Vol. 14 流れや展開を読む 上巻
次にキープ・キープという展開の中で、どちらに流れが来ているのか、どちらが有利なのかを検証してみたいと思う。 ある試合がキープ・キープで進んでおり、そのキープの内容が対照的な展開だったとしよう。ひとりはつねにデュースや30オールという展開。キープに苦しんでいるという状況だ。反対に相手はつねに楽な展開。ラブゲームやポイント先行でつねに余裕を持ってキープしているという流れだ。 常識的に考えると、キープに苦しんでいるプレイヤーのほうが圧倒的に不利だ。自分のサービスゲームを守ることに精一杯で、リターンゲームにまで気が回りにくいからだ。そんな状態ではますます相手に余裕を持ってキープされてしまう。それがまたサービスゲームで自分の首を絞めることにつながる。つまりキープに苦しむと悪循環に陥りやすくなるわけだ。おそらく、前半は何とかしのいでも、後半にブレイクされる。それがごく一般的な試合の流れだ。
ただこの流れが一転して逆流することが、テニスではしばしばある。タイブレイクにまでもつれ込んだ場合である。 タイブレイクでは、それまでの流れや内容が持続することはじつは少ない。また地力に勝るほうが勝つとも限らない。むしろ格下のため青息吐息でどうにか離されないようにしがみついてきたほうが、心理的に有利になれることさえある。トップ10のタイブレイク勝率が、かならずしも高いわけではない事実がそれを物語っている。 試合の流れを推理するうえで、キープの内容は見逃せない要素だ。大きなウエイトを占めているといえる。ただ、タイブレイク以前と以後では、試合の流れはまったく別物。強者と弱者の立場が逆転する可能性さえある。この点がテニスというゲームの醍醐味でもあり、面白味でもある。 読者の方に覚えていてほしいのは、まさにこの点だ。最後まで諦めてはいけない。試合について経験豊富な人が「試合が終わるまで諦めるな!」というのは、それだけの根拠があるからだ。1球1球に集中すれば、1ポイント1ポイントをおろそかにせず食らいついていけば、タイブレイクへと持ち込めるかもしれない。そうなったら、上下関係は一切なくなる。勝つチャンスは小さくないのだ。 試合に挑戦すれば、当然、体格や筋力に個人差がある。それだけテニスにも差が出やすいということになる。しかしたとえ圧倒的な実力差があったとしても、かならずしも負けるとは限らない。プロの試合を注意深く観戦すると、それが見えてくるはずだ。
(テニスジャーナル 2004年4月号) |
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