Vol. 14 流れや展開を読む 上巻
このページでは、プロがどんな戦略を駆使しているか、またそのためにどんなショットを使っているかを紹介しよう。トッププロといえども、けっしてパワーだけでプレイしているわけではない。戦略や組み立ての意図や効果を理解すれば、明日からでも実戦で十分に使えるようになるはずだ。 さて、たいていのプロは、自分の得意な得点パターンを持っている。フォアの強打で仕留める。バックのダウン・ザ・ラインでエースを取るなどなど。いかにしてその得点パターンに持ち込むか。相手をその型にはめるか。プロの試合はそのせめぎ合いだといえる。 ただどうしても目がいきやすいのは派手なショットだ。それがノータッチのエースなら、なおさらだろう。しかし本当に着目すべきは得点、あるいはチャンスの前のショット、相手の体勢やバランスを崩したショットだ。強いプレイヤーほど、このショットを数多く持っている。
代表的なパターンは、 というものだろう。この場合、@が相手のバランスを崩すショット。パターンの核となるショットだ。こうしたパターンやそのバリエーションだけに着目するのも、ひとつの観戦法といえる。 また強いプレイヤーほど、相手の弱点を徹底的につく。それがどのショットなのかを探るのも面白い。もっとも得点しているケースを探れば、簡単にその相手プレイヤーの弱点がわかる。それがわかれば、なぜそれが弱点なのかについてもわかるはず。自分の試合でも活用できるに違いない。
たとえばアガシは、大柄なプレイヤーに対して、徹底的に真ん中にボールを集めることがある。ボディショットを狙っているのだ。相手を窮屈な体勢に追い込んでから、次にワイドに振って仕留める。これは、対大型選手戦略の王道だ。逆に小さいグラウンドストローカーに対しては、肩口以上に跳ねるボールを多用したり、ドロップショットで前におびき出すパターンが多い。そうやって体格的なハンディをよりいっそう際立たせようと試みているわけだ。 アガシはその強打ばかりがクローズアップされがちだが、じつはそうした布石のショットを非常に有効に使うタイプ。サーブにそれほど依存しない彼のようなプレイスタイルは、愛好家にとってはお手本のような存在だといえるだろう。 次の下巻からは、アガシと同じように布石ショットをうまく活用しているプレイヤーの得点パターンを紹介します。
(テニスジャーナル 2004年4月号) |
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