバンディアン(アルゼンチン)がI・リュビチッチ(クロアチア)を6-2, 6-2のストレートで退け予選2位通過を決めた。ナルバンディアンはこれで、1982年のG・ビラス(アルゼンチン)以来準決勝へ進出したアルゼンチン人となり、別組トップ通過のN・ダビデンコ(ロシア)と対戦する。
ナルバンディアンは、4週間前のマドリッドでのマスター・シリーズ2回戦で、リュビチッチに敗れていたが、この試合ではわずか67分のストレートでその雪辱を果たした。「いつもこんな試合ができたら、ランキングももっと上になるのにね。もちろんそれは簡単なことではないし、このような大事な試合だからこそモチベーションも上がるんだけどね。」とナルバンディアンは自分の出来に上気分だった。「インドアでは、これまでのベスト・マッチだった気がするよ。」
このところマスター・シリーズでも2大会連続で決勝進出している好調リュビチッチだったが、この日はナルバンディアンの気迫に完全に押されているように見えた。「今日はほとんど何もできなかった。彼(ナルバンディアン)は信じられないプレーをしてきた。僕は220キロを越えるサービスを打ったけれど、その半分のスピードしか出していないかのように軽々とリターンされてしまった。完敗としか言いようがないけど仕方ないね。」と、ナルバンディアンのプレーを賞賛していた。
(2005年11月18日)