テニスのグランドスラムである全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード)は6日に行われる準決勝で、第10シードの
錦織圭(日本)がグランドスラム初の決勝進出をかけて第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)と対戦するが、両者は偶然にもユニクロとスポンサー契約している。
日本のカジュアル・ブランドとして成長して来たユニクロだが、約3年前から錦織とウエアー契約を結び、その後には当時も世界ランク1位たったジョコビッチにもアプローチしウエアー契約を結ぶ事に成功し、スポーツ・アパレルの仲間入りを果たした。
既にアメリカでもユニクロUSAとして展開しているユニクロ。そのユニクロUSAの代表取締役のラリー・メイヤー氏は「我々はもちろんとても喜んでいるのと同時に大変誇りに思っています。メディアが私達のブランドについて取り上げてくれている事だけでも信じられない事です。」と、この大舞台でのユニクロ対決が実現した事に喜びと驚きを語った。
アメリカの3大ビジネス紙であるフォーブス紙の世界長者番付に資産165億ドル(約1兆7325億円)を持つ日本人最高額の人物として名前をあげられている柳井正氏が社長を務めるファーストリテイリング社の主要子会社であるユニクロ。その柳井氏の最大のゴールは、ユニクロを世界一のアパレル・チェーンにする事で、東アジアを中心に既に1400店舗を構え、東京、上海、ニューヨークにはユニクロのロゴの大きな旗を掲げる店舗も開いている。
その柳井氏が最初に目を付けたのは、日本を代表する世界のトップ選手に成長している錦織にウエアー契約を持ち掛けた事だった。錦織は当時、アディダスと契約していたがユニクロへと契約を変更した。次に柳井氏が目をつけたのはセルジオ・タッキーニと契約していたジョコビッチだった。
スポーツ・アパレルとしてはほぼ無名で、その時にユニクロと契約しているプロ選手は錦織のみだったにも関わらず、ジョコビッチとの契約に成功した柳井氏、そして今現在もユニクロとウエアー契約しているのは錦織とジョコビッチの二人だけだが、その二人が全米オープンの準決勝で戦う。
スポーツ・ブランドの専門家であるアレン・アダムソン氏はユニクロは大変ラッキーだったと語る。加えてブランドがファッションとして有名かスポーツとして有名かの違いが無くなって来ていると言う。「なぜならここ数年、スポーツとファッションの境界線がぼやけて来ているからだ。」と説明していた。
そのユニクロがテニス以外のプロ選手と契約しているのは、プロゴルファーのアダム・スコットのみである。
アダムソン氏は「ブランドが成功するには、素晴らしいストーリーが必要で、錦織がその素晴らしいストーリーと言える功績を今回の全米オープンで残した。」と、準々決勝で全豪オープン覇者の
S・ワウリンカ(スイス)をフルセットの接戦の末に下し日本人男子として96年ぶりとなるベスト4入りを果たす快挙を成した功績について述べていた。
錦織はフォーブス紙が発表した2014年版のプロテニス選手の長者番付では第9位にランクされていた。第1位は
R・フェデラー(スイス)で獲得賞金とスポンサー料など含めその年間収入は約5620万ドル(約59億円)で、錦織は約1100万ドル(約11億5500万円)としていた。錦織はユニクロに加えて、ウィルソン、タグホイヤー、日清食品などをスポンサーに付けている。
シラキュース大学のスポーツ・マーケティング専門家のリック・バートン氏は、今回の錦織の勝ち上がりで更に賞金獲得額が増えるだろうと予測している。同時に、世界のトップで活躍する数少ない日本人としてスポンサー契約料も増えるのは必至で、この先の数年間で1億ドル(約105億円)を越えてもおかしくはないと推測している。
「彼の日本でのポテンシャルの高さは半端ではない。」とバートン氏は錦織を評価していた。
ユニクロUSAのメイヤー氏は、土曜日の準決勝は正にユニクロ史上最高の瞬間になるだろうと語り、世界にユニクロのブランドをアピールする最高の舞台になるとも感じていた。しかし、柳井氏がその試合を観戦に訪れる事は否定していたが「私達は観戦に行くだろう。」と、自身が観戦に行く意志がある事を明かしていた。
錦織のグランドスラム初の決勝進出をかけた一戦は、日本時間9月7日午前1時、(現地時間9月6日12時)から開始し、アーサーアッシュ・スタジアムの第1試合に組まれている。
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