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今年、男子テニスで現役引退したA・ロディック(アメリカ)。本日はコラム第1弾その3をお届けします。
新たにラリー・ステファンキをコーチに迎えたロディックは、2009年の全豪オープンで結果を残すこととなる。
ステファンキはロディックに体重を落とすことから始めさせ、テニスの戦術としては長いラリー戦からチャンスがあればネットに出る戦略を指導。これが型にはまり、久々にグランドスラムベスト4へ進出する。しかし、準決勝で待っていたのは、グランドスラム優勝を3回阻まれたR・フェデラー(スイス)だった。この対決でロディックはストレートで敗れてしまうも、ステファンキとのテニスに手応えを掴むことになる。
ステファンキと手を組んだことによりロディックのテニスに安定感が増し、同年の全仏オープンで苦手とするクレーのサーフェスながらも自己最高成績となる4回戦進出を果たす。
迎えたウィンブルドン、得意とする芝コートでロディックは準決勝でA・マレー(英国)に勝利し、3度目となる決勝へ進出する。だが、そこで待っていたのはやはりフェデラーだった。
この決勝でロディックは果敢に攻め続け、第1セットを先取する。そして、第2セットはタイブレークへ突入し、セットポイントを握る。しかし、この場面でバックハンドボレーをミスしてしまい、結局第2セットはフェデラーに奪われてしまう。
その後は互いに1セットずつ奪い合い、勝負の行方はファイナルセットへ突入。ファイナルセットは両者一歩も譲らずサービスキープを続け、緊迫した状態が続く。だが、第30ゲーム、ロディックはミスを重ねてしまい、フェデラーにマッチポイントを握られてしまう。そのポイントでロディックのフォアハンドがフレームショット、最後そのショットがアウトとなり、4時間16分の大激闘に幕が降りた。
ロディックはウィンブルドンで3度目の決勝進出を果たすも、3度目の準優勝となった。優勝カップを手にすることはできなかった悔しさをこらえきれず、涙を流してしまうほどだった。
その後は世界ランキング15位以内を保つも、2012年1月からランキングを落とし始めてしまう。
2012年のロディックは勝てない時期が続き、世界ランクは30位台まで落ち込んでいた。しかし、6月にキャリア通算600勝利を達成、さらにウィンブルドンの前哨戦であるAEGON国際男子でキャリア通算31勝目となる優勝を果たした。
その後、ロディックは全米オープンに出場し、1回戦を突破した時点で記者会見を開いた。その内容は「ロディック引退表明」だった。グランドスラム初優勝の地である全米オープンを最後に引退することとなったロディックに対し、関係者や世界のテニスファンも驚きを隠せなかった。
以降ロディックは2回戦でB・トミック(オーストラリア)、3回戦では友人でもあるF・フォニュイーニ(イタリア)を下し、ベスト16へ進出する。4回戦は強力なショットが持ち味のJ・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)と対戦。この試合、ロディックは第1セットを先取し、地元アメリカのテニスファンを盛り上げる。だが、デル=ポトロも一歩も譲らない戦いを展開し、最後ロディックのフォアハンドがアウトし、現役生活に幕を閉じることとなる。
最後の試合を終えたロディックはコート上でコメントを求められ、「何と言っていいのか分からないなんて、テニス人生で初めてさ。何から言おう。子供の頃からこの大会には来ていた。今日の皆がいるように、自分も観客席に座って、多くのチャンピオンが去って行くのを見る事が出来た事を幸運に感じていた。どの瞬間も最高だった。」
さらに「長い長い道のりだった。良い時もあればもちろん悪い時だってあった。同時に最高の瞬間もね。そんな中でも、ずっと支えてくれたファンからの応援にはいくら感謝しても足りない。時にはそれが簡単じゃない時だってあったはずだけど、本当に感謝しているし、そんなファンを心から愛している。またいつかこの場所に戻って来て、皆さんと再会したい。」
フェデラー全盛期の最大の被害者と言われたロディック。対戦成績は3勝21敗と負け越した結果となった。これに対しロディックは「(フェデラーと)比較してくれて嬉しいけど、自分がどう感じるかが重要。」と、コメントしている。
やんちゃなイメージが強かったロディック。最後、引退時は「大人のロディック」に見えた方も多いのではないだろうか。
【アンディ・ロディック】
プロ転向:2000年
キャリア通算成績:612勝213敗
グランドスラムタイトル:2003年 全米オープン
自己最高ランク:1位(2003年)
《「ロディック、ギルバートと手を組み栄冠◇第1弾 2012引退シリーズ その1」はこちら》
《「ロディックに「フェデラー」という壁が立ちはだかる◇第1弾 2012引退シリーズ その2」はこちら》
【明日12月1日(土)はJ・C・フェレーロ(スペイン)引退について】
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