女子テニスで元世界ランク4位の
伊達公子は12日から14日に新潟県のヨネックス パフォーマンス イノベーションセンターで「リポビタン Presents 伊達公子×YONEX PROJECT ~Go for the GRAND SLAM~」の4期生の第4回キャンプを開催した。
このプロジェクトは伊達とヨネックスが生涯契約を締結したことを契機に「日本の女子テニスを強くする」という目的のもと2019年4月に開始した。
書類選考とオーディションでジュニアを選抜し、2年間で計8回の強化キャンプを実施。さらに、ジュニアの国際大会に出場して実戦経験を積み、グランドスラムジュニア出場を目指す。
12歳から15歳を対象とする応募の中から書類審査を通過した選手に対して試合形式によるオーディションを実施し、実技とフィジカルチェック、スピーチを行い、4期生には吉川汐里、浦田夏帆、宮本珠莉愛、小菅空、梅田巴花、石田友羅、色川渚月、鈴木美波の8名が選抜された。
キャンプで伊達はtennis365.netのインタビューに応じ、この取り組みの目的を説明した。
「引退を決めた時にテニス界とは関わりを持っていたいという思いの中で、自分が何をやりたいのかと思った時に、やっぱり最初に出てきたのが女子テニス界を強くしていくということでした」
「自分が選手だった時は選手の立場で強くしていくということがありましたが、引退すると誰かに託していかなくてはいけないので、育成の年齢層を対象にして女子のテニスを強くしていきたいというところで立ち上げたのがこのプロジェクトになります」
同プロジェクトの卒業生である19歳で現在世界ランク223位の
木下晴結が今年のウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)予選に出場し予選1回戦で白星を挙げるなど、プロジェクトからは着実に成果も出始めているが、伊達は手応えと課題をいずれも感じているという。
「フルで毎日選手と向き合えるわけではないので、もどかしさというのはあります。ホームコーチがいる中でどうやってオーディションで選んだジュニアたちと向き合って、何をやっていくことが彼女たちのプラスになっていくのかというところはずっと模索しながらやっています」
「ただ、年々私たちにもノウハウはついてきていて、グランドスラムにどうやって辿り着けるのかというところもより明確に見えてきました。そのあたりは十分手応えも強くなっています。より計画的に遠征を組んだりとか、スケジュールの提出をさせて、ゴールから逆算していくような形をとっていくことによって、より近づいていけるというところは手応えと言えると思っています」
伊達が思い描くのは日本女子テニス界のさらなる発展だが、現在の状況はどう見ているのだろうか。現在は四大大会で4勝を挙げ世界ランク1位まで上り詰めた
大坂なおみが出産から復帰し世界ランク13位で日本勢トップを走っているが、最新の世界ランキングでは日本勢2番手以降は世界ランク100位以下となっている。
「(日本女子テニス界の現状は)正直ちょっと厳しいのかなというのは感じています。大坂選手がいい形でランキングも戻してきていますが、そこに次ぐ選手が育っていないというのは隠しようのない事実としてあります」
「じゃあ今すぐそこに辿り着ける選手がいるかというと、それも勢いは感じられないのかなというのが私の印象ではあります。当然ですが、選手1人1人はみんな頑張っていて、やるべきことはやっていて、目標を高く持っています。その中で、目標を達成するために良いエネルギーを使えているか、その目標を明確に置けているのかというところがちょっと薄れていると思います」
「私が現役だった時代には私という存在がいて(日本の女子は)目指すところが明確にありました。そこが今は大坂なおみという存在になっていますが、他の選手たちにとっては、あの人たちは違う、大坂なおみは違うというふうになってしまっています。明確なターゲットにできていないことが1つの要因になっていると思います」
さらに伊達は今後の日本女子テニス界がより発展していくためには、大会のスケジュールを考え直す必要があると私見を述べた。
「特に女子の場合は大会の数で言ったら日本も十分ありますが、大会数がある中で必要な時期に必要な大会があるかを考えた方がいいと思います」
「現状は選手たちが必要なタイミングで必要なグレードの大会がなくて、ただ主催者側の思いでカレンダーの空いているところに入れざるを得なくなっています。情熱を持っている人たちが大会を作っても、ここしかないからということだと、選手の思いとギャップができてしまいます」
「伸び盛りの選手が勢いをつけて試合をうまく利用してランクアップできるか、そこが(強豪の)チェコや中国と大きく違うんじゃないかと感じています。もちろん全員の希望は叶えられませんが、もう一度強い日本テニスを作るためには、日本のカレンダーをちゃぶ台をひっくり返して真っ白にして考えてみる必要があると思います」
「そうしないと以前のように日本テニスがまた落ちる時がこれから訪れるんじゃないかという危機感があります。その中で何か思い切ったことに取り組まないと、低迷の時間が長くなるのではないかなという気がします」
このような危機感を持ちながら伊達は次世代の育成に取り組んでいるが、最後にジュニア選手たちがプロとなり活躍するために必要なことは何か聞いた。
「究極は情熱を持ち続けられるかだと思います。やっぱり良いことだけではない中で、苦しいことや上手くいかないことに耐える気持ちを持ちつつ、情熱が上回るような気持ちの強さが必要だと思います」
「当然これだけパワーテニスになってきている中で、そこに負けないフィジカルの強さも当然必要ですが、それ以上にそこの気持ちとのバランスが取れるか、そこがネガティブ思考だとやっぱりしんどくなっていきます」
「だからどんなに負け続けても、どんなに怪我が続いても、どんなに上手くいかなくても、ポジティブでそこに耐えられる心を持っていれば生き残っていけるんじゃないかなと思っています」
世界のトップで戦ってきた経験を、今後も伊達は次世代に紡いでいく。

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