21日、グランドスラムの解説でお馴染みのフローラン・ダバディ氏がtennis365.netのインタビューに応じ、2016年のベストマッチ3位は
錦織圭と
R・ガスケ(フランス)の全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー、グランドスラム)4回戦と述べた。
今年のムチュア・マドリッド・オープン(スペイン/マドリッド、レッドクレー、ATP1000)で錦織は過去6連敗していたガスケに初勝利、さらに翌週のBNLイタリア国際(イタリア/ローマ、レッドクレー、ATP1000)でもガスケを破り、全仏オープン4回戦前は錦織が有利と予想されていた。
しかし、ダバディ氏は「前哨戦で2連勝していたこともあり、錦織が勝つだろうと予想されていましたが、私はガスケがやや有利だと思っていた」と明かした。
その理由は「ローランギャロス(全仏オープン)は5セットマッチで、天候などのコンディションが変りやすい。ローランギャロスは2セットダウンでも、1セット1セットをフルで戦わなければいけない。2セットアップでも、最後の1セットを取る難しさがある」と錦織が前哨戦のようにはいかないと予想していた。
迎えた全仏オープン4回戦は天候が不安定な中で行われ、第1セットの序盤は錦織がリードした。しかし雨により試合が一時中断すると、再開後はガスケの猛攻を受けて2セットダウンの崖っぷちに立たされる。
第3セットは何とか奪い返したが、第4セットは第1ゲームでブレークを許すと流れはガスケに傾き、錦織は力尽きた。
「今年の中で感動した試合」と語るダバディ氏は「錦織よりベテランのガスケの方が、メンタルやスタミナで戦う心の準備が出来ていた」と分析。
「立ち上がりは錦織が主導権を握ったけど、雨の中断でガスケは息を吹き返した。そして、ずっとガスケのペースで試合が進んだ。ローランギャロスには魔物がいると言われている。その魔物であるクレーを自分のものにする、クレーの神様を味方にするには、フランスの文化を知ることでもあると思う」
また、ダバディ氏は「錦織は負けたけど、これからのヒントもあった。自分のテニスをするのではなく、クレーに合わせて戦わなければいけない。前哨戦の戦績ではなく、その国の文化などを見て、そこから準備をして戦わなければいけないと思う」と全仏オープンの頂を手にするには自身のテニスを貫くだけでは勝てないとも語った。
錦織は試合後に「晴れていれば、もう少し早い展開が出来た。そこ(雨)の調整が出来ていなかったことが敗因。ボールが重かったことが1番の理由。ミスが多かった。悔しいです。彼(ガスケ)のディフェンスが良かった。主導権を握られた」と落胆した。
この4回戦の翌日、地元フランスのレキップ紙はガスケについて「LA FUREUR DE VAINCRE(勝利への絶対的な強いハングリーさ)」と報じた。
また「(錦織は)前哨戦では完璧だったのに、180度変わってしまった」とコーチのダンテ・ボッティーニのコメントも掲載した。
最後にダバディ氏は「錦織は来年、その教訓を生かしてくれるはず」と期待を寄せた。
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