Vol. 10 ボレーの極意と心構え 上巻
ローボレーをうまくさばくと、テニスがうまくなったような気分になれる。それが大切
「タッチ&フィール」重視のボレーは、楽しさ・快感に通じると述べた。またそれが上達の手助けになるとも。その具体的な例をここでは紹介しよう。
テニスに限らず、現在のアスリートに欠かせないのはフィジカル的な強さである。サイズも含めて、とにかく強くて大きいほうが圧倒的に有利なのが、現在のほとんどのスポーツ界の実状だ。
テニスではサーブやフォアの強打で、フィジカルの強さが生かされている。サンプラスやフェデラーなどの一部選手を除き、多くの選手はビッグショットを筋力的な強さに依存している。背筋や腹筋、リストの力などを極限まで活用し、持続させる力を彼らは持っているのだ。
そうした状況で、愛好家がプロのショットに近づくのはほとんど不可能だ。どんなに力任せに打っても、またどんなにフォームを似せることができても、200キロ超のサーブを打つことはまず不可能と断言できる。
ただし、例外のショットもある。それがローボレーやハーフボレーである。
ローボレーやハーフボレーは、プロと同じ感覚で打てる唯一のショットなのだ。足下に来たボレーをプロ以上に華麗にさばくことは、けっして不可能ではない。そこで問われるのは、関節の可動域や筋力の強さではない。必要なのは感覚やタッチのセンスで、それらは週一回の練習でも意識して取り組んでいけば養える類のもの。ローボレーをうまくさばくと、テニスがうまくなったような気分になれる。するとテニスが楽しくなる。それが大切なのである。
フィリプーシスの流れるような動作の低めのボレー
低めのボールに対して、流れるような動作でうまくさばいたフィリプーシスのバックボレー。愛好家が200kmのサーブを打つことは不可能でも、このようにボレーを華麗にさばくことはけっして不可能ではない
(テニスジャーナル 2003年10月号)
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