高校テニスの日本一の座を争う大会、大正製薬リポビタン 第48回全国選抜高校テニス大会(福岡県、博多の森テニス競技場、オクゼン不動産テニスコート、砂入り人工芝、以下:選抜)は団体戦が21日から25日、個人戦が22日から26日にかけて行われている。今回は女子団体戦に出場した大阪府の浪速高等学校(以下:浪速)の顧問を務める
高畑寿弥さんを取材した。
>>第48回全国選抜高校テニス大会 男女団体戦・組合せ<<浪速が選抜に出場するのは4年連続6度目。今大会は2試合に勝利し同大会で最高成績タイとなる16強入りを果たした。
浪速を率いるのは元プロ選手の高畑さん。高畑さんは現役時代、特にダブルスで活躍し、国際大会で28度の優勝を飾った。そして2011年には
青山修子と、2015年には
久見香奈恵とのペアで全日本テニス選手権を制覇しており、日本一の称号を手にしている。
さらに、選抜には長尾谷高等学校(大阪)時代に第28回大会と第29回大会に出場。団体戦のダブルスで無類の強さを誇り、2大会で10勝0敗という圧倒的な成績を収めて同校の大会2連覇に貢献している。
高畑さんは現役時代から引退後に指導者としてのセカンドキャリアを歩むことを考えていたという。
「高校生のときからキャプテンをしたり、コーチをしたりしていて、教えたりサポートをしたりしていました。現役の終盤の方には、普通の就活もしていたんですけど、でもやっぱり指導者としてやれるならすごくいいなと思っていました」
「そんなときに浪速高校がテニス部を強化するタイミングで、外部指導員を探していて声をかけて頂きました。そのまま引退と同時に事務職員として浪速さんに雇って頂いて、事務職をしながら顧問として指導するという形でやらせて頂いています」
2019年に高畑さんが顧問に就任後、浪速は選抜に初出場。今回が6度目の出場となっており、選抜常連校となった。
指導する際には一人一人に寄り添うことを大切にしているという。
「選手の時の私は結構まっすぐな感じで、ガッと集中する感じだったんですけど、やっぱり選手は十人十色でいろんな選手がいて、いろんな考え方があって、いろんな身体の状態の子もいるので、できる限り決めつけないで、その選手一人一人がどういう気持ちでプレーしてるのかとか、今どういう気持ちだったのかとかを考えています。こういう身体の動かし方だからこうなる、じゃあ自分はこういうふうに助言しようとか、そういうふうに一人一人を見るように心がけています」
また、コート上での指導には現役時代の経験も活きている。
「選手には色々な思いがあって、コートに立って試合をして、工夫していったりとか、自分がやっていく中で成長していくこととか、そういう色々な変化があると思うんですけど、そういう気持ちがわかったうえで一緒にコートに立てるので、そこが一番現役をしていてよかったかなと思う部分です」
チームのテーマには「成長」を掲げている。
「とにかく一人一人成長していこうというのを目標として頑張ってやっています。やっぱりテニスってジュニア大会もあったり、すごく試合が多いので、疲れたりとか、気持ち的にしんどい部分もあったりするとは思うんですけど、でもそこから逃げないで頑張ってほしいという形で、とにかくみんなで成長しようというのを目標にしています」
キャプテンの坂下紗彩さんと副キャプテンの廣瀬れなさんにも高畑さんの指導について聞いた。
坂下さん「試合中もですが、練習中も一人一人のことをすごいよく見てくださって、足りないところとか、できているところとかをちゃんと伝えてくれます。モチベーションとかも上げてもらっているし、足りないところもちゃんと指導してくださるので、みんなが成長できる大きな要因だと思っています」
廣瀬さん「特に私はダブルスに出ることが多くて、試合中にも聞いたら何でも的確に答えてくださるので、すごく助かっています。試合中ってどうしても緊張とか、色んな気持ちが混ざって、気持ちの面でも技術の面でも結構不安定になったりするんですけど、チェンジコートの度に質問したり、高畑さんから教えてもらったり、ゲームごとにちゃんと切り替えてできているのは高畑さんのおかげだと思っています」
2人の話を聞いて、高畑さんの思いが生徒に伝わっていることが良く分かった。なぜなら、前述の高畑さんの話を聞いた際に坂下さんと廣瀬さんは同席していなかったが、後から取材の場に合流したのにも関わらず、坂下さんと廣瀬さんが語ったことが、前半で高畑さんが意識していると話した内容とほとんど一致していたからだ。
廣瀬さんは現在のチームについて「去年よりも1つの目標にみんなが向かえている気がするので、どんどん良くなっていると感じています」と語った。
坂下さんは今後の目標について「個人戦ではインターハイ予選を勝ち抜いてインターハイに出場することと、団体戦でもインターハイで近畿、大阪と激戦区なんですけど、そこをしっかりみんなで一丸となって勝ち抜いて全国につなげられたらなと思います」と話した。
高畑さんも「選抜やインターハイに出るというのはやっぱり難しいですが、バトンをしっかり受け継いでもらっているので、次は団体戦で全国ベスト8に入れたら最高かなと思います。全国大会ではベスト16が最高成績なので、もう1つ上を目指したいです」と語った。
取材中に坂下さんと廣瀬さんに、高畑さんが選手だったことを知っていたか聞くと「はい、なんかもうすごい人だったんですよね」とふんわりとした回答が返ってきた。
まさかと思い、選抜では伝説的な成績を残して2連覇を達成した事実を伝えると「やっば!知らなかったです。なんで教えてくれないんですか!」と驚愕。高畑さんは横で「いやいや…」と照れ笑いを浮かべていた。
一方の高畑さんも、高畑さんが全日本テニス選手権で初優勝した時、今の生徒たちはまだ2歳でしたねと話を振ると思わず「えぐいですね…」と口にした。
今大会の試合中も、そして今回の取材中も、高畑さんの生徒を見つめる眼差しは温かった。高畑さんはその持ち前の明るさと優しさで生徒に寄り添い、現役時代の経験を活かした的確な指導で浪速をさらなる高みへ導く。
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