以前、男子テニスで世界ランク3位の
D・フェレール(スペイン)と同4位の
R・ナダル(スペイン)は「錦織の世界トップ10入りは間近だ。」と、話していた。現在は7月29日からのシティ・オープン男子に向けて調整中の
錦織圭(日本)。これまで、そして今年、錦織が活躍した結果を見ると、誰もが世界トップ10入りに期待をしてしまう。
【「鉄壁フェレール」が錦織を認める】2013年シーズン最初のグランドスラムである全豪オープン、錦織は2年連続となるベスト8進出を狙い、4回戦で鉄壁守備のフェレールと対戦した。失うものがないという気持ちからか、錦織は試合開始から果敢に攻め続けた。しかし、30代に入りテニスのレベルがますます上がるフェレールに完敗を喫し、4回戦敗退に終わった。
その後のアメリカ国際インドアテニス選手権では、1セットも落とさずに今季初優勝すると同時に、自身3度目となるタイトルを獲得。
しかし、3月に行われたソニー・オープン男子で、錦織は大会初のベスト16進出を果たすも、4回戦で全豪オープンに続きまたもフェレールにストレートで敗れてしまう。
試合前から錦織を警戒していたフェレールは、試合後このように語っていた。
「錦織は、良いプレーをしていた。彼(錦織)は素晴らしい選手だし、まだ若い。将来はトップ10入りするだろうし、それに値するテニスを持っている。」
【日本が大注目、錦織が快挙成し遂げる】その後はクレーコートシーズンに入り、5月に行われたムチュア・マドリッド・オープン男子で、錦織は快挙を成し遂げる。それは、元世界ランク1位でグランドスラム最多17度の優勝を誇る
R・フェデラー(スイス)に勝利する大金星を飾った。
当時、錦織は「テニスをする上で、彼(フェデラー)を倒す事が夢の1つでした。いつまでも彼が僕の目標である事は変わりはないです。」と、話した。
敗れたフェデラーは「圭は勝者に値するよ。自分より良いプレーをしていたし、より良いプレーをした選手が勝者になる。それは確かな事。」と、落胆していた。
【大一番、クレーキングに堂々とした戦い】クレーコートの頂上決戦である全仏オープン、錦織は自身初のベスト16進出を果たすと同時に、日本男子として1938年の中野文照以来75年ぶりの4回戦進出を果たした。
4回戦で待っていたのは、全仏オープンでわずか1敗しかしておらず、ローランギャロスで圧倒的な強さを誇るナダルだった。
第1セット、錦織はナダルと互角のラリー戦を繰り広げ、ブレークチャンスを握る。しかし、ピンチの場面で一層集中力が増したナダルにサービスでしのがれたのに加えリードを許してしまい、このセットを落としてしまう。
以降はナダルに試合の主導権を握られた錦織はストレートで敗れ、ナダルとの対戦成績を0勝5敗とした。
試合後、ナダルは「才能に溢れた素晴らしい選手。優れた選手に必要な条件を全て満たしているから、トップ10入りはすぐに叶うだろうね。」と、錦織の強さを実感していた。
【18年ぶり日本人男子8強入りの壁】全仏オープンを終えた錦織は、ウィンブルドンに向けて芝コートでフェデラーや
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)のトップ10プレーヤーと調整を行った。
迎えたウィンブルドン、順当に1・2回戦をストレートで勝利し、2年連続の3回戦進出を果たす。3回戦では
A・セッピ(イタリア)と対戦、錦織はセットカウント2-1とリードし、勝利まであと1セットと迫った。
しかし、ペースが乱れないセッピに試合の主導権を与えてしまった錦織は、3時間4分の末に敗れてしまうと同時に、
松岡修造(日本)以来18年ぶりとなる日本人男子8強入りの壁を超える事が出来なかった。
【求められる「トップ10入り」】ウィンブルドン以降、拠点であるフロリダでトレーニングと練習に励んでいる錦織は、7月29日からのシティ・オープン男子に向けて調整を行っている。
シティ・オープン男子後は、ロジャーズ・カップ男子とW&Sマスターズ、さらに今季最後のグランドスラムである全米オープンに出場する。
世界トップ10入りまであと1つと迫るも、錦織本人は「全く考えてないですね。トップ10に入る事も大事ですけど、そこの位置を確立する事が第1の目標。なので、トップ10に入るよりも、そこにずっといる事が目標です。」と、以前のインタビューで答えていた。
日本のテニスファンが「錦織、世界トップ10入り」に大きな期待を寄せているのは事実。これからのハードコートシーズンで活躍出来るか、錦織は日本のテニスファンの期待に応えられるかに注目が集まる。
2007年にプロへ転向した錦織、今季これまでの戦績は24勝11敗。キャリア通算では123勝83敗。
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