先週まで行われていたBNPパリバ・オープン(アメリカ/ インディアンウェルズ、ハード)の元主催者で女子プロテニス協会会長のS・シモン氏は、現在の大会主催者であるR・ムーアが20日に出した女子選手に対する批判的な発言について「落胆し驚きだ」とする意見を述べた。
男女共同開催の同大会は20日に男子シングルス決勝戦が行われたが、その試合前にムーアは「女子テニス選手は男子テニス選手の活躍に恩恵を受けている」とする発言をし、物議を醸している。後にムーアは書面での謝罪文を出していた。
シモン会長は、同大会を長年共にムーアと支えてきた一人で、昨年の秋に女子プロテニス協会(WTA)の会長に就任していた。
シモン会長は「プロテニス界でも卓越した大会の1つの主催者として、ムーアが今日出したコメントは、非常に落胆し驚きに値する。」とする声明を20日遅くに発表。
また「WTAは独自の力で成り立っており、平等と地位向上の原理のもと設立された。日々懸命な努力と犠牲を払ってツアーで戦っている強い女子アスリート全員に対して誇りを持っている。テニス界全体は、男子選手も女子選手も同じようにその一人一人の貢献と功績によって高められている。」と加えていた。
元WTA選手だった全米テニス協会のK・アダムス会長も、ムーアの発言を受けてそれを否定するコメントを発表。12年間プロとしてWTAツアーに参戦していたアダムス会長は、これまでも全米テニス協会や全米オープンでの男子平等を唱え続けていた。
アダムス会長は「このテニスというスポーツには、時代錯誤や性差別や無知なイデオロギーの存在する場所はない。そして昨日出された(ムーアの)コメントは、テニス界の思いを全くもって反映していない。」とする声明を21日に出した。
問題となったムーアの発言は「次に生まれかわったらWTA選手になりたい。なぜなら、WTA選手は男子選手の活躍に恩恵を受けているから。彼女達は自分達では何も決められないし、ラッキーでもある。本当に本当にラッキー。」
「もし自分が女子テニス選手だったら、毎晩膝まづいて、
R・フェデラー(スイス)や
R・ナダル(スペイン)が生まれてきてくれたことに感謝するだろう。彼等がテニスというスポーツを牽引しているから。」というものだった。
同時にムーアは女子テニス選手について「肉体的にも、競技的にも魅力的」と称していた。後にムーアは「全くもって品位に欠け、間違ったもの」だとする謝罪文を出していた。
文面には「その発言に対して真摯に謝罪し、全ての女子選手やWTA全体に謝りたい。今日は女子シングルスの決勝戦があり、それは選手、特に
S・ウィリアムズ(アメリカ)と
V・アザレンカ(ベラルーシ)や、WTA全体の強さを反映したものだった。自分自身のコメントに対して再び謝罪したい。」とも記されていた。
セリーナとアザレンカも20日の決勝戦後にムーアの発言について批難の声をあげていた。
セリーナは「明らかに、どの選手も膝まづいてあのように誰かに感謝するべきではないと思っている。」とアザレンカに敗退した後に語っていた。
(STATS - AP)
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