男子テニスで、歴代最多グランドスラム17勝を誇る「レジェンド」
R・フェデラー(スイス)は、2012年のウィンブルドン以降、四大大会優勝を果たせていない。テニス史上最高のテニスプレーヤーと言われるフェデラーが、29日からのウィンブルドンで大会最多8度目の優勝、さらに3年ぶりとなるグランドスラムの栄冠を手にするかに期待が寄せられる。
2003年のウィンブルドン決勝で
M・フィリプーシス(オーストラリア)に勝利し、四大大会初優勝を飾ったフェデラー。最後フィリプーシスのリターンがネットにかかりゲームセット。膝から崩れ落ち、芝をラケットで叩いて、優勝の喜びを噛みしめていたフェデラーは記憶に新しい。
その後は数々の大会で優勝、世界ランキング1位に君臨、これまでの記録を塗り替えるなど圧倒的な強さを発揮していた。
しかし
R・ナダル(スペイン)の活躍により、フェデラーが苦しみ始める。
それを象徴したのが2008年のウィンブルドン決勝。当時、フェデラーはナダルに激闘の末に敗れて準優勝に終わり、6連覇の夢を打ち砕かれた。
その後のウィンブルドンは2009・2012年に優勝するが、ナダルに加え、
N・ジョコビッチ(セルビア)や
A・マレー(英国)らのライバル出現により、グランドスラムでのタイトル獲得が難しい状況に。
追い打ちをかけるかのように、調子を落とした2013年のウィンブルドンでは2回戦で
S・スタコフスキ(ウクライナ)に敗れる波乱に見舞われた。その後のツアー大会でも格下に負けるなどフェデラーにとって厳しいシーズンだったが、今まで使用していたラケットと形状が違うものに変更し、変化を恐れずに再び頂点を目指す。
そして、かつての力を取り戻し始めたフェデラーは、昨年のウィンブルドン決勝でジョコビッチに敗れ準優勝。2年ぶりの四大大会タイトル獲得まであと一歩だったが、その決勝戦はフェデラーの底力を感じる試合だった。
セットカウント1-2でジョコビッチにリードを許し、第4セットもゲームカウント2-5と絶体絶命。そこから、ミスを恐れず果敢にネットに出たフェデラーは5ゲーム連取し、勝負の行方はファイナルセットへ。
最後は勢いが衰えないジョコビッチに根負けし、第10ゲームでブレークを許して激闘に幕が下りた。スコアは7-6 (9-7), 4-6, 6-7 (4-7), 7-5, 4-6、試合時間は3時間56分だった。
準優勝のフェデラーは、観客に笑顔をふりまくも、寂しげな顔でウィンブルドンの地を後にした。
ジョコビッチ、フェデラー、マレー、ナダルのBIG4と言われる形勢が崩れ始めている今、フェデラーと同胞の
S・ワウリンカ(スイス)が波に乗っている。昨年の全豪オープンでグランドスラム初制覇、今年の全仏オープンではジョコビッチの生涯グランドスラム達成を阻んで四大大会2度目のタイトル獲得。
ワウリンカだけでなく、
錦織圭(日本)、
T・ベルディヒ(チェコ共和国)、
D・フェレール(スペイン)、
G・ディミトロフ(ブルガリア)、さらに
N・キリオス(オーストラリア)や
J・ソック(アメリカ)ら20代前半の若手も脅威となりうる。
同じスイス勢のワウリンカが活躍する中、フェデラーも負けじと結果を残したいところ。
今年のブリスベン国際で優勝を果たしたフェデラーは、キャリア通算1,000勝を達成。これは男子テニスの歴史の中でも
J・コナーズ(アメリカ)の1,253勝、
I・レンドル(アメリカ)の1,071勝に次ぐ3人目となる記念すべき1,000勝利目となった。
今後フェデラーは、15日からの前哨戦であるゲリー・ウェバー・オープンに出場予定。ウィンブルドン優勝のためにも、ここで芝の感覚を掴んで弾みをつけたいところ。
キャリア通算85勝、世界ランキング1位在位記録男子歴代最長302週。33歳のベテランとして活躍し、世界中から愛され続けている「レジェンド」フェデラーは、頂点だけを見て、これからも戦い続ける。
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