男子テニスで史上最多17度のグランドスラム優勝を誇り、史上最強と言われている
R・フェデラー(スイス)。しかし、2013年は不調に陥り、フェデラー時代の終わりとも言われる1年となってしまった。
全豪オープンからシーズンをスタートさせたフェデラーは、
A・マレー(英国)にフルセットで敗れるもベスト4入り。その後シーズン前半は、ABNアムロ 世界テニス・トーナメントで当時世界ランク39位の
J・ベネトー(フランス)に敗れるもトップ10以外の選手からの敗戦はなく、順調なシーズンを送っているかに見えた。
ベネトー以外でトップ10選手からの敗戦は、5月のムチュア・マドリッド・オープン男子3回戦で当時世界ランク16位の
錦織圭(日本)がフェデラーから初勝利を飾った1試合のみだった。
だが、今シーズンの最大の番狂わせと言わしめた敗戦がフェデラーを襲った。
それは奇しくも、グランドスラムの中でも最も得意とし、これまで7度もの優勝を飾っていたウィンブルドンの2回戦。当時同ランク116位の
S・スタコフスキ(ウクライナ)に敗退する屈辱とも取れる敗北を喫してしまった。
芝のシーズンに入り、ゲリー・ウェバー・オープンで今季初優勝を飾るなど、大会連覇と自身8度目の優勝を狙って臨んだウィンブルドンでのまさかの2回戦敗退だった。
フェデラーがトップ100圏外の選手からの敗戦を味わったのは2005年4月のモンテカルロ・マスターズ準々決勝以来で、その時は当時世界ランク101位で伸び盛りだった
R・ガスケ(フランス)に負けて以来の事だった。
フェデラーの悲劇はそれだけでは終わらなかった。その後、当初スケジュールには入れていなかったヨーロッパのクレー大会に急遽出場したフェデラーは、ベット・アット・ホーム・オープン準決勝で当時世界ランク114位の
F・デルボニス(アルゼンチン)、続いて地元スイスのクレディ・アグリコル・スイス・オープンでは初戦となる2回戦で当時世界ランク55位の
D・ブランズ(ドイツ)と、続けざまにランキング下位選手に敗れてしまった。
当時を振り返りフェデラーは、この頃に腰に痛みがあり、万全の状態ではない中で大会に出場してしまい、あの時大会に出るべきではなかったと後悔の気持ちを語るなど、怪我を負っていた事をのちに明かしていた。
この思わぬランキングの低い選手からの敗戦が続いたフェデラーは、かつて「フェデラー・エクスプレス」と言われた勢いはすっかり影を潜め、もう引退ではと囁かれるようにもなってしまった。
ウィンブルドン敗退後はランキングも3位から5位と、2003年6月以来となるトップ3から脱落。8月には一時同ランク7位にまで後退した。
そんなフェデラーだったが、怪我を完治させたシーズン終盤では来シーズンへとつながるプレーを見せ始めた。
故郷でのスイス・インドアでは決勝戦で
J・M・デル=ポトロ(アルゼンチン)に敗れはしたが、ゲリー・ウェバー・オープン以来となる今季3度目の決勝進出。続いてレギュラー・シーズン最後の大会だったパリでのBNPパリバ・マスターズでは準々決勝でデル=ポトロ相手にリベンジを果たしベスト4入り。
出場が危ぶまれたATPワールドツアー・ファイナルにも12年連続で出場し、予選ランドロビンでは
N・ジョコビッチ(セルビア)に敗れるも、ガスケ、デル=ポトロを下して準決勝進出を果たした。
万全な体調で臨んだシーズン終盤戦では、再びフェデラーらしいプレーを見せ始めてシーズンを終えた。まだまだやる気を見せる32歳のフェデラーは、好調さを取り戻して2014年のシーズンに臨む。
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