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こんなとき、パートナーになんて言う?

Vol.1 こんなとき、パートナーになんて言う?

声のかけ方次第で、コンビネーションは高まる!
パートナーを励まし、鼓舞し、平常心やチャレンジ精神を喚起するような言葉が試合中には必要

ダブルスの試合で、緊迫した状況、あるいは劣勢のとき、パートナーがやる気になるか、やる気をなくすかは、じつはあなたの言葉にかかっている。声のかけ方、その内容次第で、コンビネーションが高まることもあるし、その逆もある。
しかしたんに勇気づける言葉を使えばいい、という問題でもない。自分は励ましているつもりでも、かえって、パートナーにプレッシャーをかけているというケースがあるからだ。

技術アドバイスは本人を混乱させる
たとえば、技術的なアドバイスだ。試合中にパートナーのスウィングの悪いところを指摘したり、矯正しようとしても、あまり効果がない。ましてやそれまでトライしたこともないような技術アドバイスをしても、かえって本人は混乱するだけ。 さらにショットの精度やクオリティが落ちていく可能性が高い。試合中に細かい技術指導を行なっても、逆効果となってしまうのだ。

ミスの中のポジティブな部分を認め合う
また本人がもっとも自覚しているミスやその状況など、わかりきっていることをあえて口にするのも、事態を悪化させる。たとえばサーブやリターンが思うように入らないとき、接戦で勝負を分けるような状況のとき、何度もサービスを落としてしまっているときなどに、あえてその状況説明をしても、まったく無駄なのだ。それよりも他に言うことがたくさんある。
あるいは、結果を意識させたり、チャレンジ精神を損なうような発言も控えるべき。ダブルスは互いに励まし合って行なうスポーツ。たとえミスしても、その中のポジティブな部分を互いに認め合うという姿勢が大切だ。

あなたにも思い当たるフシがあるはず
つまりコート内では、言葉は慎重に選ぶべきなのだ。
そこで今回は、ダブルスの試合中に起こりうる7つの状況を設定して、その際に言っていい言葉(OKワード)と悪い言葉(NGワード)とは何かを考えてみた。
ありがちな言葉、思い当たる言葉。理想的な言葉。ふさわしい言葉。あなたにもきっと思い当たるフシがあるはずだ。

case 1
センターのボールを前衛のパートナーが思わず手を出し、ミスしてしまった…

まず最初は、センターに来たボールに対して、どう対応するかというケースを考えてみよう。ポーチのしやすいチャンスボールでもないが、かといって前衛がまったく手が出ないというわけでもない、微妙なボールのケースだ。
この場合、前衛が取るべきなのか、後衛に任せたほうがいいのか、判断に迷うことが多い。実際、前衛が思わず手を出してしまって、その結果ミス、というのは愛好家のダブルスでよく見かける光景だ。こんなときに前衛に対して何を言うべきで、何を言ってはいけないのだろうか。

チャレンジ精神を削いではいけない

NGワードの例
まず最悪のNGワードは「今のは私のボールだから、手を出さないように」という内容の言葉。愛好家の間では意外によく聞かれる言葉で、守備範囲の再確認という意味で使われることが多いようだ。
しかし、ダブルスの前提から言えばこれはあり得ない。ダブルスの前提とは、前衛のポーチのこと。いかにこのショットに積極的にチャレンジしていくかが、勝負の分かれ目といっても過言ではない。
「手を出すな」という言葉は、このチャレンジ精神を削ぐ。前衛がセンターボールに対して、動けなくなってしまうのだ。すると、どんどんセンターにスペースができて、突き球が増える→苦しくなるという事態に陥ってしまう。だからこそ、触れるボールは全部前衛が触ることが必要。レベルを問わず、その習慣づけがダブルスでは求められる。
もうひとつ代表的なNGワードは、「しっかりとコートに返して」という内容。ラケットにボールが当たっているのだから、ちゃんと返せという意味だ。
ネガティブな言葉は、いずれにせよチャレンジ精神を削ぐものなので、その点でまずNGなのだが、ほかにも理由はある。結果を意識させてしまっていることだ。「コートに返す」。これを聞いたプレイヤーは、他のショットでもそれを意識してしまう。つまり入れにいく気持ちが強くなり、結果、萎縮したプレイになりがち。それがミスの連鎖になってしまうのである。

ミスという結果ではなく、プロセスを誉める

ではOKワードは何だろうか。それはNGの逆を考えればいいだけだ。NGはチャレンジ精神を削いでいたのだから、逆にそれを後押しする言葉を探せばいい。たとえば「ナイストライ!」というのは、もっともシンプルで、かつ有効な言葉だ。
誰でも、けなされるよりは誉められるほうが嬉しい。たとえ失敗したときでも、その人情は変わらない。だとすると結果ではなく、その姿勢や気持ちを誉めるしかない。この場合はセンターボールに挑戦したその姿勢を誉める、ということになる。すると、気持ちが前向きになり次はうまくいく、というのはよくあるパターン。さらに守備的なだけでなく、攻撃的なポーチにもどんどんトライするようになる。言葉ひとつで、好循環になることも考えられるのだ。
もうひとつ代表的なOKワードは、意識をミスという結果からそらせる言葉。センターボールに手を出したその結果ではなく、プロセスのほうに意識を向けさせるのが狙いだ。たとえば「構えのときも足を動かしていこう」という助言は、結果から意識をそらすとともに、反応を早くする効果もあるので、一石二鳥。このケースでの理想的な言葉かもしれない。

NGワード「今のは私のボールだから、手を出さないように」 NGワード「しっかりコートに返して」
OKワード「ナイストライ!」 OKワード「構えのときも足を動かしていこう」


case 2
サービスゲームで、パートナーがダブルフォルトを2本続けてしまった…

次は、パートナーがサービスゲームで、2本連続でダブルフォールトをしてしまったというケース。プロではあまりないが、愛好家のダブルスでは目にすることの多い光景だ。こんなときのNGワードとOKワードは何だろうか。

技術の修正は試合中にできない

NGワードの例
このケースでの代表的なNGワードは、「1stサーブを入れていこう」という言葉。もっと単純に「1st!」と言う場合も多い。これは日本のテニスプレイヤー全般に見られる傾向で、けっして愛好家だけではない。体育会系のプレイヤーたちはもちろん、プロの試合でもこうした言葉をときどき耳にすることがある。
しかし前述したように、結果を意識させる内容はやはり避けなければならない。「1stサーブを入れよう」というパートナーの言葉を聞けば、サーバーとしてはやはり結果を意識せざるを得ないし、それでプレッシャーも余計にかかる。
本来はゆったりとしたリズムやそのプロセスをイメージすることが、サーブではもっとも重要。だが「1st!」のひと言で、サーブが入るかどうかばかりに気を取られ、本来、行なうべき動作がおろそかになってしまうのである。
ただ、だからといって、技術的なアドバイスも、このケースではけっしてためにならない。というよりも、NGワードのひとつになりかねない。
たとえばありがちなのは、「もっとスピンをかけたほうがいいよ」という言葉。スピンの量を多くして、コートに入る確率を高めようとの意味だ。しかし試合中にはただでさえ技術的な修正はむずかしい。とくに身体の使い方やラケットワークに関しては、プロでもなかなか試合中に修正することはできない。
そのうえ連続でダブルフォールトして、精神的に余裕をなくしている状態。技術的な修正はまず不可能と考えられる。かえってパニック状態を促す結果になりかねないのだ。

打ち急ぎを予防する言葉とは

では、このケースではどんな言葉がOKワードとしてふさわしいのだろうか。
まず必要なことは、ミスの確率、つまりフォールトになるリスクをできるだけ減らすという作業。そのためのアドバイスが有効なのだ。「レシーバーのボディを狙っていこうよ」という言葉は、その意味でこのケースでは非常に理に適っている。
ボディを狙うということは、それだけ左右へのフォールトのリスクが減るということ。それが自覚できさえすれば、おそらく精神的な余裕も多少生まれるはず。またボディを狙えばリターンに角度がつきにくくなり、実利的なメリットも感じられるようになる。そうなれば、自信も湧いてくるだろう。 またリラックスさせる言葉も、この状況では非常に有効。OKワードのひとつだ。
たとえば「深呼吸してから2ndを打ってみよう」と声をかければ、リラックスしかなり力が抜けてくるはず。深呼吸すれば自然と腹式呼吸になる。すると、力が抜けてくるのが人間の身体の仕組みなのだ。また2ndの前にあえて深呼吸を行なうことをここでは強調したい。2ndの前ということは、1stと2ndの間に行なうということ。つまりそれだけ間ができるわけで、これが打ち急ぎ予防につながる。打ち急ぎは、ダブルフォールトのおもな要因のひとつだ。

NGワード「1st入れていこう!」 NGワード「もっとスピン かけたほうがいいよ」
OKワード「ボディを狙っていこうよ」 OKワード「深呼吸してから、2ndを打ってみよう」


case 3
リターンゲームで、パートナーがリターンミスを連発してしまっている…

読者の方の中にも、試合中、リターンがどうしても入らなくなった、という経験者がいるのではないだろうか。相手のサーブがいいのなら、納得もできるが、そうではなく、ただコースや球種が読めず、何となくミスを連発してしまっているケースだ。ここではパートナーがその状況になったときを想定してみた。

ミス連発のときに、言っても無駄な言葉

OKワードの例
前ページのダブルフォールトのところでも述べたが、ミスを連発しているときに言っても無駄、というよりも逆効果なのが、技術的な言葉だ。とくに細かいアドバイスは、かえってパートナーを混乱させるだけで、メリットは薄い。これがまずNGワードとして、プライオリティが高い言葉だろう。
次に言ってはいけない言葉は、難易度の高い内容。たとえそれがセオリーどおりで、内容的に間違っていなかったとしても、技術的にハードルが高く、その時点で実現困難なアドバイスは、よりミスを誘う結果になる。 たとえばこの場合だと、「相手の足元を狙っていこう」という言葉がそれに当たる。自信を持って打てていないときに、よりレベルの高い結果を求められても、とまどうだけ。おそらくネットミスが増えるにちがいない。この言葉は、状態のいいときならけっしてマイナスではないが、このケースではNGワードになってしまうのである。

意外にあっさり、ミスが解消する言葉がある

ではどんな言葉をかけるべきなのか。技術的には修正できないのだとすれば、どんな内容がこの場合にふさわしいのだろうか。
それは、そのパートナーがどのようなミスをしているかによって、異なる。たとえば、サイドアウトのリターンミスが多いのならば、そのリスクを減らす言葉が適切だ。具体的には「真ん中に打っていこう」がベターだろうか。それほど難易度が高い内容でもない。とにかく真ん中に返すことだけに集中するように、アドバイスする。当人にとっては、案外、気持ちのうえで助けになってくれるはずだ。
またもしネットミスが多いようなら、「前衛を気にしないでいこう」という言葉が適切かもしれない。ネットミスが多いということは、ポーチを警戒している可能性が高い。しかし失点を恐れるより、まずはネットを越すことが先決。それができれば、ひとつ前進となる。
そのためには相手前衛にボールを触らせるくらいの気持ちでいてもいい。とにかく前衛の存在を忘れて、リターンがネットを越えることに専念させたい。
もうひとつ、リターンミスの要因として考えられるのは振り遅れだ。振り遅れてしまう技術的な原因は数多くあるが、いぜれにせよ、それを指摘したところで試合中には修正はきかない。「テイクバックが大きい」、「準備が遅い」、「余計な動作が入っている」などがその代表例だろう。
ただ「もう少し予測しよう」と言葉をかけてみると、意外にあっさりと振り遅れが解消することがある。今、挙げた技術的トラブルが一挙に解決してしまうのだ。おそらく予測ができておらず、スタート時点でそもそも出遅れており、最後までその遅れを挽回できなかったことが、技術的なトラブルの遠因になっていたにちがいない。技術的なことよりも、気持ちや姿勢、集中力を高める言葉のほうが効果的というのは、それが理由である。

NGワード「相手の足元狙っていこう」 OKワード「真ん中に打っていこう」
OKワード「前衛を気にしないでいこう」 OKワード「もう少し予測してみよう」


case 4
ゲームカウント4−4、ポイント30オールという接戦のとき…

次は接戦の中での言葉を考えてみたい。6ゲームのワンセット・マッチの試合で、4−4、30オールというシチュエーション。言うまでもなく、次の1ポイントが勝敗を左右しかねないという場面だ。この状況で言っていい言葉と、いけない言葉とはどんなものだろうか。

ついロブを上げてしまうNGワードとは

NGワードの例
まず初めにNGワードとして挙げたいのは、「ここは大事なポイントだよ」という内容。日本のテニス界では、ゲームポイントやブレイクポイント、さらにはセットポイント、マッチポイントなどを獲得したときに「ポイント!」と叫ぶ習慣があるが、ここで挙げたのはそうした儀式以上の意味合い。パートナーに向けて、あらためてその重要性をアナウンスしているというケースだ。
しかし、そんなことは言われなくてもわかっている。ペアのひとりがもう1人に対して、あえて声を出してまでプレッシャーをかける必要はないというのが、この特集での見解だ。言葉を耳にした瞬間に、平常心が保てなくなってしまい、身体が硬くなってパフォーマンスが落ちてしまう。また、柔軟な発想も出てこなくなる、というのが最悪のケース。わかりきったことをいって、良いことはひとつもないわけだ。
もうひとつ挙げるとすれば、「慎重にね」というフレーズだろうか。この言葉はとりわけ、接戦でのリターンサイドでありがちな言葉だろう。意味としては、慎重にプレイしてリターンを返すことから始めよう、というメッセージなのかもしれない。しかしパートナーにとってはそれ以上に重い言葉となる。絶対にリターンミスするなと受け取ってしまいかねないのだ。
よくあるのは、サーブがバック側に来て、それをロブで返してしまうというケース。慣れていないので、ロブが相手のチャンスボールになり、スマッシュで失点。絵に描いたような消極的な展開だ。「慎重にね」といわれると、ついロブを上げてしまう人は、案外、多いはずである。

接戦のとき最高にポジティブな言葉とは?

接戦のときのOKワードは、いつもどおりとか、平常心がキーワードだと言っていいだろう。具体的には「ここは得意なパターンでいこう」というのがそれ。接戦の場面では、相手もセオリーどおり、自分たちの得意なパターンでプレイすることが大半。なかなか奇策に打って出ることはできないものだ。
だとすれば、こちらも慣れない戦術でリスクを犯す必要はない。正攻法で、がっぷり4つで戦うのが得策だ。またそのほうが考えがシンプルになるし、状況に惑わされにくく、展開もイメージできる。ある意味、力勝負に徹することができる。
もうひとつも同じような意味だが、「ふだんどおりにプレイしよう」という言葉を勧めたい。勝負事には消極性は禁物だが、かといって大胆すぎるのも考えもの。とくに接戦のときはワンランク上のプレイを目指したくなるが、それは避けたほうがいい。ワンランク上のプレイは積極性とは言わないからだ。それは緊張からの逃避にしかすぎない。オーバーペースで、確率が悪いショットにトライしてしまうのは、試合を投げているのとほぼ同じ意味である。
接戦での積極性とは「いつもどおりのプレイ」なのだ。ふだんと同じペース、スピード、リズムでプレイすることが、最高にポジティブな姿勢なのである。

NGワード「ここは大事なポイントだよ」 NGワード「慎重にね!」
OKワード「ここは得意なパターンでいこう」 OKワード「ふだんどおりにプレイしよう」


case 5
パートナーが、またしてもサービスキープに失敗した…

ここではパートナーがまたしてもサービスキープに失敗、まだ一度もキープできていないという状況での言葉を考えてみたい。サービスを落とした直後でのNGワードとOKワード、次のサービスゲーム直前のNGワードとOKワードを紹介する。

助けになるようでならない言葉とは

OKワードの例
まず最初は、落とした直後。このときに絶対に口にしてはいけない言葉は「次、絶対キープね」という内容。前のページでも述べたが、わかりきっていることをあえて言葉にしても、効果はない。というよりも、逆効果だ。キープが必要なのは、誰よりも本人が一番わかっている。それができないから、苦しんでいるのだ。その胸の内を理解しない言葉を口にするようでは、コンビネーションは成立しないだろう。
ダブルスではサービスキープは大前提。これができないというのは、リターンを1本ミスするのとはわけが違うし、重みがまったく違う。そのプレッシャーの度合いを考えれば、パートナーの自尊心を傷つけるようなこの言葉はあり得ない。
次は直前のNGワードについて。
パートナーに再度サービスが回ってきたとき、何とかキープしてもらおうと考えるのがペアというもの。そんなとき、つい口にしてしまいそうなのが、「相手のバックに入れていこう」という言葉だ。弱点をついて、なんとかこちらを有利な状況にしようとの考えからだ。
しかし、一見、助けになるように見えて、じつはこの言葉もあまり効果はない。これも、おそらくすでに本人が思いついているはずだからだ。もしかするとすでに実行に移し、それでもキープできなかったのかもしれない。結局、追い打ちをかけるだけの言葉になりかねないわけだ。

落とした直後は、気持ちの切り替えが必要

では、どのような言葉をこの場合かければいいのだろうか。まずはサーブを落とした直後から。
落とした直後ということは、次は自分たちがリターンをする番。ならば、気持ちを切り替えるような言葉をかけるのが、この場合には必要だ。落としたショックは大きいだろうから、それを後々まで引きずらないように、意識をリターンに集中させるような言葉が必要なのである。
具体的には「次、リターンに集中しよう」というのが、シンプルでベスト。リターンまで冴えないことになってしまったら、勝負はついたも同然。ここは是が非でも、リターンで挽回してほしいとの気持ちを込めた言葉をかけるべきである。
もしリターンでいいショットが出れば、気持ちに余裕もできる。それがサーブに良い影響を与えることも考えられる。「リターンに集中」。字面だけを見れば、陳腐な感じもするが、状況次第では力を発揮するアドバイスともなりうるのだ。
次は直前のOKワードについて。
直前では再度気持ちを切り替えて、チームとして今度こそキープを実現させなくてはならない。そのために必要なのは、まずキープできない原因を知ることだ。失点パターンを検証し、その対策を練らなくてはならない。練ったうえで「戦術を変えてみよう」と具体的な言葉をかけるのが、ある意味、理想と言える。
もし1stボレーのミスが多いなら「ステイバックしてみよう」との言葉が有力だし、ステイバックで失点をしてるなら「サーブ&ボレーにトライしてみよう」との言葉がふさわしい。

NGワード「次、絶対キープね」 NGワード「相手のバックに入れていこう」
OKワード「次、リターンに集中しよう」 OKワード「戦術変えてみよう」


case 6
大事なゲームを取って、なんとかマッチゲームを握ることはできたが…

ここからはマッチゲームになったときに、どんな言葉が良くてどんな言葉が良くないのかをみていこう。まず最初は、大事なゲームを取って、自分たちがマッチゲームを握ったケースから。

もっともプレッシャーがかかる瞬間とは

OKワードの例
テニスの試合の中で、もっともプレッシャーがかかるのは、どんなときだろうか。読者の方も自分の経験を思い起こしてもらいたいのだが、それは勝ちが見え始めたとき、つまり自分が有利になったときではないだろうか。この状況になったら、ある意味、相手ではなく、「勝利」が敵となる。そしてその時点で、今までのプレイがスムーズにできなくなるものだ。どんなレベルでも、それは同じはずだ。
したがって、自分たちがマッチゲームを握ったときのNGワードのひとつは「これを取ったら勝ちだよ」となる。今述べたように、この段階での敵は「勝利」。にもかかわらず、それを口にしてあえて意識させると、平常心が失われてしまう。けっして前向きの言葉ではないのだ
もうひとつNGワードとして挙げておきたいのは「エースを狙っていこう」というもの。早く終わらせたい。かっこよく終わらせたい。あるいは、勝利に対するプレッシャーを払拭する目的で、その言葉を使うのかもしれない。気持ちはわかるが、しかしそれでは勝てるものも勝てなくなる。ここは堅実なプレイが必要な場面だ。
もしサービスゲームなら、それまでエースが取れていたとしても、この場面では、逆に狙わないほうがいい。もちろんそれまでエースなどなかったのなら、ここで狙うのは論外だ。リターンも同じで、マッチゲームでこそ、オーバーペースにならないように心を砕きたい。

いつもどおりこそ、もっともむずかしい

OKワードは、NGの反対を考えればいい。つまり勝ちを意識しがちなこの状況では、ふつうにプレイすること、それまでできていたことを同じように行なうことこそがむずかしくなる。だからこそ「エースを狙っていこう」とは正反対の「いつもどおりにプレイしよう」という言葉が貴重となってくる。目新しい内容ではないが、この段階では再度、確認の意味でこの言葉はどうしても必要だ。
とくにファーストポイントでは、いつもどおり、自分たちのパターンでプレイすべき。逆をついたり、奇をてらう必要はまったくない。たとえ相手に読まれていたとしても関係ない。得意のプレイで押し込むぐらいの気持ちがあればいい。
もうひとつOKワードとしてふさわしいのは、「前衛、動いていこう」という言葉。単純にポーチに出ようという意味ではない。ポーチに出たり、フェイントを見せたり、とにかく絶えず身体を動かしていこう、という意味だ。
この場面は、緊張で身体が硬くなりやすいケース。絶えず身体を動かしておけば、硬さもほぐれてくる。するとロブへの対応も早くなるし、精神的にも勢いに乗りやすくなる。また前衛が動いていれば、後衛のプレッシャーが軽くなる。とくにサーブの場合はその効果は大きい。反対に相手にとっては、前衛の軽快な動きは非常に気になり、いやなものだ。
ただ、すべてポーチにトライしようという意味ではない。それではミスになりかねない。出るときと控えるときのメリハリは当然必要だ。

NGワード「これ取ったら勝ちだよ」 NGワード「エースを狙っていこう」
OKワード「いつもどおりにプレイしよう」 OKワード「前衛動いていこう」


case 7
競った状況からリードを許し、相手にマッチゲームを握られてしまった…

最後に相手にマッチゲームを握られたケースを考えてみよう。競った状況からリードを許し、いよいよ4−5。相手のマッチゲームが始まったという設定だ。

最悪のNGワードは、無言であること

OKワードの例
まず最初にNGワードとして考えられるのは、否定的な言葉。たとえば「追い込まれちゃったね」とか、「さっきのゲームが痛かったね」といったフレーズだ。
おそらく自分たちのミスも絡んでリードを許してしまい、それを悔やんでネガティブな気持ちになるのだろう。心情的には理解できるが、しかし今はまだ試合中。しかもパートナーがいるダブルスの最中だ。否定的・後ろ向きの言動は慎んだほうがいい。否定的な言葉は、それを口にした人だけではなく、それを聞いた人にも影響を与える。だから、ネガティブな言葉は試合中には一切だめだ。ダブルスは互いに励まし合うスポーツだということを思い出してほしい。
ただ、じつはそうした声や言葉が出るのは、まだまし。リードを許したり、マッチゲームを握られたケースで、最悪のNGワードは無言であることだ。ペアが口を利かないという状況に陥っているときだ。ペア同士が互いに言葉を交わさず、淡々とコートに向かって、そしてプレイするという光景は、じつはプロの試合でもときどき見かけられる。完全にコンビネーションが崩壊している状態だ。
しかしマッチゲームを握られている状況は、いちばん声とコミュニケーションが必要なケース。戦術やフォーメーション以上に、互いの意思確認、狙い、そして何よりあきらめていないぞという意思表示が必要な場面である。その状況下にもかかわらず、無言でプレイするというのは、考えられる中でおよそ最悪の事態だ。そんな状態では、おそらく連係プレイなど望むべくもない。良いサーブや良いリターンを打っても、パートナーの助けを期待することはできないのだ。それでマッチゲームを挽回するのはむずかしいだろう。

開き直りのきっかけとなる言葉とは

ではこの状況ではどんな言葉がふさわしいのだろうか。
OKワードのひとつめは、「1ポイントずつ集中しよう」。1ポイントずつを積み重ねていって、相手との差を縮めていこうという意味だ。
もともとテニスでは、相手との差を一気に縮める方法などない。野球でいうところの満塁ホームランなどないのだから、つねに1ポイントの積み重ねではある。相手のマッチゲームという状況では、とくにこの心構えが必要となってくる。一発逆転ではない。目先のひとつひとつのプレイに集中することがこの場面ではとくに重要なのだ。色気を出さずにていねいにプレイし、チャンスを見つけていくべきだ。
もうひとつOKワードとして、面白いのは、「相手のほうがびびってるよ」という言葉。前のページでも述べたように、じつは勝利が目前のペアのほうが案外プレッシャーを感じているもの。いっぽう自分たちは、マッチゲームを握られて、ある意味、開き直ることができる。後がなくなって、逆に思い切ってプレイできることが少なくない。力が抜けたリラックスした状態で、良いショットを連発することもけっしてあり得ない話ではないのだ。「相手はびびってる」という言葉は、そのきっかけとなる可能性がある。

NGワード「追い込まれちゃったね」 NGワード「…………」無言
OKワード「1ポイントずつ集中しよう」 OKワード「相手のほうがびびってるよ」

(テニスジャーナル 2004年7月号)
© SKI Journal Publisher Inc.

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