全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)の男子シングルスを制し、自身3度目の四大大会優勝を飾った
S・ワウリンカ(スイス)は、男子テニス界を牽引しているビッグ4に自分は値しないとの気持ちを明かしていた。
数年前は
R・フェデラー(スイス)と
R・ナダル(スペイン)が男子テニスの頂点を争い合っており、そこに
N・ジョコビッチ(セルビア)が加わりビッグ3が形成され、これまでの47回のグランドスラムでこの3人が39回の優勝を飾っていた。
そして数年前からそこに、今年のウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)で四大大会3度目の優勝を飾った
A・マレー(英国)が加わりビッグ4と呼ばれている。
ワウリンカは今年の全米オープンの優勝を含め、これまでの四大大会決勝戦では全て世界ランク1位の選手を下して優勝しており、今回の優勝でマレーと並ぶ四大大会3度目の優勝を飾った事で、そのエリートの仲間入りを果たせるかに話題が集まっている。
それに断固「ノー」と語る一人がいる。それは、何を隠そうワウリンカ本人。
「まず、彼等の中に自分を含めるのはフェアじゃない。彼等はもうその地位に10年以上もいる。彼等はこれまで数々の大会で優勝している。だから、フェアじゃないと思っている。」とワウリンカは、12日に全米オープン会場で開かれた会見で語っていた。
続けて「ビッグ4はビッグ4のまま。自分は自分。」と笑顔で答えていた。
現在ワウリンカは、ジョコビッチ、マレーに次いで世界ランク3位にいる。怪我でランキングを下げているナダルやフェデラーより上に位置している。
ワウリンカは全米オープンの優勝を飾った事で、まだ優勝していないウィンブルドンを制するとテニス史上9人目となる生涯グランドスラムを達成する。
しかし実際、ワウリンカが他の選手と大きく違う点もある。
グランドスラムの決勝戦を除くと世界ランク1位の選手との対戦は0勝19敗と1度も勝てていない。もう1つは、マスターズ大会でもわずか1度しか優勝がない。2009年以降、ジョコビッチは26度、ナダルは16度、フェデラーとマレーはいずれも10度の優勝を飾っている。
ワウリンカ自身も、それがビッグ4と肩を並べられない大きな理由だと語っている。そして、シーズンを通して、もっと安定した成績を残したいと願っており、そうする事でマスターズ大会などでもより良い結果が残せると信じている。
テニス界のレジェンドである
R・レーバー(オーストラリア)も、マスターズ大会などでの活躍で、ビッグ4に並べる事を証明しなければならないと12日に述べていた。
日曜日の男子シングルス決勝戦をスタンドから観戦していたレーバーは「彼(ワウリンカ)のテニスは確かに向上している。かつての彼のフォアハンドはまずまずだったが、今では武器になっている。そしてあのバックハンドは相変わらずの武器。その威力に衰えがないのは素晴らしい事。厳しい状況でも、ウィナーを狙いに行っている。ブレークピンチに立たされた時にミスヒットするかもしれないと思っていた。しかしそれは1度もなかった。」
ワウリンカは12日の会見の席で、決勝戦前にジョコビッチを倒せると自覚をしており、コーチである
M・ノーマン(スウェーデン)にこう話したと明かした。
「試合直前に話をしていた時、今回はより彼(ジョコビッチ)を倒せる自信があると感じていると伝えていた。彼より良いプレーが出来ると感じていると。そんなことを試合や大会前に感じたのは初めてだった。それが良いプレーが出来た理由の1つかもしれない。」
31歳のワウリンカは、1970年以降最年長のチャンピオンで、オープン化以降30歳を過ぎてから複数回のグランドスラム優勝を飾ったわずか5人目の選手となった。
ワウリンカのかつての目標は、「いつか全仏オープンに出場したい」だったが、今ではそこで優勝するにまで至った。
ビッグ4とかビッグ5とかは、彼には関係のない事。
「ビッグ4に入れるかなどの話を続けたくはない。なぜなら、ビッグ4はビッグ4のまま。それはテニス史の一部であって、これからもそのままだし、それは素晴らしい事。」とシルバーに輝くトロフィーを前にワウリンカは断言していた。
(STATS - AP)
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