テニスのグランドスラム、全豪オープン(オーストラリア/メルボルン、ハード、賞金総額17,748,600ドル)は30日、男子シングルス準決勝が行われ、第1シードの
N・ジョコビッチ(セルビア)が前年度覇者で今大会第4シードの
S・ワウリンカ(スイス)を7-6 (7-1), 3-6, 6-4, 4-6, 6-0のフルセットで下し、5度目の優勝へ向けて第6シードの
A・マレー(英国)の待つ決勝進出を決めた。
アップダウンの激しい展開となったこの試合、ジョコビッチは第4セットでは集中力が下がりそのセットをワウリンカに奪われると勝敗の行方はファイナルセットへと持ち込まれた。迎えた第5セットでは、ワウリンカの3度のサービスゲーム全てをブレークする猛攻を見せたジョコビッチが2年ぶりの決勝戦へ駒を進めた。
第3セットが終わりジョコビッチがセットカウント2ー1とリードした直後に、セットとセットの間のために警備員がコートに現れたが、集中し過ぎからセットが終わった事に気付かなかったジョコビッチは警備員達の姿に怪訝な表情を見せる場面があった。
「時にはそんな事も起こるもの。高い集中力から無我夢中だったんだ。警備員達がコートに現れた時は本当に集中していたんだ。グランドスラムの準決勝で、おまけに前年度チャンピオンと戦っていた状況さ。多くの感情が沸き上がっていてもおかしくはない。そんな時はスコアだって忘れてしまうものさ。」とジョコビッチは、その時の気持ちを説明していた。
ジョコビッチはグランドスラムでの初優勝を2008年の同大会で飾り、その後2011年から2013年まで大会3連覇を果たしていた。そしてオープン化以降、5度決勝戦へ進んだのは
S・エドバーグ(スウェーデン)と
R・フェデラー(スイス)に次いで3人目となった。
ジョコビッチとワウリンカはこれまで2度この大会で対戦しており、そのいずれもフルセットへもつれる接戦だった。その2試合の合計時間は9時間に及んだが、この日の試合は3時間半と、これまでのような激しいラリー戦にはならなかった。
試合を通してワウリンカは42本のウィナーを決めるも69本ものイージーミスを犯し、ジョコビッチも27本のウィナーを記録するも49本ものイージーミスを犯す荒れた展開だった。
「激しい戦いだった。コートの両サイドからの攻防と言う意味では。ただテニスのレベルとしては、自分が望んでいたものではなかった。」とジョコビッチもベストのプレーではなかった事を実感していた。
これでワウリンカとの対戦成績を17勝3敗としたジョコビッチ。敗れたワウリンカは、昨年この大会でグランドスラムの初優勝を飾ったものの、その後のグランドスラム3大会では準々決勝の壁を越える事はなかった。そのため、来週発表の世界ランクでワウリンカは、9位までランキングが下がる事が決まった。
「そんな事へのプレッシャーはなかった。」と、ワウリンカ。「この2年間でも彼(ジョコビッチ)とは接戦を演じて来たのは確かな事。今日はそう考えるとちょっと不思議な試合だった。彼は勝利に値するプレーをしていたし、決勝を戦うにふさわしい選手さ。 」とジョコビッチのプレーを称賛していた。
決勝戦でジョコビッチは、木曜日に行われた準決勝で第7シードの
T・ベルディヒ(チェコ共和国)をセットカウント3ー1で退けたマレーと対戦する。
マレーは以前、グランドスラムのタイトルを分け合って来たジョコビッチ、フェデラー、
R・ナダル(スペイン)らとともに“ビッグ4”と呼ばれる選手の1人だった。
そんなマレーはここ全豪オープンでは3度決勝へ進みながらいずれも敗れており、今年は今大会初優勝へ向けて、そして再び“ビッグ4”の称号を得るためジョコビッチとの決勝戦へ挑む。
ジョコビッチはマレーに対して15勝8敗と勝ち越しており、最近の8対戦中7度勝利を飾っている。しかしグランドスラムの決勝戦では、2011年の全豪オープンではジョコビッチに、2012年の全米オープンではマレーに軍配が上がっており、勝敗の予想は混沌としている。
決勝戦へ向けてマレーより休養が1日少ないジョコビッチに対して、体力的な疑問も投げ掛けられている。
「それには問題はない。今日の試合のある時点では次へ向かうのに苦労する場面もあったのは事実。この大会のここまでの試合のように、ファーストサービスで簡単にポイントが取れなかった。それがこれまでの試合との1番の違いだった。」
「それでも特に問題はない。確実に決勝戦には万全な準備をして臨むよ。1度コートに立ったら、疲れているとか具合が悪いとかは本当に忘れてしまうものなんだ。」とジョコビッチは自信を覗かせていた。
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