テニスのグランドスラムである全豪オープン(オーストラリア/ メルボルン、ハード)は31日に男子シングルス決勝戦が行われ、第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)の前に1-6, 5-7, 6-7 (3-7)のストレートで敗れ、またしても準優勝に終わった第2シードの
A・マレー(英国)は、イギリスで第一子の出産を控えて待つ妻の元へ早々に旅立っていった。
>>全豪オープン対戦表<<マレーは試合後の記者会見にもすぐに姿を現し、簡潔に8つの質問に答えると足早に部屋を出ていき、約1時間半後に出発する飛行機に乗るために空港へと向かった。
「今日の結果に関わらず、この2週間は厳しいものだった。今はただ母国へ帰りたい。」と、マレーは素直な気持ちを語っていた。
これまでも、マレーはグランドスラムで厳しい状況を何度も経験してきた。しかし、今回の全豪オープンはより厳しい状況だったに違いない。
マレーの妻であるキム・シアーズは、2月上旬に第一子を出産する予定となっている。そのためマレーは大会開始前に、大会期間中であれ出産が始まったら、棄権をしてでもイギリスへ帰る気持ちでいることを明かしていた。例えそれが決勝戦であってもだ。
そんな中、マレーは順当に決勝の舞台へ勝ち上がってきたが、コートにいても妻の出産のことが頭から離れることはないと認めていた。マレーは毎日のように、念のためメルボルンからイギリスへのフライトの予約を入れていたほど。
この日の決勝戦では、第1セットはジョコビッチに圧倒されていたマレー。わずか30分でそのセットをジョコビッチに先取されてしまった。そして試合を通して、ラインパーソンのコールや観客席からのフラッシュ、そして自身のミスなどに対して、明らかなイライラを募らせていた。
「ここまでの数試合でも、出だしはあなり良くないものがあった。彼(ジョコビッチ)のプレーも良かったし、それは認めざるを得ない。しかし、彼のような選手相手にあんな試合のスタートをしては明らかに良くなかった。」と、試合を振り返った。
妻の出産が気掛かりながら大会へ臨んでいたマレーに、更なる不安要素が飛び込んできた。それは
J・ソウサ(ポルトガル)との3回戦を行っていた時だった。同時にロッド・レーバー・アリーナで行われていた
A・イバノビッチ(セルビア)の試合に彼女のコーチをしていたマレーの妻の父であるN・シアーズが観戦中に倒れ病院へ搬送されるアクシデントに見舞われた。
すぐに回復したマレーの義父は、家族が待つイギリスへと帰っていった。しかしそんなアクシデントもマレーを動揺させる要因となっていた。マレーはその時、もし義父の状態が危険なものだったら、すぐに大会を棄権する覚悟も出来ていたと心境を明かしていた。
「あれは難しいものだった。あんな状況に陥ったことはなかったし、この大会を去るかもしれないと思っていた。」とその時の気持ちを語っていた。
そんな中でも順当な勝ち上がりを見せていたマレーは、宿敵といえるジョコビッチが待つ決勝戦を迎えた。全豪オープンの決勝でマレーが敗れた5度のうち、4度が世界ランク1位のジョコビッチからとなった。
マレーはまた優勝トロフィーを掴むことなくメルボルンを去ることになった。しかしマレーは母国へ帰り、トロフィーよりも大きな宝物を手にすることになるだろう。
マレーは妻に対して「この2週間、君は偉大なる存在だった。ここまでの応援、本当に感謝している。すぐに飛行機で家へ帰るよ。」とメッセージを送っていた。
(STATS - AP)
■関連ニュース■
・涙マレー初V逃す 妻の出産へ・ジョコ 観客から指摘される・マレー ジョコ戦チャンスあり