男子テニスのBNPパリバ・マスターズ(フランス/パリ、ハード)は28日、シングルス1回戦が行われ、禁止薬物反応から出場停止処分を受けていた元世界ランク9位の
M・チリッチ(クロアチア)が約4カ月ぶりに公式戦に登場し、予選勝者の
I・セイスリン(オランダ)を5-7, 6-1, 6-4の逆転で下し、2回戦進出を決めた。
5月に受けたドーピング検査の結果、禁止薬物反応が出て9カ月の出場停止処分を受けていたチリッチは、スポーツ調停裁判所への異議申し立てが受け入れられ、4カ月に減刑されて今大会から公式戦に出場する事が許されていた。
「まるで初めてテニスをする子供のような気分だった。コートに戻って、戦ったのは信じられないような気持ちだったし、どの瞬間もエンジョイしていた。ウィンブルドン後は全く試合をしていなかった事を考えたら、今日の試合には満足している。こうして、また勝利を味わえて最高の気分。」と、25歳のチリッチは感無量の様子だった。
故意に禁止薬物を摂取したのではないという事が認められたチリッチだったが、出場停止処分を受けた事は、自身の人生で最も辛い経験だったと言う。
「テニス選手として、この経験は最悪の時間だったと言わざるを得ない。もう6・7年ツアーにいて、他の選手達と同じように出来る限り注意を払って、正直にフェアでいた。」
「それが突然検査で陽性反応が出たと言われた状況に陥ってしまった。同時にメディアがそれを書き立てて、本当に辛い状態だった。周りからはドーピング選手扱いされ、嘘つき呼ばわりもされた。」
「騙してなんかいないし、誰の賞金だって奪っていないし、あの大会では誰にも勝っていない。裁判所に行って尋問されるのだって面白いものではないし、誰にもオススメはしない。だって、本当に本当にストレスを感じるし、大きな傷を負ってしまうものだから。」
チリッチは、2回戦で第4シードの
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)と対戦する。デル=ポトロは先週行われたスイス・インドアの決勝戦で
R・フェデラー(スイス)を破り大会2連覇を達成して今大会へ乗り込んでいる。
この日行われた試合結果は以下の通り。
○
L・ロソル(チェコ共和国) vs. ●
J・シャーディ(フランス), 6-3, 6-4
○
S・ヒラルド(コロンビア) vs. ●
A・マンナリノ(フランス), 6-3, 2-6, 6-4
○R・ハース vs. ●
D・イストミン(ウズベキスタン), 7-6, 6-3
●
B・トミック(オーストラリア) vs. ○
F・ロペス(スペイン), 4-6, 7-6, 6-7
●I・セイスリン vs. ○M・チリッチ, 7-5, 1-6, 4-6
●
E・ガルビス(ラトビア) vs. ○
F・ベルダスコ(スペイン), 6-7, 6-7
●
A・セッピ(イタリア) vs. ○
P・コールシュライバー(ドイツ), 3-6, 6-3, 4-6
○
錦織圭(日本) vs. ●
J・ベネトー(フランス), 6-4, 6-2
○
PH・ハーバート(フランス) vs. ●
B・ペール(フランス), 6-2, 6-2
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