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ヤンコビッチが今季2勝目◇WSFG女子オープン

女子テニスツアーのWSファイナンシャル・グループ・女子オープン(アメリカ/シンシナティ、賞金総額200万ドル、ハード)は16日、シングルス決勝戦を行い、第5シードのJ・ヤンコビッチ(セルビア)が第1シードのD・サフィーナ(ロシア)を6-4, 6-2のストレートで下し、今季2度目で自身11回目の優勝を飾った。

昨年8月に世界ランク1位の座に初めてついたヤンコビッチは、その後の年末ランキングも1位で迎え、トータル18週間に渡って女王の座に君臨していた。しかしオフシーズンに行ったウェートトレーニングが原因で、体重増加によりシャープな動きができなくなった。第1シードの臨んだ全豪オープンでは4回戦敗退を喫し、女王の座から脱落することとなってしまった。

「やっと笑顔が戻ってきたわ。試合をすることが楽しくてしょうがないの。ずっとこの感じを待ち望んでいたの。この7ヶ月くらい待ち続けていたわ」と、思うような成績を上げられずにいた今シーズンの辛かった思いを告白していた。

体形の変化に加え、母親が病気で手術を受けるなど、プライベートでも辛い日々を過ごしていた。ウィンブルドンの時期とも重なり、3回戦で予選勝者のM・オーディン(アメリカ)に敗れる結果に。その後、1ヶ月のオフを取り、母親の看病と大好きなチョコレートとコーラを断つダイエットを行い、体を絞ってこのアメリカ・シーズンに臨んでいた。

この優勝で17日発表の最新ランキングで5位から4位へ上がることが決まったヤンコビッチは「またトップ選手の仲間入りができて嬉しい」と語り、今季最後のグランドスラムであるUSオープンの優勝候補へ名を連ねることとなった。

この日の決勝戦も決して万全の体調ではなかった。前日行われた準決勝ではE・デメンティエワ(ロシア)に2時間46分の接戦を強いられ、就寝したのは夜中の2時を越えていた。その試合では、第3セットのタイブレークで2-6と、デメンティエワに4本ものマッチポイントを握られてからの大逆転を演じていた。

「自分自身に言い聞かせたの。“疲れてなんかいない。気分はとてもフレッシュで試合への準備だった万全だ”って。そう信じて試合をしていたわ。今朝起きたときは、体中が痛かったの。やっと午前2時にベッドへ入れたけど、睡眠も十分じゃなかった」と精神力で試合に臨んでいた。

試合は序盤にブレークを奪ったヤンコビッチが2-1とリードし、その後は両者サービスキープを続け、ミスはわずか9本と安定したテニスをしたヤンコビッチが第1セットを先取した。勢いそのままに第2セットは第1、第3ゲームでサフィーナからブレークを奪い、3-0とリードし試合の主導権を握った。

途中ヤンコビッチは、横へスライドしながらショットを打った時に、左太腿を痛め、トレーナーによる治療を行った。暑さも加わり、氷を頭に乗せての治療となったが、気持ちを引き締め、再びコートへ戻ってもリズムを奪われることはなかった。

敗れたサフィーナは「今日はちょっとお休みしていた気分。どうしてか分からないけど、コートへ立った時は自信もあった。でも試合が始まったら思うようなプレーができなかったの。足も動かなくて、コートでしなければならないことが全くできなくて、彼女に主導権を握られてしまった」と、彼女らしいキレのあるプレーが影を潜めてしまったことを語った。

勝利した瞬間にヤンコビッチは、ファミリーボックスにいる父親の方へ歩み寄り抱き合った。普段は母親も一緒に観戦しているはずだが、手術後で入院中のため、そこに母の姿はなかった。

「この優勝をお母さんへ捧げるわ。病院にいる彼女にハッピーになってもらいたいの。とても大事なことだと思っている。でも父はここで観戦していることも辛かったんじゃないかな。きっと緊張していただろうし、自分の子供の試合を見ているのは辛かったのかも」と、母親への思いと父親への気遣いを表彰式でコメントしていた。

ヤンコビッチはクリスタルのトロフィーと共に、優勝賞金の35万ドルと優勝ポイントの800ポイントを獲得した。

この日はダブルスの決勝戦も行われ、第1シードのC・ブラック(ジンバブエ)/L・フーバー(アメリカ)組が第7シードのN・ヤゴステラ=ビベス(スペイン)MJ・マルチネス=サンチェス(スペイン)組を6-3, 0-6, [10-2]の1時間15分で下し、このペアで今季5度目の優勝を果たした。

(2009年8月17日13時27分)
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