男子テニスで世界ランク3位の
R・ナダル(スペイン)は、第3シードで出場する今季最初のグランドスラムである全豪オープンでの優勝者の予測を問われると、深いため息を付き肩をゆすりながら、それは自分ではないだろうとする発言を会場であるメルボルン・パークでの会見の席で明かしていた。
14回のグランドスラム優勝を誇るナダルは、度重なる怪我や病に泣かされた昨シーズンでは数ヶ月の休養を要していたが、またこうして世界の舞台で戦うコートへと戻って来た。しかし、かつて持ち合わせていた自信を回復するには更なる練習が必要だと語る。
「今回の全豪オープンの優勝候補に自分は入っていないと感じている。タイトル獲得へ向けてしっかりと準備が出来ていると感じているともし語るのなら、それは嘘になるだろう。」とナダルは17日に行われた大会前の記者会見の席で語っていた。
ナダルはそれでも、男子テニス界の“ビッグ4”と呼ばれる選手の1人に数えられている。その4選手は、世界ランク1位の
N・ジョコビッチ(セルビア)、同ランク2位の
R・フェデラー(スイス)、同ランク6位の
A・マレー(英国)、そしてナダルである。19日からスタートする全豪オープンでは、ナダル以外の3選手に優勝の可能性があると感じている。
「優勝候補者を語るのなら、今回は自分以上に可能性がある名前を上げられる。」と語るナダルは、その記者会見の席で何度も椅子を叩きながら、うつむき加減で語っていた。
右手首の怪我に続き虫垂炎を患い手術を要するなど、昨年の後半戦は満足に戦う事が出来なかったナダル。しかしそれ以前の彼は男子テニス界を支配するような活躍を見せていた。全仏オープンでは史上最多となる9回目の優勝を成し遂げ、他に3大会で優勝を飾っていた。後半を満足に戦えなかったものの、昨シーズンを世界ランク3位で終えた。それはこの10年間で9回目となるトップ3フィニッシュだった。
今シーズンは開幕戦であるカタール・オープンからシーズンをスタートしたナダルだったが、1回戦で予選を勝ち上がった
M・ベレー(ドイツ)の前に敗退していた。しかしながら、ナダルはやる気を失う事はなかった。復帰はしたものの、まだ100パーセントの状態ではない事を認めていた。
その試合で良かった点について問われたナダルは「何もなかった。」と語りながらも笑顔で全てがそうだった訳ではなかったとも続けた。「そう、サービスはそれほど悪くはなかった。多かれ少なかれ有効なサービスが打てていた。コートでもうちょっとダイナミックなフットワークが必要なんだ。」と自身のテニスを分析していた。
ここ数年のナダルの一番の問題はその持久力だった。彼の持ち味でもある粘り強く走り回るテニスに体が付いて来るかと言う事だった。
2012年の全米オープンを欠場した原因にもなった左膝の怪我には、長年悩まされていた。翌2013年にはその全米オープンで優勝を飾るも2014年は右手首の怪我から欠場を迫られ連覇する事が出来なかった。
それはナダルがグランドスラムの連覇を諦めた2度目の事となった。最初は2008年のウィンブルドンで優勝した翌年、膝の怪我のために同大会を欠場せざるを得なかった。
今季はそれなりにフィットしてスタートさせられたと語ったナダルだが、どんな試合も怪我に繋がる可能性があるとも感じていた。
手首の状態は良くなっているかの質問にも「それは分からない。分からないよ。まだ100パーセントの自信を持ってはいない。」と答えていた。
続いて膝について聞かれると「膝についてはしっかりした自信がある。なぜなら、十分な状態でテニスが出来ているからさ。」と感じていた。
もう1つ心配されるのは腰の問題だった。ナダルはこのオフシーズンだった11月に虫垂炎の手術を受けた直後に、腰の軟骨を回復されるために幹細胞治療も受けていた。
腰の治療については「あの時は腰の問題も解決させる必要があった。今後も問題がない事を願うよ。」と加えていた。
そんなナダルだが、自信を取り戻す方法も熟知している。それはもっと勝利を重ねる事。
「怪我などから復帰するたびに、不安やベストの状態からかけ離れているのではと言う気持ちがある。ただ言える事は、より良いプレーをする必要があると言う事。より良いプレーをするためには、試合に勝つ事が必要とされるんだ。」
ナダルは月曜日に行われる全豪オープン1回戦で今季最初の勝利を望んでいる。その試合はメイン・スタジアムであるロッド・レーバー・アリーナの第3試合に行われ元トップ10選手である
M・ユーズニー(ロシア)と対戦する。
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