男子国別対抗戦であるデビスカップのワールドグループ1回戦は、8日に最終日を迎え、2勝1敗とリードしたイギリスは
A・マレー(英国)が
J・イズナー(アメリカ)とのエース対決を7-6 (7-4), 6-3, 7-6 (7-4)のストレートで制し、2年連続でアメリカを下し準々決勝進出を決めた。
これまでウィンブルドン、全米オープン、ロンドン五輪での金メダルを獲得しているマレーだが、まだデビスカップでの優勝経験はない。そんなマレーは勝った瞬間、歓喜に満ちたチームメイト達と飛び上がって喜びを表していた。
この試合、スコットランドはグラスゴーと地元で行われていたイギリスだが、7月17日から19日に予定している準々決勝もフランスを地元に招いて行われる事が決まっている。今後もマレーがイギリス・チームをリードして戦えば、この日集まった地元ファンが期待するように、イギリスのデビスカップ優勝への願いも現実になると信じ始めている。
「我々イギリス・チームは、最高のレベルで戦っている。このプレーを続けてこの一年を終えられたらと願っている。」と、金曜日に行われたシングルスで
D・ヤング(アメリカ)をセットカウント3ー1で下したマレーが気持ちを語っていた。
イギリスはこれまでデビスカップでは9回の優勝を誇るものの、最後に優勝したのは1936年にまで遡る。そして準決勝へ進出したのも1981年が最後でそれ以降は準々決勝の壁を越えられずにいる。
アメリカ監督の
J・クーリア(アメリカ)氏は、今のイギリスは優勝候補の一角に匹敵すると語る。
「アンディ(マレー)のように、素晴らしいチャンピオンをチームの一員に招いて、2勝0敗とリードすればどんなチームと対戦しても勝利を飾れるだろう。我々の時代は
Bo・ベッカー(ドイツ)が広い意味で最高のシングルス・プレーヤーとして存在しドイツを優勝へ導いていた。そして今のイギリスもこうしてアンディ・マレーがいる限り、チャンスはあるだろう。」
続いて行われたシングルスでは、ヤングとワードが対戦したが、ワードが7-5 0-1と第1セットを先取しながらも膝の違和感を訴え棄権を申し入れてヤングに勝利が転がり込んだ。結果、この対戦はイギリスが3勝2敗での勝利となった。ワードは翌週から行われるインディアンウェルズでのBNPパリバ・マスターズに出場する予定になっている。
アメリカ・チームは初日の金曜日に行われたシングルスで、世界ランク20位のイズナーが同ランク111位のワードに5時間に及ぶフルセットで敗れる波乱に見舞われ、痛い敗戦となった。
土曜日に行われたダブルスでは、
B・ブライアン(アメリカ)/
M・ブライアン(アメリカ)組が
J・マレー(英国)/ D・イングロット組をフルセットで下し、アメリカの勝利の可能性を繋いでいた。しかしこの日のイズナーは、金曜日の敗戦から肉体的にも精神的にも激しいダメージを受けながらマレーとの対戦に臨んでおり、その状況は厳し過ぎた。
ビッグサーブが武器のイズナーは、そんな中でも素晴らしいプレーを見せていたが、第1セットで握った7本のブレークポイントを1度も生かす事が出来なかった。その内3本はセットポイントでもあった。
タイブレークに持ち込まれたそのセット、最初のポイントをダブルフォルトで落としたイズナー。その後マレーは自身のサービスを全てポイントに繋げ第1セットを先取した。
生まれ故郷のグラスゴーでプレーしているマレーは、第2セットでは1度イズナーからブレークを成功させ、そのセットもマレーが奪うと、最後は握った2度目のマッチポイントで鮮やかなサービスエースで勝利を決めた。
マレーはイギリス監督のL・スミス氏と長い抱擁を交わすとチームメイトとハイタッチしながは抱き合って勝利を喜んだ。その後マレーは再びコートに戻ると、詰めかけた7700人の観客へ大きな雄叫びを上げ、歓声に答えていた。
2013年のウィンブルドン優勝後、故郷のスコットランドでの初の公式戦となったマレー。マレーはこのデビスカップ期間中、ずっとチームメイトの試合を大声で応援しながら観戦し、初日のワードの勝利には涙が溢れそうになるほどの喜びを表していた。
「今回の会場の雰囲気は、テニス人生でも最も特別なものだった。久々に2年連続となる準々決勝進出も、最高の気分。」とマレーは、コートサイドで観客への感謝の気持ちを語っていた。
落胆したイズナーは、アメリカの敗戦は自分に原因があったと自身を責めた。
「この敗戦は自分のせい。金曜日の敗戦がチームをピンチへ追い込んでしまった。そしてこの雰囲気の中でのアンディとの試合では、勝てる選手はほとんどいないと思う。」
昨年のデビスカップ1回戦でもイギリスの前に屈したアメリカは、昨年同様9月に行われるプレーオフでワールドグループ残留を懸けて戦わなければならない。
去年の準々決勝では、イタリアと敵地イタリアのナポリで行われ敗退したが、今年は地元イギリスでの対戦となる。会場はまだ決まってはいないが、ウィンブルドンの翌週末に行われる。
監督のスミス氏は優勝の可能性を問われると「夢を見られるのは嬉しい事。でも、これからもやらなければならない事がたくさんある。それでも我々は優勝へ近付いているのは事実。」と、思いを語った。
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