イギリス・ウィンブルドンで開催中の2013年のグランドスラム第3戦「ウィンブルドンテニス」(WOWOWで7月7日(日)まで連日生中継)。大会第4日目に行われた女子シングルス2回戦で、
A・カダントゥ(ルーマニア)を6-4, 7-5のストレートで下し、自身17年ぶりのウィンブルドン3回戦進出を果たした
クルム伊達公子(日本)が激闘を振り返った。クルム伊達選手は大会第6日目(本日)に第1シードのS・ウイリアムズと対戦する。
Q: おめでとうございます。チャレンジ6年目に入って、このウィンブルドン3回戦。チャレンジを始めてから、3回戦という結果をイメージしたことはありますか。
伊達: ないですね。グランドスラムの中でもここは思い出も多いですし、昔から勝ちたいと思うグランドスラムでもあったりました。その場所で、今の年齢で、今の状況で3回戦までこれたというのは、本当に奇跡に近いですし、現実に起きたということで、喜ばないということは当然ないです。
いつもドローに泣かされることが多いですけど、今回は1回戦からシード相手ではなかったり、お天気が良かったりと運にも恵まれました。結果的に3回戦に行けたということを考えると、ここまでは自分に良い風が吹いていたんだと言えると思います。
Q: 2回戦日の相手ですが、パシェックを破ったということで、おそらく自信もあり、失うものもないということで思い切り向かってきたと思います。かなり粘り強い相手で第1セットから大変だったと思いますが、どういう戦略だったのですか。
伊達: 何かスペシャルなものを持っているというよりは、全てのショットにおいてそつなく、隙のないプレーをしてくるというイメージがありました。深いボールで彼女の腰より高い位置になった方が、彼女にとっては打ちやすい位置になるということは頭に入れていました。横の動きなどは、とにかくしつこい。前後にゆさぶりたいという気持ちがあったので、序盤からドロップショットも使いました。
フォアは少しボールの軌道が高く、バックはフラット系で速いというイメージもあったので、最初は芝なのでなおさら、軌道が高くなるよりはバックのフラットで打ち合う方が良いと思って、あえて彼女が得意なバックの方に集めていました。だた、途中でこれはダメだと思い、途中から完全に彼女のフォアの方に配球を変えたのですが、その辺から彼女が心地よくないということも見えてきたので、少しリズムは取り戻せたと思います。
Q: 伊達さんのプレースタイルが芝に合っているのが見ていてわかるのですが、伊達さんにとって芝のテニスの何が一番好きなのですか。
伊達: 1年の中で大会数は多くないですし、そう言えるほど芝が好きなわけではないですが、相手が私のボールを嫌がるということが大きなポイントだと思います。普通のハードコートでもボールが滑ってくると皆が言うので、それが芝になると、今のようにハードヒットする若い選手が多い中で、腰より下で打たされるというのはあまり心地よくないというところが、大きなポイントだと思います。
Q: 史上最年長での3回戦進出とずいぶん騒がれていますが、どう思いますか。
伊達: 自分の年齢を受け止めなければならないことは、わかった上でスタートしていることですし、まずこの場所に立つこと自体が難しいし、ましてや1回戦勝つということも難しいわけで。それは相手が誰であれそう簡単なことではないし、1回戦の相手が18歳で、2回戦が23歳の相手。なので普通に考えれば、本当に3回戦というのは考えられないことだと思うんです。
だからそれを目標にしていたわけではなかったのですが、当然一つ一つ、いつも勝ちたいという強い想いは持って戦ってきましたけれども、そう簡単なことではなかった。
でも、そうやって言ってもらえることはマイナスではない、どちらかというとプラスの方が多いのではないかと思います。やはり同じ世代のアスリートにしても、どこかいつも「限界なんじゃないか」という悩みを抱えたり、ふとそういう思いにさせられることがあります。そういった中で、どんなジャンルでも、どんな状況でも、同じ世代の人が何か結果を残すことによってまたエネルギーが湧いてくる、とも言ってくれるので、そういう意味でもプラスかなと思っています。
Q: 多くの選手と戦ってきましたが、セリーナとはまだ対戦がありません。実はやりたかったのではないかと思うのですがいかがでしょうか?
伊達: やりたくはないです。当たらないで済むならずっと当たらないで過ぎ去って行って欲しかったですね。できることなら、一番やりたくないですね。さすがにパワーがあり過ぎなので。ビーナスですらイメージがわかなかったです。
Q:
V・ウィリアムズ(アメリカ)の時も、非常にいい試合をされましたね。
伊達: セレナは強いですよ。と言ってももう相手は変えられないので、どんな状況になっても、自分のテニスをやってみるだけです。ビーナス戦で見せたように、失うものはとっくに、本当にないので。
ここまでやってきて、本当にわずかなチャンスかもしれませんが、現代のナンバーワンと戦えるチャンスを自分で手に入れたわけですから。そこで42歳がどこまで、どんなプレーができるのか、というのをやってみるしかないですね。それで吹っ飛ばされたらもう、笑って終わるしかないですね。
Q: 今までの3人よりは少し年が近い31歳ですが、相手にはトリッキーに映るかと思います。ヴィーナス戦とはまた戦術が違ってくるかもしれませんが、積極的に攻めますか。
伊達: その日のサービスの調子や確率、相手のテニスとの流れで考えていくしかないと思うのですが、ビーナス戦でやったように、そこまでネットに行けるかどうか、今のところは想像ができないです。
ダブルスがキャンセルになったばかりで、シングルスのことは全然考えていなかった。試合があるまでに考えたいとは思っていますが、積極的にやりたいと思っています。後ろで粘れるテニスができるわけでもないし、芝の上でやったところで何の効果もないし。そこまで耐えられる脚力なりフィジカルがあるわけでもないので。
気持ちの上でも、テニスの上でも、思い切った、迷わない、芝の上で自分しかできないテニスというのは、これは相手がセレナであれ、今までと同様、徹底してやりたいとは思っています。
クルム伊達公子が昨年覇者で世界ランキング1位のセリーナに挑む、注目の「ウィンブルドンテニス」女子シングルス3回戦、クルム伊達公子 vs セリーナ戦は、6月29日(土)深夜0時~WOWOWライブにて生中継!
詳しくは、WOWOW TENNIS ONLINE(wowow.co.jp/tennis)へ。
http://www.wowow.co.jp/sports/tennis/
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★ウィンブルドンテニス 大会第6日
6月29日(土)夜7:30~深夜0:00[WOWOWライブ]※生中継
・男子シングルス3回戦 「
錦織圭(日本) vs
A・セッピ(イタリア)」
★ウィンブルドンテニス 大会第6日
6月29日(土)深夜0:00~午前7:30[WOWOWライブ]※生中継
・男子シングルス3回戦 「
D・フェレール(スペイン) vs
A・ドルゴポロフ(ウクライナ)」
・女子シングルス3回戦 「クルム伊達 公子 vs S・ウイリアムズ」
※試合の進行により、放送カードが変更となる場合がございます。