男子テニスの国別対抗戦であるデビスカップ準々決勝のオーストラリア対カザフスタン戦で、オーストラリアが1勝2敗で迎えた最終日に
L・ヒューイット(オーストラリア)と
S・グロス(オーストラリア)がシングルスで勝利を飾り、大逆転で準決勝進出を決めた。
初日に行われたシングルスに登場した
N・キリオス(オーストラリア)と
T・コキナキス(オーストラリア)はいずれも敗退。0勝2敗といきなり崖っぷちに立たされたオーストラリアは、2日目のダブルスでヒューイット/ グロス組が勝利を飾りオーストラリアの望みを繋いでいた。
最終日のリバースシングルスでは、キリオスに代わって出場したグロスが
M・ククシュキン(カザフスタン)を6-3, 7-6 (8-6), 4-6, 7-6 (8-6)で退けて2勝2敗とすると、勝敗を決める最後のシングルスでコキナキスに代わって出場したヒューイットがA・ネドビエソッフ(カザフスタン)を7-6 (7-2), 6-2, 6-3で下した。
ヒューイットは、握ったマッチポイントでネドビエソッフのフォアハンドがアウトになるとコートに倒れ込み、初日のシングルスで敗退していたキリオスとコキナキスもコートに駆け込んでヒューイットと抱き合い勝利を喜んでいた。
「この対戦では我々にとって全てが上手くいったわけではなかった。挽回するしかなかったんだ。チームのみんなのため、そして国のために戦ったんだ。」と、来年の全豪オープンを最後に引退を表明している34歳のヒューイットは想いを語っていた。
オーストラリアは、準々決勝でフランスを下したイギリスと9月に行われる準決勝で対戦する。
オーストラリアが0勝2敗から逆転勝利を飾ったのは、1939年の決勝戦でアメリカを下して以来の勝利となった。
今回は、オーストラリアにとって悪い状況での戦いとなっていた。現在オーストラリア・ナンバー1である
B・トミック(オーストラリア)とキリオスが問題を起こしていたからだ。
最終日のシングルスでグロスにその座を明け渡した20歳のキリオスは、初日のシングルスで敗れた後のコート上で、ラケットを叩き付けたりする振る舞いに批難を浴びていた。先日のウィンブルドンでも、同じようにラケットを叩き付けたり暴言を吐き約1万ドルの罰金を課された。
世界ランク25位のトミックは、ウィンブルドン期間中にオーストラリアのテニス協会などへ批判的なコメントを試合後の記者会見で発した事で、今回のデビスカップのメンバーから外されていた。
更に状況を悪化させたのは、オーストラリアがカザフスタンとの準々決勝を戦う数日前、トミックが滞在していたアメリカのフロリダ州のホテルで騒音騒ぎを起こし、ホテルの警備員や警察の退去命令を拒否した事で軽犯罪法違反で拘束されていた。
週末のオーストラリアの新聞では、今回のオーストラリアの活躍を伝えるニュースと並んで、トミックが捕らわれた時に撮られた顔画像と共にトミック拘束のニュースが伝えられていた。
これまでも母国オーストラリアを代表して戦ってきたヒューイットは、これまでの15年に渡る代表選手としてのキャリアで、勝敗を決める最後のシングルスに登場しオーストラリアへ勝利をもたらした経験はなかった。
ヒューイットはこの5年間は度重なる怪我に泣かされていた。もしヒューイットが最終日のシングルスで敗れていたら、これが彼の最後のデビスカップ代表の試合となるかもしれなかった。しかし、勝利を飾りオーストラリアが準決勝進出を果たした事で、彼はまたオーストラリア代表として戦うチャンスを手にした事となった。
「最高の勝利もデビスカップで経験したし、最も辛い敗戦もデビスカップで経験したと言えるだろう。」と、ヒューイットはデビスカップを振り返っていた。
しばらくオーストラリアのテニス界には明るいニュースがなかったが、この勝利は久々の前向きなニュースとなった。
(STATS - AP)
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