オフシーズンにアジアで初めて開催されるエキシビションであるインターナショナル・プレミア・テニス・リーグ(IPTL)に、先週末行われたデビスカップ決勝戦でフランスを下し祖国スイスの初優勝の立役者となった
R・フェデラー(スイス)が出場し、休む間もなく28日から試合に臨む。
IPTLはアジア4ヶ国の4都市をベースにしたチーム対抗戦で、フェデラーに加え、
N・ジョコビッチ(セルビア)、
S・ウィリアムズ(アメリカ)の男女世界ランク1位の選手も参加する豪華なもの。
今週の28日から行われるIPTLは、フィリピンのマニラから始まり、シンガポール、インドのニューデリー、アラブ首長国連邦のドバイへと会場を移し、12月13日まで行われる。
現役選手に加えて引退した元男子選手なども出場するこのエキシビション。
A・アガシ(アメリカ)や
P・サンプラス(アメリカ)も名を連ねる4チームによって争われるこのエキシビションのそれぞれのチームは、マニラ・マーヴェリックス、シンガポール・スラマーズ、インディアン・エースズ、UAEロイヤルズの4チーム。
このエキシビションの発案者で元ダブルスのスペシャリスト、M・ブパシ氏は「このエキシビションは、これまでの伝統的なテニスのフォーマットを破り、革命的なチーム対抗戦です。」と説明し、2020年までには8チームのリーグ戦にしたい意向も加えつつ「しかし継続して行う事が大切で、焦らず進めて行きたい。このエキシビションの活動が発展可能なビジネス・モデルとして人々に受け入れられるものにして行きたい。」と気持ちを述べていた。
このエキシビションは、男女のシングルスと男子ダブルス、ミックスダブルス、レジェンド・シングルスの5試合で争われ、エキシビションと言いながらも本格的な競技性を持つもの。
それぞれの試合は1セットマッチで行われ、5ー5になると通常のタイブレークは用いず4分間のシュートアウト方式(延長戦)を採用。各ゲームはデュースはなくノー・アドバンテージで行われ、勝敗は各試合の勝ち負けではなく5試合の総獲得ゲーム数で決まる。
また、パワーポイントと言うシステムも導入される。それは試合中に、リターン側が宣言して行うものもので、次のポイントが2倍になるもの。各試合で1度使う事ができる。また試合中にタイムを要求する事もできる。
先月シンガポールで行われた女子ツアー最終戦を制したセリーナは「またシンガポールへ戻ってシンガポール・スラマーズの一員として戦う事を楽しみにしている。この新しいフォーマットの試合をエンジョイできるよう願っている。」とエキシビションへの思いを語っていた。
世界ランク9位で全米オープン・チャンピオンの
M・チリッチ(クロアチア)は「アジアにいる時はいつも良い経験をさせてもらっている。とても歓迎されるんだ。それにアジアのファンの方々はとても誠実で、それには本当に素晴らしいと感じている。」とアジアでの試合の魅力を語っていた。
フェデラーはより短い試合の支持者の一人。そして彼は来年の全豪オープン前に元世界ランク1位の
L・ヒューイット(オーストラリア)とより短く早いフォーマットでのエキシビション・マッチを予定している。
選手達はこれまでも、シーズンとシーズンの間により多くの休暇が持て、体の回復にも繋がるようなオフシーズンを持てるように戦って来た。その結果、男子ツアーも女子ツアーも公式では1ヶ月以上のオフシーズンが持てるようになった。そのため、IPTLに参加するスター選手達のスケジュールと疲労度合いを問う意見が増えていた。
33歳のフェデラーは先週末、自身初となるデビスカップの優勝を果たした。17回のグランドスラム優勝を誇るフェデラーは、2015年は1月5日から始まるブリスベン国際男子大会からシーズンをスタートさせる。
ATP会長のクリス・カーモード氏は先月、IPTLについては「単に数あるエキシビションの1つ」としながら「何も問題はない。選手達がオフシーズンに何をしようとATPには関係のない事。ツアーの長さに対してクレームしながらも、シーズンが幕を閉じたらあちこちのエキシビションへと飛び回ろうがね。」と上海での会見で語っていた。
IPTLはインド発祥の都市を基盤としたチーム対抗戦。インドはこれまでもクリケットのトゥエンティ20と称するエキシビションを大成功させており、それに次いでテニスのエキシビションへと広がりを見せている。
インドにはサッカー・リーグもあり、それにはニコラ・アネルカやアレッサンドロ・デル・ピエロ、ロベール・ピレス、ルイス・ガルシアなども参加しており、それに似たリーグがホッケーやカバディにも存在する。
IPTLへ参加する主な選手達は以下の通り。
マニラ・マーヴェリックス
A・マレー(英国)、
JW・ツォンガ(フランス)、
M・シャラポワ(ロシア)、
C・モヤ(スペイン)シンガポール・スラマーズ
S・ウィリアムズ、
T・ベルディヒ(チェコ共和国)、L・ヒューイット、
P・ラフター(オーストラリア)インディアン・エースズ
R・フェデラー、
A・イバノビッチ(セルビア)、P・サンプラス、
S・ミルザ(インド)UAEロイヤルズ
N・ジョコビッチ、M・チリッチ、
C・ウォズニアキ(デンマーク)、
G・イバニセビッチ(クロアチア)
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