「テニスGEEK通信(TENNIS GEEK NEWS)とは」テニスギアの「モノ」や「コト」を、深堀し、マニアックに、そしてGEEK(ヲタク)にお届けするコラムです。 ウインザーラケットショップ池袋店スタッフの中居が独自の目線で話題の商品を紹介します。 テニスに関する仕事をして30数年になる大ベテランですが、まだまだヤル気満々でテニスコートに立っているシニアプレーヤーです。
「高性能なのに、簡単になったスピードMPでダブルスをプレーしました」ヘッドのラインナップの中で、一番の主力アイテムはなんと言っても、スピードMPです。パワーがありながら、スピンのかかりがよく、コントロール性も高いモデルです。
黄金スペックの定番の100インチ、300g、26mmに比べ、23mmなので、飛び過ぎて困ることもなく、かと言って、名前の通りスピードはかなり出る方です。スッキリ乾いたフィーリングが、スピード感を助長し、実際のスピードより速いボールを打っている感覚になります。
気持ち良いのは大事です。もし、同じスピード、同じスピンが打てるラケットがあったとしたら、気持ちよく打てる方が絶対コントロールもしやすくなります。結局、ラケットを操作するのはロボットではなく、感情のある人だからです。
トラックマン・ラケットカウンセリングのイベントスタッフとして現場に立つことがあるのですが、たまに思ったとおりの数字が出なくて良いラケットに巡り合わないことがあります。
そのような時は、スピードMPを打ってもらいます。不思議とどんな人でも良い数字が出て、「これ良いですね」と言われます。そのようなスピードMPがモデルチェンジをしました。
スピードシリーズはヘッドの中で一番ラインナップが多く全部で7モデルあります。
・スピードプロ(100インチ、310g)
・スピードMP(100インチ、300g)
・スピードMP L(100インチ、275g)
・スピードチーム(100インチ、285g)
・スピードチームL(100インチ、265g)
・スピードPWR(115インチ、255g)
・スピードPWR L(115インチ、230g)
スピードプロは、18×20のジョコビッチ選手モデルで、インパクトのボールを潰す感覚は、昔からのヘッド好きの方にはたまらない気持ち良さでしょう。
310gのラケットをスイングスピードを落とさずに、正しい打点の位置で(振り遅れず)フェイスの真ん中で捉える技術は必要不可欠です。その先には、他のラケットでは得難い快感が待ち受けています。
スピードMPは、今回じっくりと試打したのでご報告します。前作に比べると少し柔らかく感じ、優しくなった印象です。
トラックマンのデータでは、スピード110km、スピン2200回転となり、この時打ったプリンス、ウイルソン、バボラの春の新作の中で、ボールスピードが2番目で、スピンは断トツの1番でした。
普通、スピンがかかるラケットはスピードがダウンします。それは「エネルギー保存の法則」だからです。それなのに、スピードが落ちなかったのは、打っている人間のフォームが変わったからです。ごく稀に、気持ち良いラケットに巡り合うと、動きも良くなったりすることがあります。
ダブルスのゲームで使用してみたのですが、ファーストサービスのスピード、セカンドサービスのスピンのかかりともに申し分なく、サービスキープは楽々でした。リターンゲームでもボールが浮かずに、足元をえぐるリターンが打てました。欠点らしきものが無く、快適にプレーできました。
ナイロンを張っていましたが、ポリエステルやハイブリッドにしたらさらに良くなりそうな予感がします。
スピードTEAMは、プロ、MPとはフレームの厚さが異なり、まったく別物の印象でした。285gで25mmのスペックで、女性や力に自信が無い男性向きなのですが、打った時の手応えがソフトで、どこに当たっても簡単に飛んでいく印象です。
ハードヒットする方には、コントロールがつけづらいと思いますが、ミスショットをカバーしてくる優しさのあるラケットです。
今回はフルモデルチェンジではありませんが、確実に進化はしています。オーセチックという新機能が搭載されているのですが、ヨーク部分の8本のストリングの稼働を操作しています。
通常は、センターの2本のストリングが100%のパワーを発揮して、その外側の2本は70%のパワーになり、その外側の2本は50%のパワーになります。オーセチックの目指している機能は、8本のストリング全てが同じ70%のパワーになることです。センターの8本のストリングに当たっている場合、飛びや、スピン、コントロールにムラがなくなり、安定感が増すのです。
高性能ラケットなのに、簡単になったスピードシリーズをぜひお試しください。
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