Vol. 12 テニスの身体 上巻
エナンのプレイを見てまず最初に目につくのは、その身体の使い方。しなやかで力強い。とくに右腕の使い方はまるでムチがしなるようにしなやかだ。ヘッドが腕より遅れて出てきて、インパクト後にようやく追い越すようなスウィングとなっている(下の連続写真参照)。華奢な身体ながら、スピードボールが打てる最大の要因がこれだ。 今や女子もパワーテニスの時代。その「世界標準」からすれば、エナンは小柄だし、パワーのあるほうではない。ただじつは、あの体格にしては筋肉質なタイプ。細身で余計な脂肪が少ないだけではない。きわめてテニス向きの体型で、機動性が高い。俊敏でフットワークに優れているのは、当然といえば当然だ。 もうひとつ彼女のテニスで見逃せないのは、その目の確かさ。相手の速いボールに対して、素早く正確に自分の打点を見つけることができる。俊敏なフットワークは、それがあるからこそ、生きてくるわけだ。 また深視力にも優れているので、浅いチャンスボールをみすみす見逃すことも少ない。相手のボールの「浅い・深い」を判断するタイミングが早く、浅いと見るやたちどころに前につめる。その能力があるからこそ、彼女はエースを量産できるといっても過言ではない。小柄でも、特別、筋力に恵まれなくても、打ち負けることがない。彼女のテニスは、そうした身体的な能力に支えられている。
(テニスジャーナル 2004年2月号) |
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