ITF(国際テニス連盟)は8日、今年1月の全豪オープン期間中に受けたドーピング検査で禁止薬物の陽性反応が出た
M・シャラポワ(ロシア)の正式処分として、2年間の出場停止処分を8日に下した。シャラポワは、すぐにスポーツ調停裁判所へその決断を不服として控訴する意向があると示した。
ITFによって指名された3人からなる陪審員によって下された判決によると、シャラポワは故意に摂取してはいないとしながらも「唯一の責任」と陽性反応への「明らかな過ちへの責任」を自身が負うとしていた。
シャラポワが発表した声明では「裁判所では反ドーピング・ルールを故意に違犯しようとしていないという正しい決断に至りながら、2年間の出場停止は公正と思えない。厳しい処分を受け入れることは出来ない。ITFの選ばれたメンバーによる裁判では、2年間もテニスをすることを妨げようとしている。すぐにでも、この処分をスポーツ調停裁判所へ控訴するつもり」と戦う姿勢を示した。
1月に受けたドーピング検査で陽性反応が出たことを公にしたロサンゼルスでの会見が行われた3月初旬から、グランドスラムを5度の優勝しているシャラポワは、暫定的に公式戦への出場を停止していた。
その時シャラポワは、世界反ドーピング機構(WADA)がミルドロネートとも呼ばれるメルドニウムを1月1日から禁止薬物に新たに指定したことに気付かなかったと述べた。
全豪オープン期間中のドーピング陽性反応に加えて、シャラポワは2月2日にモスクワで受けた抜き打ち検査でもメルドニウムの陽性反応が出たとITFは加えている。
主に心臓疾患に用いられるラトビア製のこの薬を、2006年に初めて健康上の理由から処方されたとシャラポワは説明していた。今回の処分は、最大4年間の出場停止処分になる可能性があった。
「今日の2年間の出場停止処分の決断について、ITFの裁判所は満場一致で故意に接種しはいないという結論も出ていた。パフォーマンス向上目的の薬としての処方を、主治医に求めてはいなかったことも裁判所は確認していた」とシャラポワ。
続けて「ITFは多大な時間と資料を費やして、故意に反ドーピング・ルールを犯しているかを検証してきた。そして、そうではなかったという結論に至った」と処分について納得がいかない想いを語った。
今回の処分は、シャラポワの現役選手としての今後の未来を不透明なものとしている。29歳のシャラポワは世界でも最も有名な女性アスリートであり、そのスポンサーの多さから世界で最も高収入の女性アスリート。
元世界ランク1位のシャラポワは女子テニス史上10人しかいない、四大大会の全てで優勝を飾る生涯グランドスラムを達成した選手の1人でもある。若くしてトップ選手の仲間入りを果たし、初めてグランドスラム優勝を飾ったのは17歳のウィンブルドンだった。
そして18歳にして世界ランク1位へ上り詰め、全米オープンは19歳、全豪オープンは20歳で優勝。
2008年には右肩の手術を受ける怪我を負い数カ月のツアー離脱を余儀なくされ、世界ランクは100位圏外へと落ちた。しかし、その後復帰してからランキングを戻したシャラポワは2012年の全仏オープンを初めて制すると、2014年にも同大会で2度目の優勝を飾った。
シャラポワは今年の全豪オープン準々決勝で世界ランク1位の
S・ウィリアムズ(アメリカ)に敗れてからコートに立っておらず、現在のランキングは26位へと下げている。
メルドニウムは血液の循環を良くする作用があり、そのことからより多くの酸素を体内へ補給するとされパフォーマンスの向上が認められた。
4月にはメルドニウムが摂取後どのくらいの期間体内にとどまっているかという科学的証拠に欠けるとし、WADAはもし選手がメルドニウムが禁止された日より前に摂取していたのであれば、暫定的な出場停止処分が解除される可能性があると語っていた。
あらゆるスポーツと国々から、約200人のアスリートがこのメルドニウムの陽性反応が出ている。その多くはシャラポワと同様にロシア出身の選手だった。そして、そのアスリートの中には2015年にメルドニウムを摂取しても、体内にはしばらく残ってしまうと述べる者もいた。
しかし、ハガーティ弁護士によると、シャラポワに関してはそうではなかったとしている。
(STATS - AP)
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