テニスのグランドスラムである全仏オープン(フランス/パリ、レッドクレー)で、四大大会2度目のタイトル獲得をすると同時に、全仏初制覇を果たした30歳
S・ワウリンカ(スイス)。今回の優勝で世界ランク3位
A・マレー(英国)と同様のグランドスラム2勝目をあげた。また、大会後に発表された世界ランキングでは4位へ浮上し、
N・ジョコビッチ(セルビア)、
R・フェデラー(スイス)、マレー、
R・ナダル(スペイン)のBIG4を脅かす存在となっている。
2014年、ワウリンカは全豪オープンでグランドスラム初優勝を飾った。その後はモンテカルロ・マスターズで優勝するも、全仏オープンでは
G・ガルシア=ロペス(スペイン)に敗れまさかの初戦敗退。ウィンブルドン・全米オープンは順当にベスト8へ進出するが、BIG4ばかり注目され、全豪オープン優勝の栄光が薄れかけていた。
そして2015年、ディフェンディング・チャンピオンとして出場した全豪オープンでは準々決勝で日本のエース
錦織圭(日本)をストレートで破り、2年連続のベスト4進出。準決勝ではジョコビッチとフルセットの激闘を演じが、惜しくも敗退。
以降のツアー大会では3月のインディアンウェルズ・マスターズから早期敗退が続き、思うような結果を残せずにいたが、全仏オープンの前哨戦ローマ・マスターズで自信を取り戻し始めた。そのキッカケとなったが、準々決勝のナダル戦。ワウリンカは思い切りの良いショットを何本も決め、クレーコートでの戦い方を知り尽くしたナダルを圧倒した。
迎えた全仏オープン、ジョコビッチの生涯グランドスラム達成、クレーシーズン無敗のマレー、ナダルの6連覇、フェデラーの6年ぶりタイトル獲得、錦織の四大大会初優勝に注目が集まっていた。
そんな中、ワウリンカは順当にベスト16まで勝ち進み、4回戦で地元
G・シモン(フランス)に完勝、準々決勝ではフェデラーとのスイス勢対決をストレートで制して4強入り。準決勝はアウェーの中、センターコート・フィリップ・シャトリエで
JW・ツォンガ(フランス)に勝利し、グランドスラム2度目となる決勝の舞台への切符を手にする。
決勝戦、相手は全仏初制覇と生涯グランドスラム達成を狙う王者ジョコビッチ。大方は、今季圧倒的な強さを発揮していたジョコビッチの優勝が頭にあったかもしれない。
第1セットは鉄壁のディフェンスが光ったジョコビッチが先取。
しかし、第2セットからはスーパーショットを次々と決め始めたワウリンカは手がつけられない状態になり、観客も盛り上がり始める。結果、ゾーンに入ったかのように、伝家の宝刀バックハンドのダウンザライン(ストレート方向へのショット)を面白いように決めたワウリンカが、全仏オープン初制覇を果たした。
素晴らしかったのは試合だけではなく、表彰式のスピーチが感動的だった。ワウリンカは優勝したにも関わらず、全仏初制覇と生涯グランドスラム達成が出来なかったジョコビッチをリスペクトした。その時のコメントが以下である。
「ノヴァーク(ジョコビッチ)と決勝で戦うのは最大のチャレンジだった。ノヴァークもここで勝ってほしい。生涯グランドスラムを達成してほしい。あなたを尊敬している。」
テニスが強いだけではなく、ワウリンカの人柄の良さが滲み出ていた表彰式だった。
好不調があるワウリンカだが、安定したテニスが出来ればBIG4の牙城を崩す存在となるのは間違いない。
(コメントはWOWOWから抜粋)
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