モスクワ生まれの18歳、
M・キリレンコ(ロシア)はプロ4年目の今年、ランキングを昨年から86位も上昇させ、自己最高の25位でシーズンを終えた。ランキング上位を占めるロシア勢の中でも、今年最も成長した選手の1人である。また、ルックスの良さも手伝って、人気も沸騰中だ。大ブレーク目前のキリレンコに迫る。
今季のランキング上昇の理由には、1年を通して安定した戦いをしたことが挙げられるだろう。
昨年は右肩の故障を理由に、シーズン後半を棒に振っていたが、今年は前半戦では、昨年準優勝したハイデラバードでベスト4、ドーハでベスト8と上位に顔を出し始め、インディアン・ウェルズで4回戦進出を果たし、ランキングも少しずつ自己最高を更新していった。
夏のハードコートシーズンには、膝の故障とドロー運の悪さから上位進出を逃すが、秋のアジアツアーで波に乗り、北京で初のツアーシングルス制覇を果たした。続く東京・AIGオープンでもベスト4まで勝ち進み、注目を集めた。この結果、ランキングもトップ30を突破し、ロシア勢の中でもトップ10に食い込んできたのである。
もう1つ、ランク上昇に導いた強さの秘密にはキリレンコのプレースタイルも関係している。キリレンコは最近の選手には珍しいオールランドタイプの選手で、ハードヒット一辺倒で試合を進めるわけではなく、サーブ、ストローク、ボレーともに高いレベルを持っている。隙があれば、ネットに詰めてボレーで仕留めに行く姿は、他の10代の選手では類を見ない。
また、そのネットプレーを支えているのが、積極的に参加しているダブルスでの経験だろう。昨年は、互いに仲が良いと語る
M・シャラポワ(ロシア)と組んでバーミンガムの大会でダブルス初優勝。今年は、AIGオープンでの優勝をはじめ、準優勝1回、ベスト4入り4回と好成績を残しており、ダブルスランキングでも27位に名を連ねている。
テニス好きの両親の影響でテニスを始めた(詳細は『
マリアのイチオシ』で)キリレンコは、今その才能を大きく花開かせて、トップ選手の仲間入りを果たそうとしている。来季は更なる活躍で、シャラポワ、ミスキナ、クズネツォワに続く、ロシア勢として4人目のグランドスラム優勝を狙って欲しいところである。