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王者フェデラーが負傷を乗り越えてベスト8入り◇ウィンブルドン

テニスのグランドスラムであるウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝)は大会7日目の2日、男子シングルス4回戦3試合が行われ、第3シードのR・フェデラー(スイス)X・マリス(ベルギー)に7-6 (7-1), 6-1, 4-6, 6-3で勝利、グランドスラム33大会連続となるベスト8進出を果たした。

第1セット第7ゲーム終了後のチェンジオーバーの際、ざわついていた客席が主審の一言で沈黙に包まれることとなった。「フェデラーがコートの外でメディカルタイムアウトをとります。」

2000年の全豪オープンから1大会も欠かすことなくグランドスラムに連続出場を果たしているフェデラーにとって、怪我などの問題は非常に珍しいことだが、この日は腰に問題を抱えていた。

およそ8分後に試合は再開、明らかに普段とは様子の違うフェデラーであったが、ツアー屈指の技術を駆使してポイントを重ね、2時間11分で勝利を収めた。

水曜日に予定されている準々決勝では、フェデラーはM・ヨージニ(ロシア)と対戦する。第26シードのヨージニは、D・イストミン(ウズベキスタン)を6-3, 5-7, 6-4, 6-7 (5-7), 7-5のフルセットで振り切り、自身初となるベスト8進出を果たしている。

これまでヨージニに対し13勝0敗という戦績を残しているフェデラーは「お互いに何をしてくるかは分かっています。回復して、良い試合ができるといいね。」と、準々決勝への抱負を述べている。

フェデラーによると、試合序盤から腰に異常を感じていたとのこと。その原因として、気温が低かったこと、3回戦でJ・ベネトー(フランス)とフルセットの試合をこなしていたことなど、いくつかの要因が合わさっているとしている。

試合終了から1時間後、フェデラーはもう回復に向かっていると語っている。「正直に言うと、そんなに心配していません。この数年、腰に問題はありました。すぐに良くなりますが、今は注意しなければなりません。良い睡眠をとれば、水曜日には100%になっているでしょう。そのことを信じきっていますし、そうでなければ、今日は別の形で試合を終えていたでしょう。」

グランドスラム51大会に連続出場とコンディション調整に定評のあるフェデラーが、コートにトレーナーを呼ぶこと自体が珍しいこととされているが、第1セット途中でトレーナーを呼ぶと、少しの会話ののちにコートを離れた。

「第1セットの始まりから腰に異常を感じていました。」とフェデラー。「トレーナーを要求して、そのことを話しました。そして、中で治療を受けることを決めたのです。」

コートに戻ってきたフェデラーは歓声で迎えられ、待っていたマリスに対しては手を挙げて謝罪の意を表した。そしてフェデラーは、心配するファンの不安を、第1セットを先取することで吹き飛ばした。

第11ゲームでマリスにブレークされたフェデラーは、続く第12ゲーム、バックハンドの強打、フォアハンドのクロスコートへのウィナー、そしてバックハンドのウィナーでブレークバックのチャンスを迎えると、最後はバックハンドのボレーを決めて、タイブレークに持ち込んだ。

そのタイブレークでは1-1からフェデラーが一気に6ポイントを連取、セットポイントでフェデラーがドロップショットを仕掛けると、マリスは芝に足を滑らせてしまった。

第2セットをあっさりと奪い、2セットアップとリードを広げたフェデラーに対し、マリスは第3セットを奪い返すと、第4セットでも2-0とリードを奪う。しかし、ここからフェデラーが5ゲームを連取していた。

第4セット第9ゲーム、立て続けにサービスウィナーを決めたフェデラーがマッチポイントを迎えると、最後はこの日の最速に並ぶ時速196kmのサービスエースを決めてゲームセット。ジュニア時代から親交のあるフェデラーとマリスは、ネット際で握手を交わし、健闘を称えあった。

フェデラーは準々決勝で対戦するヨージニとも長い付き合いがあり、両者の初対戦は2000年までさかのぼる。これまでの対戦で32セットをこなしている両者だが、そのうちの3セットしかヨージニは獲得していない。

フェデラーとヨージニは30歳、マリスは31歳。さらに他にもM・フィッシュ(アメリカ)D・フェレール(スペイン)が30代にも関わらず4回戦に進出している。30歳以上の選手がグランドスラムの4回戦に勝ち残っているのは、これは1983年以来のこと。

「強い世代です。」とフェデラー。「唯一の勝ち残りじゃなくて良かったよ。」

残る試合では、第1シードのN・ジョコビッチ(セルビア)が同胞のV・トロイキ(セルビア)に6-3, 6-1, 6-3で快勝、準々決勝に駒を進めている。

これまでの数年間、フェデラーと何度となく対戦してきたジョコビッチは「彼は今、30歳です。しかも、彼はナンバー1になることを諦めていません。なぜ彼が世界最高の選手なのか証明し続けています。今日やJ・ベネトーなどに苦戦を強いられたときでも、必要なときにプレーのレベルを上げています。」と、手放しで称賛している。

(2012年7月3日7時32分)

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