ITF(国際テニス連盟)は、将来的に男子国別対抗戦のデビスカップの決勝戦を、どちらかの国ではなく中立な場所で行う方向で検討している事を明らかにした。
ITFのリッチ・ビッチ会長は日曜日、AP通信社の取材に答え、その考えはデビスカップでの今後の改革の1つであると語っていた。その他の1つには、長時間に及ぶ試合を避けるために第5セットでもタイブレーク制を導入しようとする計画がある。
「今後行われる決勝戦では、中立な場所で行おうという考えがある。今後も守っていきたい基本的な本質の中において、たくさんの小さな改革を考えている。」と、ビッチ会長はこのような考えを特徴付けていた。
これまでのシステムでは、前回の対戦で会場となったチームは、例え決勝戦であっても今度は相手国へ行かなければならない。
ITFが管轄するデビスカップや女子国別対抗戦であるフェドカップでのシステムについての変更は、毎年9月に行われるITFの定例会議の席で承認されなければ翌年からそのシステムを導入する事は出来ない。
第5セットでのタイブレーク制に関しては「すぐに導入される」システムであるとビッチ会長は語る。先月行われたデビスカップのアルゼンチン対ブラジルの試合で、
L・マイェール(アルゼンチン)と
J・ソウザ(ブラジル)の一戦では、第5セットで15ー13までもつれ、実に7時間に及ぶ試合となっていた。
「テニスはより激しい競技になって来ている。試合もかなり長くなっているし、時間との戦いになってはならないと信じている。」とビッチ会長は加えていた。
しかし、デビスカップを毎年開催する事や、選手の選出の権利はその国のテニス連盟が持つことなど、鍵となる基本的な決まりは変えるつもりはないとしている。
デビスカップは、その戦いへ参加を拒否するトップ選手がおり、その事で非難を浴びる事もある。去年スイスを優勝へ導いた
R・フェデラー(スイス)と
S・ワウリンカ(スイス)が今年は出場を辞退している。しかしビッチ会長はそんなトップ選手も参加してもらえるよう最善を尽くすと述べていた。
「テニスと言うスポーツはより一層厳しいものになってきている。そんな中で、連日の試合は難しくなっている。欠場する選手が出ても仕方ないと思う。難しいシステムを採用し、自国開催と相手国開催のシステムを持つ中で、90パーセントの参加率があるのは、とても満足している。」とビッチ会長は思いを語っていた。
ビッチ会長はITFが行っている反ドーピング・プログラムも支持している。去年は3,529人もの選手がその検査を受けていた。近年、ドーピング撲滅を訴える
A・マレー(英国)やフェデラーなどのトップ選手は、更なる検査を求めてもいる。
ITFが発表したデータによると、ドーピング検査などに対して154万ドル(約1億8300万円)が使われたが、その額はどのグランドスラムでのシングルス優勝賞金にも満たない。
「多額の金額を費やしたからと言って、内容が良いものとは限らない。反ドーピング・プログラムはドーピングに関して集中したものでなければならないし、テニスはスポーツ界でもドーピング違反の少ない競技の1つであると誇りに思っている。」としながらも「もう少し検査を増やしても良いかも知れない。」と加えていた。
ITFはこの8年間、検査で採取したサンプルの再検査をする権利を持っている。これはオリンピック競技となっているその他のスポーツでもドーピング違反者を見つけるために、近代テクノロジーを用いて採用されている。しかしビッチ会長はITFがそのサンプルを再び公にする権利を試行した事はないと語る。
「検査に関しては全て我々がまかなっているし、再検査をする事もできる。オリンピックのような競技に於いて、このようなシステムは価値のあるものだと信じている。なぜならオリンピックは4年に1度しか開催されないからだ。しかし我々は毎年継続的に検査を行っているし、大したことではない。」と、ドーピング・システムについてコメントしていた。
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