オーストラリア男子テニス界はメジャー・チャンピオンが現れない中、不名誉な出来事から注目を集めている。先月行われたウィンブルドンでの
N・キリオス(オーストラリア)の行動に批判が集まっていたが、12日のロジャーズ・カップ2回戦でも対戦相手の
S・ワウリンカ(スイス)へ暴言を吐いたとして罰金が科された。
キリオスはウィンブルドンの4回戦で
R・ガスケ(フランス)に敗退した試合で、主審と口論になったり、大声で叫んだりラケットを叩き割ったり、やる気のないプレーをしたことなどに対して1万ドル(約124万円)の罰金が科されると同時に、祖国オーストラリアのかつての偉大なスポーツ選手からも批難を浴びていた。
そしてまた今回も、今年の全仏オープンで自身2度目のグランドスラム優勝を果たしたワウリンカに不当な発言をしたとして、20歳のキリオスはまたしてもメディアの注目を集める渦中に戻ってしまった。
試合翌日の木曜日にワウリンカは、キリオスの今回の「受け入れがたいだけではなく、信じがたい」発言に対して男子プロテニス協会であるATPに何らかの行動を迅速にとってもらいたいと語っていた。
その後ATPは、キリオスに“侮辱的言動”があったとして罰金を科す決断を下した。協会は詳しい金額は明かしてはいないが、出された声明文によると更なる詳細はキリオスに告知してから発表すると記されていた。
コートサイドに設置されたマイクが、キリオスの発言を拾っていた。キリオスは同胞の
T・コキナキス(オーストラリア)がワウリンカのガールフレンドと言われている女子選手と関係を持ったとワウリンカに告げていた。
ワウリンカは「こんな言動はコートの上でも外でも必要のないもの。ATPはこんなことを許すようなことがあってはならない。」と自身のツイッターでつぶやいていた。
ワウリンカは第3セット途中で腰の怪我を理由に棄権を申し入れた。そのためキリオスは不戦勝で3回戦進出を決めたが、後に自身のフェイスブックで謝罪していた。
しかしキリオスは、試合直後に受けたオンコート・インタビューでワウリンカから挑発的な行動があったと主張していた。
「彼(ワウリンカ)が自分に対して段々むかつくようなことを言ってきたから、自分でも分からないけどとっさに出てしまったものだった。本当に分からないが、ただ言ってしまったんだ。」と語っていた。
オーストラリアのかつての偉大な水泳選手だったD・フレイザーは、ウィンブルドンでのキリオスの行動を受けて、地元オーストラリアの朝のテレビ番組で「彼はこの我々の偉大なる国の若者に対して、より良いお手本になるべきだ」と語っていた。
その後フレイザーは「もしそれが嫌なら、両親が生まれた国へ帰るべきだ」と発言し、それはソーシャル・メディアで反感を買ってしまい、77歳のフレイザーは後に謝罪するコメントを出していた。キリオスはオーストラリアの首都であるキャンベラで生まれた。彼の父親はギリシャ生まれで、彼の母親はマレーシアの出身である。
R・レーバー(オーストラリア)は、キリオスの今回の行いについてレーバーが選手として達成した偉業にさえ汚名を着せるものになってしまうと発言していた。
「ニック(キリオス)はまだ若い。時には自分が何を行っているか分からない時もあるのだろう。試合中に感情的になってしまう。そんな所はこれから成長させなければならないことだし、それもなるべく早くだ。暴言を吐いたことは何の言い訳にもならない。それは単に悪い行動であり、醜いものなんだ。」とレーバーは気持ちを表していた。
明らかにキリオスは、そんな助言をすぐに聞き入れてはいないようだった。今回の出来事は、これまでも悪評が高くメディアの話題になっていた同胞の
B・トミック(オーストラリア)の影が薄れてしまうほどの事件となっている。
両者はウィンブルドン期間中にメディアから取り上げられるような批難される言動があった。22歳のトミックは試合後の会見で、今ではオーストラリア・テニス協会の役員である
P・ラフター(オーストラリア)に向けて攻撃的な発言をしていた。
トミックはラフターが出していたトミックに対して批判的なコメントに対して反論する発言をしており、そのことでウィンブルドン直後にオーストラリアのダーウィンで行われた男子国別対抗戦デビスカップの準々決勝で、メンバーから外されていた。
そのデビスカップ準々決勝と重なる時期に、トミックは滞在していたアメリカのフロリダ州マイアミ・ビーチのホテルで、公務執行妨害と不法滞在で警察に拘束される事件を起こしていた。
マイアミのホテルで、他の宿泊客から大音量での音楽がうるさいとクレームが入ったが、警備員からの警告を何度も無視したことから、警察に通報されてしまった。マイアミ警察が報告したところによると、トミックは警備員に対して攻撃的に指を突き立て警告を拒否し大音量を続けていたという。
ラフターはこのマイアミでの事件を受けて、オーストラリアのメディアに向けてトミックが“ドン底”まで落ちたと感じていると語っていた。
2013年、オーストラリアはブリスベンでスピード違反からトミックは運転免許を取り上げられていた。そして1年前には、ゴールドコーストのアパートのスパで、友人らと激しい乱闘騒ぎを起こし警察から捜査を受ける身となっていた。
トミックの父親でコーチでもあるジョン・トミックは、当時トミックのヒッティング・パートナーだったT・ドロウへの暴行の罪で8ヶ月の執行猶予処分を受け、ATPからは2013年9月から1年間ATPツアーから出入り禁止処分を下されていた。
役員や主催者、ファンなどと何度かのもめ事を起こしてから成長したと言われている
L・ヒューイット(オーストラリア)は、オーストラリア男子選手として最後にグランドスラム優勝を飾った選手。2002年のウィンブルドンの決勝戦で
D・ナルバンディアン(アルゼンチン)を下しての優勝が最後となっている。
(STATS - AP)
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