テニスの全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)は日本時間3日(現地2日)に車いすテニス部門が開幕。男子で世界ランク1位の小田凱人と女子で世界ランク1位の上地結衣は同大会を全日程生中継するWOWOWのインタビューに答えた。
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全米オープンの車いす部門は2年ぶりの開催。
19歳の小田が同大会に出場するのは3度目。最高成績は2022年のベスト8となっている。
一方、31歳の上地は同11度目の出場。2014年と2017年に優勝を飾っている。
今回のインタビューはWOWOW現地レポーターを務める松岡修造が行った。
【小田凱人選手 インタビュー】
松岡:(先ほど国枝慎吾さんとお話されていましたが)常に周りの環境が変化し続けている車いすテニス界のトップにいる感覚は?
小田:(国枝さんは)テニスを始めた時に、車いすテニス界の第一人者として、紹介されている記事を読んだり、車いすテニスの起源を調べた時に「ボン!」と写真と文がでていました。
You tubeも見たりしていたので、もちろん知っていました。僕が生まれた2000年代から活躍されていたと思うので、そこから色々な変化はあったと思います。その中に、僕が少しでも違う色を入れることができたらと、僕が一選手として車いすテニス界の変化の中心にいたいと少し前から思っています。30~40年後に振り返ったときに、2024~2025年に車いすスポーツがガラッと変わったなと思ってもらいたいです。(国枝さんは)色々なことにチャレンジされてきた方なので、すごくリスペクトがあります。
松岡:小田選手は全米にどのような思いがある?
小田:すごい楽しみですね(笑)ハードコートも久しぶりだし、ニューヨークは毎回テンションが上がって、フレッシュな感じです。「自分のテニスを見せつけたいな!」という感じで、とてもワクワクしています。
(前回の大会が)2年前なので結構昔に感じていて、久しぶりに来たなという感覚です。数字だけで見るとあまり結果は出ていないですけど、感覚的には全然ここの大会だけ嫌なイメージとかはありません。「まぁ、いけるっしょ!」という感じです。
松岡:男子テニスといえば、今はシナー選手とアルカラス選手、車いすだと小田選手とヒューエット選手がいます。このライバル関係についてはどのように感じている?
小田:あの2人はロールモデルにしたいと思っています。(ヒューエットとは)歳が少し離れているので違うところは違うと思うんですけど、ここ最近はずっと僕が勝っているのでライバルというよりは、彼と決勝で戦って勝利してこその優勝だと思っています。お互いに決勝まで勝ち上がって、ベストなテニスをしたいと強く思っています。ウィンブルドンの時もそうでしたけど、バチバチした試合をしたいなと思います。
松岡:シナー選手は精密的でまじめ、アルカラス選手は自由で情熱などそれぞれ個性がありますが、小田選手にはどのようなタイプ・個性がある?
小田:見ていて楽しいのは、アルカラス(のプレースタイル)です。どちらかというと、自分もアルカラスタイプかなと思いますが、それだけだと面白くないので自分の色を出したいのが一番です。結構淡々と試合をしている感覚が僕にはあって、(感情を)顔に出さないとかを意識しています。そこが海外の選手とは少しスタイルが違うと見ていて思います。自分が日本を代表しているという意味では、その点をすごく大事にしています。
松岡:小田選手は日本で一番注目されているテニス選手の一人ですが、自分のプレーでどのようなものを伝えていきたい?
小田:一番は、「こいつやべーな!」と驚かれたいです(笑)そのためには、勝っていないとそう思われないし、どんなにかっこつけても負けていたらそうはいかないと思っています。勝ってこそ、自分が表現したいことが表現できると思っています。
松岡:炎がデザインされた帽子をかぶっていますが、魂は燃えていますか?
小田:燃えています! それくらい(気持ちは)出していこうかなと。確実に、これまでの大会とは感覚が違います。現地にきて数日間過ごしてみても、いつもよりも気合が入っているなと自分でも思います。そういうときの方が今のところ結果が出ていると思うので、今回もやらかしたいなと思います(笑)。
松岡:2年前の全米で負けて泣いているときに、この場所でインタビューしたのを僕は忘れられないです。そういう思いは、良い意味で忘れられるんですか?
小田:あれは良い意味で、良くない過去として残っています。変に自分の中で消化して、「あの経験があるから今がある」とは全く思っていません。あそこで勝利できていれば、最年少で(優勝することができた)とかも僕の中ではあるので、それが良いものとして残らなくていいと思っています。悔やむところとして自分の中に残っていて、その方が自分の中で頑張ることができるし、あの経験もフラッシュバックすることもあります。
【上地結衣選手 インタビュー】
松岡:2012年のロンドンパラリンピックの時に引退する感覚があったそうですが、それからずっと競技を続けている自分をどう思う?
上地:長いなーと思います(笑)できなかったことができるようになった嬉しさがあったり、それで終わりではなくまた新しくやりたいことができたりなど、毎試合毎練習自分がやるべき課題や挑戦が出てきて本当に終わりがないです。ある意味、完璧なテニスが試合や練習の中でできたら、それが終わる時なのかなと思います。今のところ、そういう完璧な試合や練習ができたことは一回もないので、明日もコートに立たないといけないと思う状況が続いていています。
松岡:上地選手にとっての完璧なテニスとは?
上地:自分の体が小さい分、パワーやリーチの長さで勝負ができないので、戦術的になんとか相手が嫌がることをさせたり、ミスをさせたところから追い詰めていくことで自分のスタイルは成り立っていると思います。そういうプレースタイルがありつつ、ここ数年は自分からしっかりと攻めていくことも挑戦しはじめたので、またそこでもやりたいことがいっぱいあります。まだまだ、何ができたら自分が満足できる完璧なテニスなのかということがわかりません。
松岡:パリパラリンピックの時は「これで引退してしまうのかな」というくらい素晴らしい勝ち方でしたが、当時はどのように感じた?
上地:試合が終わった瞬間はすごく満足しましたし、やり切ったなと思いました。自分がこれまで苦手としてきた、下がらずにしっかりと前についてプレーすることや、相手を前に出させることなど色々なことに挑戦できて、それが結果として得られた試合だったので本当に満足しました。
試合後のインタビューに行くまでの間に、何を話そうかなと試合の整理をしていると、全部やりきりましたという言葉よりも「あの時こうしていればよかった」や「こういうポイントの取り方ができたら流れが変わっていたかな」などプラスな意味での反省がたくさんありました。そういう思いが浮かんでくるうちは、まだ辞められないと試合後に思いました。
松岡:(準優勝となった7月の)ウィンブルドンはどんな反省がある?
上地:ウィンブルドンは、何をしたらよかったのかわからなかったです。自宅に帰ってから、WOWOWさんの映像で何回も見返しました。それでも、突破口はなかなか見つからなかったです。1回や2回見返しても、次はこれを使えば絶対にいける!というものがなかったです。それは芝コートという特性もあると思いますし、彼女(決勝で対戦したワン・ズーイン)の落ち着いたプレーなどと色々な要素が組み合わさっていたので、悔しくて難しい試合でした。
松岡:デフロート選手以外にも、中国勢もどんどん強くなっていますがどのように感じている?
上地:注目はしていますし、対策もしっかりと取らないといけないとまずは思います。ただ、これまでアジアの選手がグランドスラムでこんなに出場できている年はなかったと記憶しているので、コンスタントに中国や日本の選手が出られるようになったことが嬉しいです。
16ドローに拡張されてから数年たちますけど、半分はアジアの選手だと思うので、そのあたりはすごく嬉しい気持ちがあります。そのアジア選手の中で自分が先頭に立って引っ張っていきたいなという気持ちもあります。
自分よりも年齢が下の若手選手も増えてきて、アジア勢でもパワーがある選手がたくさん出てきているので、本当に毎試合毎試合大変です。自分自身も色々と試行錯誤して、新しいことに今大会もトライしてきているので、それが少しでも試合の中で出せたらと思っています。
松岡:生涯ゴールデンスラムを達成するために残っている1年後のウィンブルドンはどうみている?
上地:ウィンブルドンの試合が終わったときは「また1年後か」と思いました。1年は長いからもう辞めようかなという風には思わなくて、逆に1年後は長いなと思ったということは、(自分が競技を続けようと思っているから)長いなと思ったということだと思います。1年後の芝でどのようなプレーをするのかというしっかりとしたビジョンはないですけど、タイトルを獲れるまでは頑張りたいと思います。
松岡:全米はワクワクという感じ?
上地:そういわれると、車いすのことや、それに伴う自分のプレースタイルなど色々な感情があります(笑)ニューヨークに来る前にオーランドで国枝さんに練習もしていただきましたし、やりたいことはいっぱいあります。対戦相手との掛け合いやだまし合いなど、自分ばっかりではなく相手との状況判断をして戦えたらと思います。
松岡:やっぱり国枝さんは良い言葉をかけてくださる?
上地:ボコボコにされました(笑)良い感じで練習してもらっていたんですけど、最終日にボコボコにされました。それがエネルギーにもなって、心強いです。
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