男子テニスでグランドスラム最多17度の優勝を誇る
R・フェデラー(スイス)は24日にニューヨークのマンハッタンで、来年から開催されるレーバー・カップの会見に出席し、今季の活動の終了へ追い込まれた膝の怪我やオリンピック欠場への辛い心境を語った。
今月に35度目の誕生日を迎えたフェデラーは、これまでのテニス人生において、大きな怪我に見舞われることなく過ごしてきた。しかし、今年の2月に不注意から左膝を負傷し、内視鏡の手術を強いられてしまった。
その後は復帰するも、ウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)の準決勝で
M・ラオニチ(カナダ)と対戦した際に芝に足を取られて転倒し、トレーナーに膝を診てもらうアクシデントに襲われた。
ドクターやトレーナーらと話し合ったフェデラーは、その時のことを「誰もが同じことを言っていた。今からすぐに休養を取る必要がある」と話した。
そして下された決断は、今季の活動を終了し、来シーズンへ向けて怪我を完治させることだった。フェデラーは7月の終わりに、その決断を公にしていた。それは、自身初の長期に渡る休養となった。
会見に出席したフェデラーだったが、来週から開幕する今季最後のグランドスラムである全米オープンの準備をすることはない。これは1999年以来初。
「面白いことに、痛みはほとんどなかった。ただ、膝がガクガクする感じがしただけだった」とフェデラーはウィンブルドンで転倒した時の状態を明かした。しかし、その後に膝の腫れが確認された。
「腫れてしまったら、ベストのレベルで戦うことは出来ない」
そしてMRIで検査した結果、明らかな損傷などは見つからなかった。しかし、この日フェデラーは、苦渋の決断をするに至った複雑な思いを打ち明けた。
「だから、ある程度もどかしい思いを感じている。少なくとも、かなりの痛みがあったり、検査で何らかの問題が見つかったりすれば、きっと決断を下すのはもっと簡単だったと思う」
「痛みもない膝のために、間違った方向へ進んでいないことを願っている。でも100パーセントでないのは確かなこと」
全仏オープンも腰の問題から欠場したフェデラーは、5・6週間テニスを離れていたが、最近コートへ戻り徐々に練習を再開し始めた。左膝の強化をメインにトレーニングをしており、スクワットなどを中心にしている。
全力で練習やトレーニングが出来るようになれば、来年1月に行われる全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード、グランドスラム)へ向けて準備に取りかかる。
2016年の終盤で数大会への出場の可能性を問われたフェデラーだが、それでは秋のスケジュールを欠場した意味がないのではと自身の見解を述べた。
1月の全豪オープン期間中にレーバー・カップの開催が明らかにされた時のことを振り返ったフェデラーは「こんな形でシーズンを過ごすとは思ってもいなかった」と明かした。
フェデラーは双子の娘をお風呂に入れる準備をしている時に膝を痛めてしまい、それまで続いていたグランドスラムの連続出場記録も65回で途切れる結果になってしまった。
また、今季は2000年以来となる優勝がないシーズン。出場を楽しみにしていたリオ・オリンピック(ブラジル/リオデジャネイロ、ハード)も欠場。
テニスコートでのスポットライトから遠ざかり、静かな時間を過ごし楽しんでいるとしながらも「4人の子供がいる。違う意味で静かではないけどね」と今の生活についてコメント。
オリンピック期間中はバレーボールの試合を見たりしていたと語るフェデラーは、
A・マレー(英国)が金メダルを獲得した後、直接話をしたことを明かした。オリンピックを含め好調のマレーだが、フェデラーは全米オープンの優勝候補にはやはり
N・ジョコビッチ(セルビア)をあげている。
全仏オープンで生涯グランドスラムを達成してからのジョコビッチは、らしからぬ成績が続いているが、ジョコビッチのハードコートでの凄さ、そしてマレーに対しての強さは揺るぎないものだとフェデラーは話した。
ジョコビッチが全米オープンで優勝すると、フェデラーの記録へあと4つへと迫るグランドスラム13度目のタイトル獲得。その全米オープンへの思いは欠場を強いられたオリンピックと重なるとフェデラーは話す。
「ある意味、とても辛い。なぜならここニューヨークが大好きだから。そしてオリンピックを見ているのも辛かった。どうしてもオリンピックには出たかったし、金メダルが獲りたかったから」
(STATS - AP)
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