テニスの全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)は11日、今年行われる同大会の混合ダブルスのルールを大幅に変更すると発表。これを受け、主にダブルスを主戦場としている選手から批判や怒りの声が上がっている。
今回の大きな変更点は開催日程、出場条件、試合形式の主に3つ。
四大大会の混合ダブルスはこれまで本戦の2週目を中心に開催されてきたが、今年の全米オープンでは本戦開幕前の予選が行われている週に開催されることになった。
また、これまではシングルス、もしくはダブルスの世界ランキングが出場条件に適用されていたが、今年からは世界ランキングでのエントリーはシングルスのランキングのみ適用されることになった。また、試合形式も通常の6ゲームを1セットとするものから、4ゲーム制のショートセットに変更となった。
【全米オープン2025の混合ダブルスの新ルール】
・開催は8月19日と20日の2日間。
・シングルス世界ランキングの合計でエントリーできる8ペアと、ワイルドカード(主催者推薦)でエントリーできる8ペアの計16チームが参加。
・3セットマッチで各セットは4ゲームまでのショートセット。ノーアドバンテージでゲームカウント4-4でタイブレークへ。1セットオールとなった場合のファイナルセットは10ポイント制のマッチタイブレークで勝負をつける。
・決勝は6ゲーム制の3セットマッチ。ノーアドバンテージでゲームカウント6-6となったらタイブレーク。1セットオールとなった場合のファイナルセットは10ポイント制のマッチタイブレークで勝負をつける。
・試合はすべてセンターコートのアーサー・アッシュ・スタジアム、もしくはルイ・アームストロングスタジアムで行われる。
・優勝賞金は100万ドル(約1億5,000万円)
この大幅なルール変更に一部選手は猛反発。これまでダブルスの世界ランキングを使用し混合ダブルスに出場してきた選手が出場できなくなることに対する批判や、ショートセットという形式が四大大会の伝統や格式を下げるという批判、さらには混合ダブルスの競技性ではなく、シングルスの人気選手の出場によって集客を図る大会側の興行性重視の姿勢にも疑問の声が集まっている。
【選手の批判の声】
・A・ババソリ(イタリア)/
S・エラーニ(イタリア)(2024年全米オープン混合ダブルス優勝ペア、連名でコメント)
伝統と歴史。現代では非常に過小評価されている価値。
私たちの意見では、利益の論理だけに従って決定を下すのは、状況によっては極めて間違っている。
昨年、全米オープンで一緒に優勝したことは、私たちのキャリアの中で最も素晴らしい瞬間の1つだった。イタリアのファンから信じられないほどの暖かさとサポートを感じ、とても幸せだった。
混合ダブルスがあまり知られていないのは事実だが、グランドスラムの一部であるすべてのもの、つまりすべての結果の背後にある歴史は唯一無二であり、その一員になれることは大きな名誉だ。
翌年に大会に戻り、トロフィーボードに自分の名前が刻まれているのを見るのは、私たちのスポーツで最も特別な気持ちの1つだ。
この重要なトーナメントの小さな一部として、永遠に記憶されるだろうと実感する。
ここ数週間で全米オープンの混合ダブルスが完全に覆され、中止され、エンターテイメントとショーのみに焦点を当てたエキシビションのようなものに置き換えられるというニュースを受け取った。
予選トーナメント中に、シングルスのランキングで決定された8組の選手と、トーナメントからワイルドカードで招待された8組の選手が出場する。
誰にも相談せずに下された決定であり、私たちは受け入れるしかない。
これは、プレーヤーのカテゴリー全体を軽視する、大きな不公平だと私たちは考えている。
テニスよりもお金を優先するのは決して良い考えではない。
現時点では、タイトルを防衛するチャンスがあるかどうかはわからないが、これが唯一のケースであり、今後このような方針が再び検討されることがないように願っている。
私たちは、私たちの考えを共有する必要性を強く感じた。
・
J・ジエリンスキ(ポーランド)(四大大会混合ダブルス優勝2回)
選手とのコミュニケーションも、選手のキャリアに何を意味するかの考慮も、歴史や伝統への敬意もなし。悲しいことだ。
・
E・ロジェ=ヴァセラン(フランス)(四大大会混合ダブルス優勝1回)
全米オープンでダブルス選手に混合ダブルスをプレーさせないというのはひどい決定だ。
・
K・ムラデノビッチ(フランス)(四大大会混合ダブルス優勝3回)
非常にショッキングなニュース!イベントの最初の週にもっとお金を稼ぐためだけにそうしている。プレーしたい人のためにあるエキシビションのようだ!ダブルスのランキングでミックスをプレーをしたかったり、もしくはシングルスの予選をプレーしているプレーヤーはどうなる?
・E・ペレス(オーストラリア)(ダブルス世界ランク9位)
ダブルスの選手はゴミで、伝統は過大評価されていて、プレーするチャンスは過去のものだと言わずともそう考えていると教えられた。
・
P・マクナミー(オーストラリア)(ダブルス元世界ランク1位、四大大会混合ダブルス優勝1回)
全米オープンの混合ダブルスは注目を浴びたいのだろうが、ダブルスのトップ選手を除外し、4ゲームでプレーするのはグランドスラムのタイトルを馬鹿にしている。同じドローサイズとフォーマットを維持するなら、ファンウィーク(予選期間)への移行は支持する。グランドスラムの価値を下げ始めると、どこまでも落ちていくのではないだろうか?考え直してほしい。
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