2014年は年間4回行われるグランドスラムで、奇しくも男女とも全て違うチャンピオンとなる8選手がタイトルを獲得するシーズンとなった。ベテランから初優勝者まで現れた昨シーズンだったが、今シーズンの展望はいかなるものになるだろうか。
男子では、まず全豪オープンで
S・ワウリンカ(スイス)が初優勝を飾り、いきなり話題を集めた。そして全仏オープンでは
R・ナダル(スペイン)が史上最多となる9度目の優勝を達成した。ウィンブルドンでは現在世界ランク1位にいる
N・ジョコビッチ(セルビア)が6度目のグランドスラム優勝を果たした。全米オープンでは若手の活躍が目立ち
M・チリッチ(クロアチア)が初タイトルを手にした。
女子もそれぞれ違う選手がトロフィーを掲げた。全豪オープンでは後に惜しまれながらも引退した
N・リー(中国)が優勝し、全仏オープンでは
M・シャラポワ(ロシア)が、ウィンブルドンでは
P・クヴィトバ(チェコ共和国)が2度目の優勝を飾ると全米オープンでは女王の
S・ウィリアムズ(アメリカ)が地元優勝を果たした。
来週から始まる全豪オープンでは、4度の優勝を誇るジョコビッチと5度の優勝を飾るセリーナの、世界ランク1位同士が優勝候補筆頭であるのは間違いない。
男子では次に上げられる優勝候補者としては、33歳にして好調を続ける
R・フェデラー(スイス)。史上最多となる17度のグランドスラム優勝を誇るフェデラーは、その内4度を全豪オープンで飾っており、今季開幕戦のブリスベン国際男子では若手の
M・ラオニチ(カナダ)を決勝戦で下して優勝すると同時にキャリア1000勝を飾る好調なスタートを切っている。
フェデラーも「明らかに全豪オープンでも行けると信じている。そうでなければ家へ帰っているよ。」と自身もやる気と自信を覗かせていた。
金曜日に発表されたドローでもフェデラーは幸先の良いスタートか期待されている。1回戦ではこれまで3度の対戦全てで勝利を飾っている
ルー・イェンスン(台湾)と顔を合わせる。
ナダルは昨年11月に受けた虫垂炎の手術からの復帰となるが、どこまで体が調整されているか疑問視されている。ナダルはというと元世界ランク8位を記録した
M・ユーズニー(ロシア)との対戦と、タフな1回戦を強いられている。
過去4度の準優勝を飾っている
A・マレー(英国)は、昨年は腰の手術から復帰を果たし、シーズン終盤では本来のプレーを取り戻し始めていた。しかし今季は左肩の違和感を訴えるなど不安なスタートを切っているが、1回戦では予選勝者と対戦する。順当に勝ち上がると準々決勝でフェデラーと対戦となる。
その他の優勝候補者は、昨年頭角を現し男子テニス界の若手と称される
G・ディミトロフ(ブルガリア)、昨年の全米オープンで準優勝を飾った
錦織圭(日本)、ウィンブルドン4回戦でナダルを下し世界に名を馳せた
N・キリオス(オーストラリア)などに加え、大会2連覇がかかるワウリンカも優勝候補の一人とされている。
予選勝者と1回戦を戦うジョコビッチは、順当に勝ち上がると若手の一人であるラオニチと準々決勝で顔を合わせる。そのラオニチも1回戦では予選勝者と対戦する。
女子世界ランク1位のセリーナは、2010年に優勝を飾ってから全豪オープンでは決勝の舞台へ勝ち上がれていない。しかしながら、当然彼女は優勝候補の筆頭である。今季はこれまでとは違い、
J・イズナー(アメリカ)と共にエキシビション大会であるホップマン・カップからシーズンを始めている。
世界ランク2位のシャラポワはといえば、開幕戦であるブリスベン国際女子の決勝戦で
A・イバノビッチ(セルビア)を下し優勝を飾り、好調なシーズンのスタートを切った。
1回戦でシャラポワは予選勝者と対戦する。順当に勝ち上がると準々決勝で20歳の
E・ブシャール(カナダ)と対戦となる。ブシャールは昨年はブレークのシーズンを送った。全豪オープンと全仏オープンではベスト4に入り、ウィンブルドンでは準優勝を飾っていた。
過去2度の優勝を飾った
V・アザレンカ(ベラルーシ)だが、昨年は怪我に泣かされ満足なシーズンを送れずランキングを下げ今年の全豪オープンではノーシードでの出場となっている。1回戦で対戦する
S・スティーブンス(アメリカ)とは、2年前の準決勝での再戦となる。その試合では劣勢に立たされたアザレンカがメディカル・タイムアウトを要求した場面でスティーブンスが主審に不満の声を上げるなど曰く付きの試合だった。その大会でスティーブンスは、準々決勝でセリーナを下す金星を飾っていた。
昨年までは男子テニス界のグランドスラムでは、3選手がほとんどの優勝を分け合う展開を見せていた。その3選手は、フェデラー、ナダル、ジョコビッチで、35回のグランドスラム中32回で優勝を飾っていた。3度の例外は2009年の全米オープンの
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)と2012年の全米オープン、2013年のウィンブルドンのマレーである。
そして昨年は全豪オープンでワウリンカが、全米オープンでチリッチが初優勝を飾った。残念ながらチリッチは怪我のために今回の全豪オープンは欠場を表明している。
手首の怪我から復帰となるデル=ポトロは厳しい1回戦を強いられる。1回戦では24歳の
J・ヤノヴィッツ(ポーランド)と対戦する。ヤノヴィッツは先週行われたエキシビション大会のホップマン・カップで
A・ラドワンスカ(ポーランド)と組み優勝を飾り、今季を好調なスタートを切っている。
フェデラーは若手の台頭も認めながらもジョコビッチやナダルの強さも実感している事から、全豪オープンへ向けての展望を語っていた。
「今年ブレークをしそうな若手も何人かいるのは確か。何か特別な事をするだろう。まだ今季を語るには早すぎると思う。ジョコビッチやナダルが開幕戦のドーハで敗退しており、何かが起きている。しかしそこから結論は出せない。彼等は全豪オープンで倒すのはかなり厳しい選手であるのは間違いないし、優勝候補であるのも確かな事。」
ナダルの最大の問題はと言うと、体力的に万全かと言う事。昨年のウィンブルドンのあとは、右手首の負傷から約3ヶ月のツアー離脱を余儀なくされ、復帰直後から虫垂炎を患い思うような活躍が出来なかったばかりか、その後に手術を受けている。
そんなナダルだが、大会会場であるメルボルン・パークに3つ目となる移動式屋根を新設したマーガレット・コート・アリーナでのオープニング・セレモニーとして子供達へのチャリティ・エキシビションを行い、その夜にはかなりハードな練習を行い元気な姿を披露していた。
ナダルは「出来る限りの準備をしようと思う。こうして戻って来たし、今はとても健康な状態でいるんだ。」と現状を語っていた。
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