テニスのウィンブルドン(イギリス/ロンドン、芝、グランドスラム)は10日、男子シングルス決勝戦が行われ、第6シードの
M・ラオニチ(カナダ)は第2シードの
A・マレー(英国)に4-6, 6-7 (3-7), 6-7 (2-7)のストレートで敗れ、グランドスラム初優勝とはならなかった。試合後、ラオニチは「今日の敗戦は心に大きな傷を残すだろう」と、準優勝トロフィーを手に語っていた。
>>マレーvsラオニチ 1ポイント速報<<>>ウィンブルドン対戦表<<この日ラオニチは236キロのサービスを記録し、それは大会を通して自身が放った最速サービスだったが、マレーの鉄壁リターンに持ち前のサービス力は影を潜めるばかりか、鮮やかなパッシング・ショットを決められ試合の主導権を握らせてもらえなかった。
198cmの長身から繰り出すサービスが武器のラオニチだったが、ツアー屈指のリターン力と守備力を誇るマレーの牙城を崩すことは出来なかった。
ラオニチは決勝戦までの6試合で137本のサービスエースを記録し、1試合で平均20本以上のサービスエースを叩き出した。しかし、この日の決勝戦ではマレーよりわずか1本多い8本のサービスエースに留まった。
マレーは210キロから225キロのラオニチのサービスをことごとくリターンし、第1セットの第9ゲームで記録した236キロの最速サービスさえラオニチのコートへ返していた。
「毎回彼(マレー)と対戦すると、誰よりも多くリターンしてくる。それは
N・ジョコビッチ(セルビア)に並ぶくらい。この2人は、そこが他の選手と大きく違う」とラオニチはマレーとの対戦の印象を語っていた。
ラオニチはストローク戦でも苦戦を強いられた。コーナーからコーナーへとショットを放っても、ことごとくマレーはボールに食らい付き、ネットへつめるとバックハンドのパッシングショットを決められた。
「色々なことを試していた。ネットへつめてプレッシャーもかけた。彼はベースラインで自分より遥かに良いプレーをして、主導権を握っていた。何とか食い下がっても、結局彼を上回ることが出来なかった」とラオニチは成すすべがなかったことを明かした。
第2セットのタイブレークでも、1ポイント目で簡単なショットをミスしたラオニチ。そして5ポイント目ではスマッシュを決められず、マレーに4-1とリードを許してしまった。
「最初のポイントで、短くなったボールをネットにかけるミスをしてしまった。惜しいミスでも何でもなかった。ネットの真ん中に当たってしまった。自分のサービスでのスマッシュも決められなかった。振り返っても全く楽しいものではない」とラオニチは後悔の念を表していた。
第3セットの第5ゲーム、ラオニチはこの試合で初めて、そして唯一のブレークチャンスを握った。ゲームカウント2-2からのマレーのサービスゲームで、132キロのセカンドサービスに対してフォアハンドのリターンエースを決めたラオニチは15-40とブレークポイントを手にした。
しかし、マレーの深いファーストサービスのリターンをネットにかけ1本目を逃すと、2本目はラリー戦でバックハンドをネットしてしまい、チャンスを生かすことは出来なかった。そこからマレーは、バックハンドのパッシングショットを決め、188キロのサービスをラオニチがリターン出来ず、結局マレーがそのゲームのキープに成功した。
「明らかに、数少ない大切なポイントだった。もしそれを生かすことが出来ていたら、試合を変えられたかもしれないと感じている。」
ラオニチは、カナダ人として初めてとなるグランドスラム・チャンピオンを狙っていた。男女通してカナダ人でグランドスラムの決勝の舞台に立ったのは、2014年のウィンブルドンで準優勝を飾った
E・ブシャール(カナダ)だけだった。
しかし、ラオニチは準決勝で大会7度の優勝を誇る
R・フェデラー(スイス)をフルセットで下したことに大きな価値を見出だしている。
「1つステップアップした。最高のことが出来た。2セット奪われてからの逆転は初めてだった。ガッツを見せれたし、気力も見せた。それを今後の大会にも繋げたい。」と、この大会で大きな収穫があったとも感じていた。
(STATS - AP)
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