世界のニュースをリードするCNNが、男子テニスで世界ランク11位の
錦織圭(日本)に独占インタビューを行った。以下は、CNNによるものである。
錦織にとって、かつての目標は「プロジェクト45」だったが、今は「プロジェクト10」へと変わった。
プロジェクト45とは、男子テニスの世界ランキングでこれまで日本人最高だった
松岡修造(日本)氏の46位を追い抜くこと。錦織は2011年10月に世界47位から30位になり、この目標を達成した。
その後も錦織は
N・ジョコビッチ(セルビア)や
R・フェデラー(スイス)のトップ選手を倒すなど快進撃を続け、現在は自己最高の世界ランク11位となった。
一方で順位が上がれば上がるほど、日本における錦織人気はロックスター並みに押し上げられ、日本人初の4大大会優勝を期待する声も聞かれるようになった。
「(世間からの期待を)あまり考えすぎないようにしている。考えはじめるとプレッシャーになってしまうから。」と、錦織はCNNに語った。
「自分のチームや自分の国、自分のファンとかいろいろなことからプレッシャーを感じることがある。でもそれをうまくコントロールしなくてはならない。次の目標は4大大会で勝つこと。いつか実現出来れば。」
錦織は13歳で日本を離れ、米フロリダ州のニック・ボロテリー・テニスアカデミーに留学。初めは英語も上手く話せなかったが、渡米から5年を経ずしてデルレイビーチ国際テニス選手権でツアー初優勝を果たした。
A・アガシ(アメリカ)や
M・セレス(アメリカ)、ウィリアムズ姉妹(
S・ウィリアムズ(アメリカ)と
V・ウィリアムズ(アメリカ))の師としても知られるボロテリー氏は錦織を「ショットの名手」と評する。ボロテリー氏はCNNに対し「調子さえ良ければ、錦織は世界中の誰にでも勝てる力をもっている。」と語った。
昨年、錦織は日本人選手として80年ぶりに全豪オープンのベスト8に進出。約40年の歴史を持つ楽天ジャパンオープンでは日本人選手として初めての優勝を遂げた。
今年の全仏オープンでは日本人選手として1938年以来初となる4回戦進出を決めた。だが優勝した
R・ナダル(スペイン)に敗北を喫した。
「トップ10の選手とやるのは楽しい。」と錦織は言う。
「ロジャー(フェデラー)は今年、ジョコビッチは2年前に倒した。テニスをやっているのはトップ10の選手と対戦して倒すためだ。」
錦織は「まだナダルや
A・マレー(英国)には勝てていない。」とし、こうした選手と対戦して勝利出来るようになるには、まだまだ苦労があるだろうと言う。
今年5月のムチュア・マドリッド・オープン男子3回戦でフェデラーを破った。それでも錦織にとってフェデラーは今もあこがれの対象だ。
「ヒーローが2人いる。1人目は松岡修造さん。(日本人選手として成功した)最初の人物であり、日本で最高のテニス選手だった。そしてフェデラー。今でも彼がプレーするのを見るのが大好きだし、テニス史における真のチャンピオンだと思う。」
世界ランキング上位につける唯一の日本人選手である以上、母国でのスター扱いからは逃れられない。マレーが英国の希望を両肩に背負っているのと同じだが、人口比で言えばその2倍の期待が錦織にはかかっていることになる。
「リラックス出来なかったり、つらかったりすることもある。でも同時に、その時間を楽しもうともしている。そういう風に感じられる人は多くはないだろう。日本に滞在するのは好きだし、帰国を本当に楽しんでいる。」
テニスがもたらした重圧をものともしない錦織。彼は今も、自分が好きなことをひたすら続けている島根出身の少年なのだ。
「自分にとって常にテニスは趣味だった。運がいい。時にはテニスのせいでおかしくなりそうになることもあるけれど大好きだ。(好きなことを)自分の仕事に出来る人間はそう多くない。」
「この瞬間、この生活を楽しみたい。(現役生活は)10~20年間くらいでそんなに長いわけではないから、頑張ろうと思う。」と錦織は語った。
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