今週日曜日から開幕する今季2度目のグランドスラムの全仏オープンは、史上最多となる8回の優勝を誇る世界ランク1位の
R・ナダル(スペイン)が優勝候補ではあるものの、ここ数年とは状況が変わって来ていると元世界ランク1位の
M・ビランデル(スウェーデン)が自身の見解を語っている。
「これまでの10年間より今年の方が普通なんだ。なぜならこの何年かは逆に変わっていて、決勝戦を常に世界の1位と2位が戦って来ていて、ある決まった選手がツアーを支配していた。そして皆それが普通だと思い始めてしまってたんだ。しかしそれは例外なんだ。」と語るのは、1980年代に3度の全仏制覇を達成したビランデル。
「全仏の開幕へ向けて今年は例年以上に興奮している。通常の大会は、一人のスーパースターがいる事でライバル関係やその他の事を一掃してしまう事でも成果が表れる。しかし全仏に限らず他のグランドスラムは、特定の優勝候補がいない事で盛り上がるもの。かつてはそうだった。それにその方が良いと思う。」
「“ナダルが9回目の優勝をすると思う?”なんて言う質問をしたいとは思わない。そんな事には興奮しない。それより、
N・ジョコビッチ(セルビア)や
R・フェデラー(スイス)の優勝のチャンスがあるのではって思わせてくれる事の方がより興奮してしまう。」と自論を語った。
去年まではグランドスラムではビッグ4と呼ばれる、ナダル、ジョコビッチ、フェデラー、
A・マレー(英国)のいずれかがチャンピオンになっていたが、今季は全豪オープンでいきなり
S・ワウリンカ(スイス)が優勝しチャンピオンの仲間入りを果たした。
そしてクレーシーズンに入ってからも、3回行われたマスターズ1000大会では世界1位のナダル、同2位のジョコビッチ、同3位のワウリンカと全て優勝者が異なっている。
先週行われたローマでのマスターズ1000大会では、決勝戦でジョコビッチがナダルを下し優勝したが、その敗戦はナダルがクレーシーズンで喫した3度目の敗戦で、これはナダルが2004年以降クレーで喫した最多の敗戦数だった。
全仏オープンで驚異的な勝率の59勝1敗を誇るナダルは、第1シードでのエントリーとなるが、これはわずか3度目の事。2009年も第1シードで大会に臨んだナダルだったが、その時は4回戦で全仏唯一の敗戦となったR・ソデルリングに敗れて大会を去っていた。
全仏オープンの結果次第ではジョコビッチと1位の座が入れ替わる可能性のあるナダルだが、ビランデルの見解には我関せずで「気にしないし、分からない。ただ自分自身の事を考えるのみ。それ以外何をしろと言うんだ。」と、冷静に答えていた。
《王者ナダル、陥落の可能性<ムチュア・マドリッド・オープン男子>》“クレーキング”の称号を与えられているナダルだが、今年はモンテカルロ・マスターズ、バルセロナ・オープンとまさかの準々決勝敗退を喫し、先週はジョコビッチの前に決勝戦で敗れていた。ジョコビッチとはこれで4連敗を喫した事となった。
モンテカルロでは先輩にあたる
D・フェレール(スペイン)に負けていたが、フェレールは昨年の全仏の決勝戦でも対戦し、危なげ無い勝利を飾るなどクレーではまず負けた事がない相手だった。そしてバルセロナでの敗戦は、同胞の
N・アルマグロ(スペイン)からのもので、アルマグロはそれまでナダルとの対戦で0勝10敗と大きく負け越していたものの、初めて勝利を飾っていた。
《ナダル、同胞に敗れてV4逃がす<バルセロナ・オープン・サバデル>》ビランデルはこうも指摘している。大会で普段よりも早い段階で敗退する事で、例年以上に疲労などがない状態でいるはずだし、これまでの敗戦は全て3セットマッチでのもの。グランドスラムは5セットマッチで戦われるため、状況が違う。加えてマドリッドでのマスターズ1000大会ではしっかり優勝も飾っている事から、クレーでの自信を全く失っているわけではないと分析する。
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