テニスのグランドスラムであるウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝)は7日、男子シングルス決勝が行われ、第2シードの
A・マレー(英国)が第1シードで世界ランク1位の
N・ジョコビッチ(セルビア)を6-4, 7-5, 6-4のストレートで下し、グランドスラムで2度目のタイトルを獲得すると同時に、1936年のフレッド・ペリー以来77年ぶりとなる悲願の地元優勝を果たす快挙を達成した。
この試合、マレーは9本のサービスエースと36本のウィナーを放った。さらに、ジョコビッチのサービスゲームを7度ブレークし、3時間9分でマレーが勝利した。
試合後、マレーは「昨年とは全然違う。昨年はとても厳しい経験をしたから、優勝出来て嬉しい。想像を絶するほどの厳しい試合だった。よく勝てたと思う。ストレートで勝てて、とても嬉しい。優勝の瞬間は、何が起きたか覚えてない。」と、コメントした。
昨年のウィンブルドンでマレーは大会初の決勝進出を果たすも、決勝で
R・フェデラー(スイス)に敗れ、フレッド・ペリー以来となる76年ぶりの地元勢優勝を逃していた。その後マレーは、同年に行われたロンドンオリンピックで金メダル、さらに
L・ロブソン(英国)とのミックスダブルスでは銀メダルを獲得。そして、同年の全米オープンではグランドスラム初優勝を飾った。
「ノヴァーク(ジョコビッチ)とは何度も対戦していて、彼が勝つ事が多かった。彼はリードされても、反撃出来る選手。今日も同じ事になりそうだったけど、なんとか勝てた。」
両者は今回で19度目の対戦となり、マレーはジョコビッチとの対戦成績を8勝11敗とした。
地元のファンには「イギリスから優勝者が出てほしいというのは感じていた。喜んでもらえましたか?」と、話した。
26歳のマレーは、今回の優勝でツアー28度目のタイトル獲得となり、キャリア通算の戦績を413勝128敗とした。
また、マレーとジョコビッチの両者が出場したグランドスラムでは、3大会連続の決勝戦となった。2012年の全米オープンはマレーが4時間54分の死闘を制し、グランドスラム初のタイトルを獲得。2013年の全豪オープンではジョコビッチが逆転で勝利し、大会オープン化以降初となる3連覇を達成すると同時に、大会4度目の優勝を飾った。その後の全仏オープンでは、怪我によりマレーは欠場していた。
今年のウィンブルドンでマレーは、
B・ベッカー(ドイツ)、
ルー・イェンスン(台湾)、第32シードの
T・ロブレド(スペイン)、第20シードのM・ヨージニにストレートで勝利し、6年連続6度目のベスト8へ進出した。
準々決勝ではノーシードで元世界ランク7位の
F・ベルダスコ(スペイン)に2セットダウンからの大逆転勝利、準決勝でも第24シードの
J・ヤノヴィッツ(ポーランド)を逆転で下し、ジョコビッチとの決勝戦へ駒を進めた。
また、マレーのコーチである
I・レンドル(アメリカ)はグランドスラムで8度優勝をしているが、ウィンブルドンだけはタイトルを獲得する事が出来ず、1986・1987年で2度の準優勝となっていた。
レンドルに向けて、マレーは「イバン(レンドル)のおかげでもある。彼は何もかもやってくれた。彼にコーチをしてもらって優勝出来た事に喜びを感じる。彼は忍耐強く付き合ってくれた。本当にありがとう。」と、話した。
一方、敗れたジョコビッチは、2011年に優勝した時以来となる2度目のウィンブルドン優勝とはならなかった。
ジョコビッチは「アンディ(マレー)、おめでとう。優勝者に相応しいプレーだった。」と、マレーにコメントした。
今年ジョコビッチは、全豪オープンでオープン化以降初となる3連覇達成と大会4度目の優勝を飾った。その後、全仏オープンで4強入りするも、準決勝で
R・ナダル(スペイン)に4時間37分の激闘の末に敗れ、キャリア・グランドスラム達成は来年以降に持ち越しとなった。スコアは、4-6, 6-3, 1-6, 7-6 (7-3), 7-9だった。
過去ジョコビッチは、2セットダウンからの大逆転勝ちは3度あったが、今回はマレーにストレートで敗れる結果となった。今大会でジョコビッチは、1セットも落とさずに4強入りした。しかし、準決勝では第8シードの
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)に4時間43分の大激闘を強いられ、7-5, 4-6, 7-6 (7-2), 6-7 (6-8), 6-3で勝利し、マレーとの決勝へ駒を進めていた。
そして、今年のウィンブルドンは上位シード勢の早期敗退が続出した。マレーと同じブロック(ボトムハーフ)にいた大会7度の優勝を誇る第3シードのフェデラーと、2008・2010年王者で第5シードのR・ナダルは、3回戦を前に敗れる大波乱に見舞われた。
フェデラーがグランドスラムでベスト8を前に敗れるのは2004年の全仏オープン以来、ナダルのグランドスラム初戦敗退は2001年にプロ転向して以来キャリア初の事だった。
日本勢では、自己最高となる第12シードで出場した
錦織圭(日本)は第23シードの
A・セッピ(イタリア)に敗れ2年連続となる3回戦敗退、予選3試合を勝ち抜いた
添田豪(日本)は2回戦で第9シードの
R・ガスケ(フランス)に敗れた。
【マレー vs ジョコビッチ 過去の対戦成績】
<2013年>・ウィンブルドン決勝 マレー 6-4, 7-5, 6-4 ジョコビッチ
・全豪オープン決勝 ジョコビッチ 6-7 (2-7), 7-6 (7-3), 6-3, 6-2 マレー
<2012年>・ATPワールド・ツアー・ファイナル ジョコビッチ 4-6, 6-3, 7-5 マレー
・上海マスターズ決勝 ジョコビッチ 5-7, 7-6 (13-11), 6-3 マレー
・全米オープン決勝 マレー 7-6 (12-10), 7-5, 2-6, 3-6, 6-2 ジョコビッチ
・ロンドンオリンピック準決勝 マレー 7-5, 7-5 ジョコビッチ
・ソニー・オープン男子決勝 ジョコビッチ 6-1, 7-6 (7-4) マレー
・ドバイ・デューティ・フリーテニス選手権準決勝 マレー 6-2, 7-5 ジョコビッチ
・全豪オープン準決勝 ジョコビッチ 6-3, 3-6, 6-7 (4-7), 6-1, 7-5 マレー
<2011年>・シンシナティ・マスターズ決勝 マレー 6-4, 3-0 (途中棄権) ジョコビッチ
・BNLイタリア国際男子準決勝 ジョコビッチ 6-1, 3-6, 7-6 (7-2) マレー
・全豪オープン決勝 ジョコビッチ 6-4, 6-2, 6-3 マレー
<2009年>・ソニー・オープン男子決勝 マレー 6-2, 7-5 ジョコビッチ
<2008年>・シンシナティ・マスターズ決勝 マレー 7-6 (7-4), 7-6 (7-5) ジョコビッチ
・ロジャーズ・マスターズ決勝 マレー 6-3, 7-6 (7-3) ジョコビッチ
・モンテカルロ・マスターズ3回戦 ジョコビッチ 6-0, 6-4 マレー
<2007年>・ソニー・オープン男子準決勝 ジョコビッチ 6-1, 6-0 マレー
・BNPパリバ・オープン男子準決勝 ジョコビッチ 6-2, 6-3 マレー
・マドリッド・マスターズ3回戦 ジョコビッチ 1-6, 7-5, 6-3 マレー
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