男子テニスで8度のグランドスラム優勝を誇る元世界1位
A・アガシ(アメリカ)が、同じ時代に戦った戦友でかつては史上最強の選手と言われた
P・サンプラス(アメリカ)と、そのサンプラスの記録を塗り替えた
R・フェデラー(スイス)について、フェデラーの方が史上最強の選手であると語ると同時に、フェデラーを抜く可能性が
R・ナダル(スペイン)にあると語った。
「正直に言うと、フェデラーが1クラス上だと思う。つまり私達はどのサーフェスでも他を圧倒していた選手を言っているんだ。あの頃も唯一クレーのナダルだけに勝てなかったけど、それ以外はどのサーフェスでもほとんど負けなかったからね。」とアガシは、現在32歳のフェデラーの絶頂期を振り返った。
2009年ウィンブルドンの優勝で、それまでサンプラスが保持していたグランドスラム最多優勝回数の15に並んだフェデラー。その後、サンプラスの世界ランク1位在位最長記録286週も、2012年のウィンブルドン優勝後に塗り替えたフェデラーは、77週間その座に君臨した。その時のフェデラーのウィンブルドン優勝が、今現在までのグランドスラム最多優勝である17度目の優勝となっている。
「ピート(サンプラス)は速いサーフェスでは他を圧倒していたけど、クレーシーズンではみんな彼と対戦したがった。彼から勝利を飾れるチャンスだからね。でも、フェデラーにはそれがなかった。彼はまさにワールドクラスのオールラウンド・プレーヤー。ナダルがどのサーフェスでも活躍し始めるまでは、フェデラーが確かに史上最強の選手だと言えただろう。」
現在27歳のナダルは、既に13度のグランドスラム優勝を飾り、そのフェデラーに対しては21勝10敗と、大きく勝ち越している。
「ナダルは史上最強の選手の議論には異義を唱えるかもしれない。もしナダルがフェデラーと同じテーブルに座っていてフェデラーが“自分が史上最強だ”と、言ったとする。」
「私の最初の疑問は“どうしてあなたは僕を倒せないでいるんだい?僕はあなたから倍以上の勝ち星を飾っているんだよ!”になる。それに加えてナダルは“そうそう、それに僕は全てで勝利をあげている。オリンピックでの金メダルやデビスカップでの優勝もね”と、言うかもしれない。」
とアガシは、フェデラーとナダルの会話を想像して、ナダルがフェデラーを上回る可能性に示唆していた。
年間4度開催されるグランドスラムの全てでタイトルを獲得しているアガシ。そのメジャー・タイトル含めキャリア60度のツアー優勝と、世界ランク1位も101週間君臨していたアガシだが、自分自身は史上最強の選手という議論にはあてはまらないとも語っていた。
「最強の選手には、ほど遠いよ。その選手のリストにもあがらない。何とか全てのグランドスラムで優勝する事も出来たけど、それは最初の基準にすぎないと考えている。私にとっては、その2人(フェデラーとナダル)か、
R・レーバー(オーストラリア)がその議論に値する選手だと思う。」
現時点での成績や功績ではフェデラーなのかもしれないが、ナダルの現役生活はまだまだ続くため、今後グランドスラムでの優勝回数や世界ランク1位の在位もさらに更新する可能性が高い。
史上最強の選手は誰かという議論は、アガシが語るように今後も物議をかもし出す議題になるだろう。
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