テニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は大会3日目の29日の男子シングルス2回戦に第3シードの
R・フェデラー(スイス)が登場。異色の経歴を持つ
M・ウィリス(英国)と顔を合わせる。
>>ウィンブルドン対戦表<<>>錦織vsベネトー1ゲーム速報<<現在、25歳のウィリスは地元のテニス・クラブでテニスを教えているテニスコーチ。
1時間のレッスンで40ドル(約4,000円)を稼いでいたウィリスは、両親と共に暮らしており、現在の世界ランクは772位。これまでグランドスラムはおろか、ATPツアーレベルでの試合経験もなかった。
新しいガールフレンドからテニスを続けて欲しいと言われるまでは、プロテニス選手としての人生を諦めかけていた。
ランキングの低いイギリス人選手を募って開催されるウィンブルドン男子シングルス予選へのワイルドカード獲得を目指すプレーオフへ最後に招待されたウィリス。そこで3試合に勝ち予選へ出場すると、その予選でも3試合で勝利を飾り、本戦への切符を手にした。
そして、テニス界で最も神聖な場所とされるウィンブルドンのセンターコートに立ち、フェデラーと対戦する。そのフェデラーは、ウィンブルドンで7度優勝、グランドスラムでは最多優勝17度の優勝を誇るテニス界最強の選手と言われるほどの選手。
「彼(ウィリス)の物語には多くの素晴らしいことが含まれている。正直なところ、どこから始めたら良いかも分からないほど」とフェデラーもウィリスのサクセスストーリーに感銘を受けていた。
そして「彼は僕の試合全てをチェックすることが出来る。だから僕のテニス全てを知っている。彼の方にアドバンテージがあるはず」と語る。
もちろん、ウィリスの試合のビデオなどはあまり存在しないのは事実。確実なのは、多くの地元からの声援を受けることだけ。
まだ大会は始まったばかりだが、地元の話題はウィリスの話で持ちきり。
第2シードで2013年のウィンブルドン覇者である
A・マレー(英国)も「ドローの中で誰が誰を倒してもおかしくない。時には驚かされることも起こるのがスポーツ。当然、今回の試合ではロジャー(フェデラー)が勝つだろうと誰もが思っているはず。自分もロジャーが問題なく勝利するだろうと感じている」と2人の対戦について語った。
「しかし、彼(ウィリス)のプレースタイルはとてもクラシック。彼はサーブ・アンド・ボレーを多用する。スライスも多く使う。ストロークもかなりフラット。彼は繊細なタッチも持っている」と語るマレーは、ウィリスが10代の時にイギリスのデビスカップ・チームに帯同した時の彼のプレーを思い出していた。
ウィリスは明らかに今回の快進撃を楽しんでいる。27日の1回戦後にフェデラーとの対戦を問われると笑みが止まらなかった。
「こんな質問を聞かれることは何百年経ってもないだろうと思っていた。彼(フェデラー)は完璧な選手。既にテニス界のレジェンドと言われている。多大な尊敬を彼には抱いている。でも今は、コートに立って彼を倒すべく戦わなければならない」とウィリスは率直な想いを話した。
フェデラーとウィリスの2回戦は、センターコート第3試合に予定している。
(STATS - AP)
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