8月29日から始まる全米オープン(アメリカ/ニューヨーク、ハード、グランドスラム)の開幕に先駆けて、センターコートのアーサー・アッシュ・スタジアムに取り付けられた移動式屋根が公開されるも、幾つかの不具合が見られる不安なものとなった。
大会会場のビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターでお披露目されたのは、1億5,000万ドル(約150億円)をかけて建設された移動式屋根だった。
その屋根は簡単に閉じることが出来たが、会場の名前が付けられているテニス界のレジェンドである
B・ジーン・キング(アメリカ)がその屋根を再び開こうとすると、ボタンを押してもなかなか屋根は動かなかった。3度目の正直と言わんばかりに、やっと3度目のトライで屋根が動き始めた。
移動式屋根の設置を任された建設会社のM・ロゼッティ社長は今回の問題について、全米オープン期間中にも「起こりうるもの」だとし、必要であればエンジニア・チームによって修繕も可能だと語った。
オリンピック・プール17個分の大きさの移動式屋根は、今年の全米オープンの開幕までには準備が整うことになっている。全米オープンは2008年から2012年にかけて、5年連続で雨のため男子シングルス決勝戦が、予定された日曜日から月曜日へ順延となっていた。
全米テニス協会関係者は長年、アーサー・アッシュ・スタジアムに移動式屋根を設置する必要はないという姿勢を取り続けていた。しかし2013年にロゼッティ社長が今回の計画案を提示し、この2年間を掛けて移動式屋根の設置を行っていた。
全米テニス協会のG・スミス会長は「ここビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターに、不可能なことを実現させた」と屋根の設置について述べていた。
最速1分間に7,5メートルの速度で閉まるこの屋根は、2万3,771人収容のスタジアムを覆い、7分間で開閉が可能だとしている。約1,900平方メートルの大きさの屋根は、テニスコート22個分に相当する。
グランドスラムでは、ウィンブルドンと全豪オープンの2大会で、既にメインスタジアムには移動式屋根が設置されている。残る全仏オープンでも、大会主催者は屋根の設置を計画中。
全米オープンの移動式屋根は全豪オープンとは違い、悪天候時のみの使用となる。全豪オープンは悪天候時に加え、気温が上昇しヒートポリシーが適応された時にも屋根を閉じてプレーが続行される。メイン・スポンサーであるチェースの名前とロゴが全米オープン開幕までに屋根の北側と南側に描かれる。
アーサー・アッシュ・スタジアムの移動式屋根は2枚のパネルからなり、6,500トンものスチール製の上部構造。観客には観戦しやすいように陰が作られる仕組みになっている。屋根が閉じられると、360個ものスポーツ用LEDライトが点灯される。屋根を閉じた時の湿度の調整については、冷水換気装置が設置されている。
この移動式屋根は、全米テニス協会が会場のリノベーションへ向けて投資した5億ドル(約500億円)の一部。リノベーションには新しいコートの設営も含まれている。
(STATS - AP)
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