男子テニスの国別対抗戦デビスカップ決勝(フランス/ リール、インドアクレー)、スイスとフランスの対戦は最終日の23日、シングルスが行われ、
R・フェデラー(スイス)が
R・ガスケ(フランス)を6-4, 6-2, 6-2のストレートで下し、祖国スイスに初優勝をもたらすと共に、自身が唯一獲得していないビッグ・タイトルを手にした。
ここまでの対戦成績を2勝1敗で迎えたスイス。エースのフェデラーは、第1試合では
JW・ツォンガ(フランス)と対戦する予定だったが、怪我のために代わって出場したガスケと対戦することとなった。フェデラーはこの決勝戦前まで治療を続けた腰の怪我を感じさせないプレーを披露。ガスケをストレートで下し3勝1敗とした時点でスイスの初優勝が決まった。
1999年に初めてスイス代表としてデビスカップのデビューを飾ったフェデラーは、この優勝まで15年の月日を要した。その重さを感じるかのように、フェデラーは最初に握ったマッチポイントを決めるとコートに膝から崩れ落ちうつ伏せで倒れ込むと、駆け寄って来た監督のスヴリン・ルッチ氏やチームメイト達と抱き合い喜びに包まれた。
「最後は感極まってしまった。信じられないくらい幸せだし、かなりほっとしたよ。本当にこのタイトルが欲しかったし、特にこの試合までは2勝1敗とリードしていたからね。
S・ワウリンカ(スイス)やチームを支えてくれた他の皆を見ると、更に力が沸いて来た。これはまさに、テニス人生に於いて、最高の気分の1つである事は間違いない。こうしてチームで喜びを祝える事も更に素晴らしい事だね。」とフェデラーは喜びを表していた。
前週の16日に行われたATPワールドツアー・ファイナルズの決勝戦を棄権したフェデラーは、デビスカップの決勝戦へ向けて万全な準備が出来ているか疑問視されていた。19日の夕方になって初めて試合会場となるインドアのクレーコートでボールを打ち始めた。そして迎えた21日のシングルスでは
G・モンフィス(フランス)にストレートで敗れていた。
しかし翌日に行われたダブルスにワウリンカと組んで出場したフェデラーは、みるみるコートにも慣れ始めると本来のプレーを取り戻し始めていた。
今季最初のグランドスラムである全豪オープンでグランドスラム初優勝を果たしたワウリンカは、これまでもスイスのためにデビスカップに積極的に出場してきた。一方のフェデラーはATPツアーを優先に活動して来ていた。
2013年のワールドグループへの入れ替え戦でもワウリンカは、フェデラーを欠くスイス・チームのエースとしてワールドグループ入りを決める立役者となっていた。そしてこの決勝戦でも初日のシングルスでツォンガを下しスイスへ1勝をもたらしていた。
「スタン(ワウリンカ)はこれまでも、多大な貢献を注いできた。今週末も素晴らしいプレーを見せてくれたし、こうして優勝するチャンスを与えてくれたんだ。」とフェデラーは、この優勝にはワウリンカの存在が大きかったと感謝の気持ちを持っていた。
「それは十分承知していた。だからこの優勝はスタンを始め他の選手達のものさ。自分のものではない。これまでのテニス人生で十分なタイトルを獲得してきたんだ。ただただ他の皆のために満足しているし、こうして歴史的瞬間を共有出来た事に喜びを感じている。」とフェデラーは謙虚な姿勢も覗かせていた。
302週にも渡って世界ランク1位に君臨したフェデラーも、トロフィーが渡される前は涙に暮れ、チームメイトとこの瞬間を味わっていた。
「比べる事なんか出来ない。ウィンブルドンで初優勝した時も正直かなりの驚きだった。デビスカップは、自分のテニス人生でいつかは達成できるものだと信じていた。」
「もちろんプレッシャーもあった。何とか勝ち抜かなければならない事やチームや他の全ての人達の多大なサポートのもと、皆を幸せにさせなければならないという事もね。だから全く別の感情なんだ。そしてコートでは一人ではなかった。それが全てを変えてくれた。」
27,448人で埋め尽くされたピエール・モーロワ・スタジアムにフェデラーが入場して来た時、敵地のためか暖かい歓迎はされなかった。そしてウォーミングアップの時に、らしからぬイージーミスを犯した時にはブーイングが起こるほどだった。
そんな中でも動揺する事がなかったフェデラーは、約210キロのサービスを放ち自身のサービスゲームをキープすると、その後も相手にチャンスを与えないプレーを続けた。
動きも良くなったフェデラーは、バックハンドにも変化を付け、全盛期に匹敵するプレーを見せ始めた。対するガスケは、ラリーでも圧倒され終止フェデラーのサービスを読むことが出来なかった。
「今日の彼(フェデラー)は誰も倒す事が出来ない。ミスも本当に少なかった。ブレークポイントさえ握れなかったのは、本当に情けなかった。」とガスケは完敗を認めていた。
第1セットの第3ゲームで先にブレークを奪ったフェデラーは、そのブレークポイントを鮮やかなパッシングショットで決めると「カモン」と叫び声を上げるほど気合いが入っていた。
地元フランスの声援を受けるガスケだったが、第2セットの出だしでは自らのミスからフェデラーにブレークを許し、一気に流れはフェデラーへと傾いて行った。
それでも諦めないガスケは、第3セットではよりネットへ出る作戦に変えたが、フェデラーはそれを上回るパッシングショットを放ち、ガスケの反撃を許さなかった。
序盤はサービスキープが続いたが、第5ゲームでガスケはこの試合4度目のブレークをフェデラーに許すと、第7ゲームでもこのセット2度目のブレークに成功したフェデラーは、ゲームカウント5ー2からの自身のサービスゲームでは40ー0と握ったマッチポイントでは、繊細なドロップショットを放つとガスケは追うことさえ出来ずフェデラーが勝利を掴んだ。
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